製造業のコスト削減について!削減が見込めるコストと見込めないコストとは?

製造業界の企業では、日々何らかのコスト削減に取り組んでいる事業者が多いのではないでしょうか?

しかし、一口にコスト削減といっても、優先度などを無視して無計画にコスト削減に取り組んでしまうと、逆に業務効率や生産性の低下を招いてしまうリスクが存在します。製造業界でのコスト削減は、さまざまな手法が考えられるのは確かですが、製造する製品や施設の規模などによって削減すべきコストの優先度は変わってくるものです。

そこでこの記事では、コスト削減に手を付ける前に考えておくべき、削減が「見込めるコスト」と「見込めないコスト」について考えてみましょう。

削減が見込めるコストと見込めないコストとは?

どのような企業でも『コスト削減』を行って、自社の利益を最大化するということを目指しているはずです。例えば、「使わない部屋の電気を消す!」といったことはどのような業界の企業でも注意していることなのではないでしょうか?
しかし、「コストを削減する」という目標を意識するあまり、企業の成長を妨げる結果になってしまっている残念な事例も多いようです。例えば、製造業でのコスト削減については、最新設備の導入により、生産性を高めながらランニングコストも削減するという手法があります。しかし、「短期的な出費を減らす…」ということばかりにとらわれてしまうことで、設備投資自体に消極的になってしまう企業も少なくありません。最新設備への切り替えは、確かに短期的に多額の出費を伴うのですが、長期的に見ればコストを削減しながら生産性を高めることも可能なはずです。

企業がコスト削減に取り組む場合には、「どのコストから削減すべきか?」「必要な投資は行って費用対効果を高める!」という両方を計画的に実行していかなければいけません。そうしなければ、減らすべきコストを減らせないだけでなく、収益性の改善にも悪影響を及ぼしてしまう危険があります。ここでは、一般的に「削減が見込める」といわれるコストと、「削減が見込めない」コストについて簡単にご紹介します。

削減が見込めるコスト

それではまず、削減が見込めるコストからご紹介していきましょう。

  1. 光熱費
    企業のコスト削減を考えた場合、最初に手を付けたいのが電気代などの光熱費です。自家発電設備などを導入すれば、長期的に見て大幅な電気代削減が可能です。
  2. 通信費
    インタネット回線費や携帯電話などにかかる通信費は大きな削減が見込めるコストです。契約を見直すだけでもコスト削減が可能な場合があります。
  3. 交通費
    従業員の通勤費用、業務で移動する際にかかる費用なども工夫次第で削減可能です。
  4. 消耗品費
    従業員の意識を高めるだけでコスト削減が目指せる部分です。ボールペンやコピー用紙、トイレットペーパーなど、金額が低く短期間で使い切るものにかかる費用です。

削減が見込めないコスト

上記のような「削減しやすい」コストがある一方、自社の努力だけではなかなか削減が難しいコストも存在します。以下のようなコストは、優先度が低いと考えておきましょう。

  1. 仕入れ原価
    製造業の企業であれば、原材料にかかる費用は非常に大きな割合を占めています。何とか削減できないかな…と考えるものですが、この費用は仕入れ先との交渉によって決定されるものです。自社のコスト削減は、相手方の利益低下につながるものですので、削減が非常に難しいコストだと考えておきましょう。
  2. 人件費
    賃金カットや人員削減などで、短期的なコストダウンを実現することは可能です。しかし、従業員のモチベーション低下や、人的資源の放出など、生産性低下のリスクも存在します。無理な人件費の削減は、長期的に見ると、マイナス効果の方が大きくなる可能性が高いです。
  3. 税金
    節税の努力は必要ですが、納税は企業としての義務であるため、削減は難しいコストです。
  4. 設備投資費
    最新機器の導入や施設の維持にかかる費用です。無理やり古い設備を使い続ける、建物の劣化を放置するなどといった短期的な出費を抑えることは可能です。しかし、生産力の面で他社に劣ってしまう…、余計な光熱費がかかってしまう…など、長期的な視点で考えるとデメリットの方が大きくなる可能性が否めません。
  5. 研究開発費
    研究開発費は、自社の今後の成長を左右するコストです。他社と競うためには、どの企業も常により良い製品の製造を目指しているはずです。よってここを削減してしまうと、将来的に他社に劣ってしまい、業績が悪化する恐れがあります。

導入しやすいコスト削減方法

それでは最後に、比較的導入しやすいコスト削減方法の具体例をいくつかご紹介します。

①光熱費削減について

光熱費の中では、電気代が大きな割合を占めると言われています。そして電気代の約3割程度を占めると言われるのが照明機器です。例えば、製造現場の照明に蛍光灯を使用しているという場合は、LED照明に変更することで電気代削減効果が見込めます。

また、空調にかかるコストも大きくなりがちですので、この部分のコスト削減対策も有効です。空調のコスト削減に関しては、最新モデルの空調機器に交換するなどといった手法が考えられますが、その他にも、屋根や外壁の断熱性を向上させ、空調効率を高めるといった手法も考えられます。
初期コストがそれなりにかかっても良いという場合は、太陽光発電設備など、自家発電システムを導入するといった方法があります。

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②通信費削減について

通信費の削減に関しては、インターネットや携帯電話、固定電話などの契約プランを見直すことで大きな削減を実現できる場合があります。さらに最近では、電力自由化に伴って、携帯電話会社で電気の契約などをまとめることもできるようになっています。
例えば、事業所ごとに異なる携帯電話会社と契約している…などといった場合、それを一本化するだけでも大幅なコスト削減が狙える場合があります。また、インターネット契約をまとめると、携帯電話料金に割引が適用される契約なども存在しますので、最も無駄のない料金プランを慎重に調べてみましょう。携帯電話などの契約は、日々更新されており、定期的に見直すことで驚くほどの割引が適用できる場合があります。面倒に思うかもしれませんが、こういった事をコツコツ行うのが大切です。

③交通費削減について

最後は、交通費削減についてです。新型コロナウイルスの影響により、テレワークが一気に普及していますが、可能な従業員に関してはテレワークを導入するという方法も、交通費削減につながります。また、社用車・営業車についても、非常に便利ではありますが、保険や車検などの維持費がかさみます。したがって、利用頻度などをよく考えて、カーシェアリングサービスなども併用するといったことを検討するのがオススメです。Web会議も普及してきましたので、可能な限り遠隔で会議を行うなどとすれば、さらに交通費を削減することができます。

まとめ

今回は、製造業のコスト削減についてご紹介しました。この記事でご紹介したように、コスト削減を目指す場合にも、きちんと優先順位を考えて計画的に行っていかなければ、コスト削減が原因となり、生産性の低下を招いてしまうリスクが存在します。

まずは、上述したような、比較的容易に削減できるコストから対策を検討してみてはいかがでしょうか。