環境に配慮した工場作り!省エネを実現した実例をご紹介します!

近年、世界中で地球環境を取り巻く様々な課題について、活発に議論が交わされています。皆様もテレビのニュースや新聞、インターネットでのニュース記事などで、地球温暖化や大気汚染、水質汚染などの、様々な環境問題について耳にする機会も増えたのではないでしょうか。このような状況下で、国連サミットなどでは、様々な地球環境問題に対応していくため、世界共通の目標なども積極的に打ち出されています。もちろんそれは、日本も無関係なことではなく、日本国内では2030年に向けて、原油換算5,030万klのエネルギー削減(2030年に13年比で-26%)が目指されているのです。
この目標を達成するためには、工場やオフィスビル、物流の拠点となっている倉庫などの協力が必要不可欠と言えるでしょう。なぜかというと、工場などは、一般家庭などとは比較できないほど大量のエネルギー消費がありますし、それに伴いCO2排出量も圧倒的に多いのです。したがって、今後の地球環境を考えた場合には、工場や倉庫の持つ役割というのは、非常に重要なものと言えるでしょう。
そこで今回は、環境に配慮した工場などでの省エネ事例をいくつかご紹介していきたいと思います。

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工場が配慮しなければならない環境問題について

それではまず、生産活動を行う工場などが配慮しなければならない環境問題に関して考えてみましょう。最近では、省エネや地球温暖化に注目が行くことが多いものですが、工場が生産活動を行う場合には、様々な廃棄物が出るので、配慮しなければならない環境問題は、非常に幅広いものなのです。
以下で工場が配慮しなければならない代表的な環境問題を取り上げてみましょう。

  • 水質汚染問題
    水質汚染問題とは、工場や畜産の排水、また家庭から排出される生活排水によっても引き起こされる問題です。最近では、中国の河川が工場排水によってパステルカラーに染まったり、大量の藻が繁殖し一面緑色になってしまったことなどが話題になりましたね。日本国内でも、古くはメチル水銀化合物を含んだ工場排水が水俣湾に排出され、多くの人が被害を受けた水俣病などが有名です。ただし、近年では工場での対策が進み、水質汚染の主な要因は生活排水によると言われています。
  • 大気汚染問題
    日本国内では、1960年代から1980年代にかけて工場から大量の二酸化硫黄(SO2)等が排出され、工場が集中する工業地帯では深刻な大気汚染問題がありました。大気汚染による公害病『四日市ぜんそく』は有名ですね。他にも、塗料やインク溶剤に含まれるVOC(有機化合物)による光化学スモッグが非常に大きな問題となっています。中国では、数m先も見通せないほど視界が悪くなる大気汚染が深刻な問題となっています。
  • アスベスト(石綿)
    近年、非常に大きな問題となっているのが『アスベスト』に関する問題です。アスベストは、古くから日本国内で広く使用されており、工場や倉庫、ビルなどでも保温断熱を目的として壁に吹き付けされたり、防音材に利用されたりと、幅広く使用されています。しかし、近年では、アスベストが発がん性物質だという事がわかり、その使用やアスベストを含む製品の製造が原則禁止となっているのです。一般住宅でも、1980年代盛んに使用されていた屋根材には、アスベストが含まれていました。当時新築された建物は、ちょうど屋根の寿命を迎えるため、近年ではアスベストを含む屋根材の撤去や廃棄が問題になることも多いようです。

工場が配慮しなければならない環境問題についてご紹介しました。上述したもの以外にも、ダイオキシン問題やフロン類の排出など、非常に幅広い環境問題について配慮する必要があるのです。
それでは、以下に地球環境に配慮した省エネ事例をいくつかご紹介していきましょう。

地球環境に配慮した省エネ事例

それでは、実際に大手企業などの工場で取り組まれた環境に配慮した省エネ対策などの事例をご紹介していきましょう。近年では、場内電力を太陽光発電によって賄う、工場内の照明を全てLEDに入れ替えるなど、積極的に省エネに取り組む企業は多いです。
工場や倉庫、オフィスビルなどの大きな建物に関して省エネ対策を進める場合、その効果も一般住宅と比較してかなり大きな影響があるため、国も積極的な支援を行っています。例えば、『工場などにおける省エネルギー整備への入替支援・ZEH導入・実証支援・住宅の断熱リフォーム支援』等の、補助金制度がつくられていますので、自社の省エネ対策に積極的に利用してみてはいかがでしょうか。

サントリーが進める環境への取り組み

サントリーグループでは、環境に調和した生産活動を行うため、様々な省エネ活動や再生可能エネルギーへの転換で、CO2排出量を削減を実現しました。

稼動状況を一元的に記録・管理し、生産工程での省エネ活動に活用しているほか、CO2排出量の少ない燃料への転換や再生可能エネルギーの利用など、さまざまな角度から地球温暖化防止に取り組んでいます。
引用:サントリーグループのCSRより

具体的な取り組みの一例を以下にあげてみましょう。

  • 天然水南アルプス白州工場では、飲料業界最大規模の発電能力を誇る太陽光パネルを設置し、工場内で使用する電力の一部を賄っています。これにより、電力会社からの電気購入と比較して、年間約205トンものCO2排出量削減を実現しています。
  • 豪雪地域に立地する工場では、冬季の積雪を蓄える「雪室(ゆきむろ)」を利用しています。自然エネルギーである雪氷熱を貯蔵庫の冷房に活用しています。
  • サングレイン(株)知多蒸溜所でバイオマスエネルギーの利用を促進しています。これによって、LNG(液化天然ガス)の使用量を削減でき、約6,000トンのCO2排出量削減を実現しています。

サントリーでは、上記のような再生可能エネルギーの利用促進以外にもビールの製造工程で使用する釜やボイラーの一新で、使用エネルギー効率を20%向上させるなど、様々な取り組みを続けています。

事例の参考:サントリーグループのCSRより

日立グループ 多田機工 本社工場での取り組み

次は日立建機のグループ会社「多田機工」の本社工場で取り組まれた事例についてご紹介しましょう。この工場は、2014年4月から稼働しているのですが、以下のような環境への取り組みが行われています。

・省エネ対策として、事務棟・工場棟は全照明のLED化を実現。さらに建屋に自然光を取り入れるトップライト構造や熱効率の高い断熱材、断熱ガラスを採用しています。
・空調最適化のために事務棟には電気ヒートポンプ空調、工場棟にはガスヒートポンプ空調を導入しました。
・変電設備には超高効率トランスを採用し、エアーコンプレッサーのインバーター化、台数制御運転、電力監視システムなどにより旧工場に比べ電力使用量を12%削減*。
* 工場移転後(2014年6月~3月の実績比)
・工場棟屋根全面に発電能力509kWの太陽光発電パネルを設置しています。
引用:日立公式サイトより

上記のような取り組みを行う中で、高効率照明の導入として「事務棟・工場棟の全照明LED化」、廃棄物等の循環利用として「最終処分率0.1%未満」を、2015年度に実現しています。

事例の参考:日立公式サイトより

その他の環境対策事例

企業名 対策内容 詳細
トヨタ自動車 工場CO2ゼロチャレンジ、水環境インパクト最小化 チャレンジ 等 詳細を見る
アサヒビール 環境に対する取り組み 詳細を見る
SHARP(シャープ)天理工場 生産排水リサイクル、生産廃液リサイクル、使用済み製品リサイクル 等 詳細を見る

まとめ

今回は、大手企業の工場において取り組まれている環境に配慮した省エネ事例についてご紹介してきました。様々な生産活動を行う工場は、我々人間にとって欠かせないものだと言えるものですが、一歩間違えれば人間はもちろん、地球環境を破壊しかねない非常に危険なものだとの認識は必要でしょう。特に、近年世界中で叫ばれている地球温暖化や水質汚染、大気汚染問題は、目を背けることが出来ないほど喫緊の課題とも言われています。
大量なエネルギーを消費し、CO2排出量も多い工場や倉庫が、積極的に環境に配慮した取り組みを行うことは、今や欠かせないことだといえるでしょう。もちろん、こういった取り組みを進めることは、省エネにもつながり、ランニングコスト削減の効果も得られますので、ぜひ積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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