工場のIOT化で実際に何ができる?最近よく聞く「見える化」の事例をご紹介

近年の製造現場では、ロボット導入による自動化が急速に進んでいます。また、『工場の自動化』と並んでよく聞かれるのは「工場のIoT化」や「工場の見える化」というキーワードです。製造業では、急速に広がるIoT化の波の中、工場の生産性や品質向上、省エネルギー化を目指すにはIoTの活用が必要不可欠とも言われています。
近年では、「IoT化なしに製造業の未来はない…」とまで言われることもあり、今後の生存競争に乗り遅れないためには、IoTの技術を上手に活用することが必要になるでしょう。そこで今回は、IoTの導入に乗り気な方もそうでない方も、とりあえず知識として持っておいて損はないIoTの基礎知識や実際の導入事例をご紹介していきたいと思います。

IoTの基礎知識

それでは最初に、「そもそもIoT化とは何なのか?」について簡単にご紹介しておきたいと思います。近年では、製造現場以外でも、私たちの何気ない生活の中にどんどんIoT化の波はやってきています。例えば、急速に普及しているスマートフォンをはじめとして、スマートウォッチやスマート家電などと呼ばれる製品もIoTを活かした仕組みを持つモノで、実はかなり前からIoTというものは身近な存在になっているのです。

IoTとは?

近年よく聞くようになってきたIoTは「Internet of Things」の頭文字をとったもので、直訳すると「モノのインターネット」となります。これはつまり、あらゆるモノがネットワークに接続し、それぞれの機器が自律的に通信・制御を行うインフラや、それを実現する社会の事を表しているのです。上述したスマートフォンやスマート家電をイメージしていただければ非常にわかりやすいのですが、簡単に言うと「インターネットを介して高度な機能を提供するモノ」という共通点があります。
工場でのIoT化も、仕組みや概念は上述の通りで、工場内で自律的なシステム作りを行い、生産効率の向上や品質の向上を実現することが目的となります。

IoT化のメリット

それでは工場のIoT化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、一般的に言われるメリットとデメリットを簡単にご紹介しておきましょう。

IoT化によるメリット
  • 現状把握が出来る(見える化)
    製造現場で生産性の向上を図るには、現状分析を行い、改善点を見つけることが必要不可欠です。IoTを活用した場合、産業用ロボットや製造設備の稼働状況を常に計測することが可能となり、インターネットを介して簡単に情報を共有することが可能となります。これにより、生産性の高い作業、低い作業などの把握が正確に出来るようになるため、効率的な生産活動を行うための改善策も明確に見えるようになるのです。
  • エネルギーの最適化と、省エネ化の実現
    工場では、製造活動を行うため、日々莫大なエネルギーが消費されます。工場内で作業員が作業を行うには明かりも空調も必要になり、完全自動化をしていたとしてもロボットを稼働させるための電力は必要ですので、相当なエネルギー量となります。したがって、製造現場でのIoT化では、エネルギーを効率よく活用するためのシステムが多く導入されます。例えば、工場の稼働状況を正確に把握し、各設備における必要エネルギーを自動で計算する事で、余分なエネルギーを使用している場合には供給を下げるなど、最もエネルギー効率が良いように調整を行います。莫大なエネルギーを消費する工場などであれば、こういった細かな調整で大きな省エネ効果が得られるのです。
IoT化のデメリット
  • コストがかかる
    製造現場でIoT化を導入する場合の最大のデメリットは、やはり導入コストが高額になるという事でしょう。設備導入のために多額の費用が必要になることはもちろん、最新機器を使いこなすための社員教育にも多大なコストが必要になります。
  • メンテナンスが必要
    工場の自動化と同様、最新テクノロジーを活用してIoT化を進めた場合でも、それに必要な設備のメンテナンスは人の手で行わなければいけません。また、IoT化では、様々な設備が導入されることとなるため、それぞれの設備に別々のメンテナンスマニュアルの作成が必要になり、それらにはそれなりのコストが必要になります。

IoTの導入事例

それでは最後に、製造現場におけるIoT化の導入事例をご紹介していきたいと思います。

YKK AP株式会社のエネルギー見える化

YKK AP株式会社の黒部荻生製造所では、2013年6月よりエネルギー消費と職場環境の快適性をリアルタイムに確認できる『見える化』のシステムを導入しています。具体的には以下のようなIoT技術です。

窓を開けて工場内に風の流れを作り、空調設備の運転を減らしてエネルギー消費を抑制する取り組みを開始。2014年度末までに全ての生産工場(4棟)に導入し、2015年度から本格運用を行ないました。
■夏期の風を活用した“見える化”運用
①夜間・午前中は建屋全体で窓を開け、外気を導入
②“見える化”システムのモニターで、風向・風速・温度・湿度や、その数値を元にした快適性と消費電力レベルがリアルタイムで表示
③空調運転開始条件を満たしたときに、工場内の各エリアで選任された“窓管理者”が窓を閉め、空調ファンを稼働し、“見える化”システムのモニターで、風向・風速・温度・湿度や、その数値を元にした快適性と消費電力レベルをリアルタイムで表示
引用元:YKK AP株式会社公式サイト

上記の技術導入によって、6~8月の夏季における生産重量当たりの空調エネルギーを、約17%も削減出来たそうです。これは工場内で働く従業員の快適性は保ったまま、大幅な省エネを実現した好事例と言えるでしょう。

事例参考元:YKK AP株式会社公式サイト

まとめ

今回は、製造現場で急速に普及しているIoT化とは何なのかについて、その基礎知識や導入事例をご紹介してきました。本稿でもご紹介したように、IoTとは「インターネットを介して高度な機能を提供するモノ」という認識をしておけば間違いないのですが、非常に幅広い場面で必要とされるものですので、「何をすれば正解!」といった答えはありません。したがって、自社にIoTを導入する場合には、どのような改善点があるのかを明確にする必要があり、その分析結果をもとに、自社に必要な制御、自動化を進めていくべきものと言えるでしょう。
製造現場でのIoT化は、それぞれの課題に対して、いかに柔軟にアプローチし解決していけるのかが非常に重要になるため、入念な準備と長期的な成長戦略をきちんと立てるようにしましょう。

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