工場における効率の良い省エネ対策の方法とポイントは?

今回は、工場や倉庫など、大規模な施設における効率的なエネルギーの使い方について考えてみたいと思います。地球温暖化や大気汚染などの環境問題が、世界一丸となって解決しなければならない課題となっている今、大量のエネルギーを消費する工場や倉庫が持つ役割は非常に大きなものと言えるでしょう。実際に、工場や倉庫が進める省エネ対策と、一般家庭が行う省エネ対策について考えてみると、工場などの大規模施設で進める省エネ対策の方が、比較にならないほど大きな効果を得られる結果となるでしょう。
私たちの便利な生活を支えるためには、様々な生産活動を行う工場が必要不可欠ですが、未来を過ごす人たちのことを考えた場合、一人一人が手の届く範囲からでも省エネに対する意識を変えていかなければならないと筆者は考えています。「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、一つ一つは小さな効果かもしれませんが、それが合わされば大きな省エネ効果を得ることができるでしょう。
そこで本稿では、大量のエネルギーを利用する工場や倉庫において、大規模な設備投資なしでも進められる効率的な省エネ対策をご紹介していきたいと思います。

工場における効率的な省エネ対策について

それでは、本題の「工場における効率的な省エネ対策」をご紹介していきたいと思います。近年、工場や倉庫など、大規模な施設における省エネ対策には、設備の導入などに対するコストを補助する等、日本政府もかなり対策を進めています。しかし、工場や倉庫における省エネ対策には、もっと基本的な部分から進められることがあるという事を見落としている企業も少なくないのではないでしょうか?例えば、「使っていない部屋の照明は消す」、「空調の適切な温度を守る」などを徹底するだけでも、施設の規模から考えてそれなりの省エネ効果は得られるはずです。
したがって「補助金・助成金が出る省エネ対策は何か?」等を気にするあまり、基本的な省エネ対策を怠ってしまうようなことがないように、以下のポイントを押さえておきましょう。

エアコンの温度設定で変わる省エネ効率

まずは、夏場や冬場を快適に過ごすための冷暖房設備に関する省エネ効率からご紹介します。近年では、クールビズと言った言葉が一般化し、公共施設などで細かく温度設定がされていることは皆さんご存知でしょう。夏場の猛暑などには、施設内に入っても昔ほど涼しくなくなってしまったので、少し迷惑に感じている人もいるかもしれません。しかし、こういった冷暖房設備から得られる省エネ効率は馬鹿にできないものがあるのです。
一般的に、エアコンの温度設定を1℃変更するだけで、「暖房で2~3%、冷房で5~7%」もの省エネが可能になると言われています。したがって、工場などの大規模施設で冷暖房の温度設定を細かく規定することは、非常に効率の良い省エネ対策となるのです。もちろん、普段は使用していない部屋など、快適な温度を保つ必要性がない場所も少なくないでしょう。工場などの大規模施設で効率的な省エネを行うには、業務運営に支障をきたさないように、それぞれの部屋について「何℃が最適なのか?」を考えることがとても重要な取り組みになると言えます。

環境省が提唱するエアコンの温度設定について
環境省では、地球温暖化対策のため、平成17年の冬より様々な啓蒙活動を行っています。これは『ウォームビズ』と呼ばれるものなのですが、ここでは快適に過ごす為の暖房による室温設定は20℃とされています。
平成30年度も10月15日に『ウォームビズ』に関する情報が発表されていますので、一度確認してみましょう。
環境省のウォームビズの詳細を見る >>

エアコンの吹き出し口で変わる省エネ効率

エアコンによる効率的な省エネ対策は温度設定だけではありません。これは、子供のころに理科の授業で習った「暖かい空気は上昇、冷たい空気は下降する」という事を頭に入れてエアコンを活用した方が良いという事です。つまり、冷気と暖気のメカニズムが違う為、夏場と冬場では適切なエアコンの吹き出し口の角度が異なり、それを考えて適切にエアコンを使った方がエネルギー効率が良くなるという事です。
具体的に説明すると、夏場にエアコンを利用する場合、吹き出し口を上部に設定していると、床近くの作業場がなかなか冷えないため、必要以上にエネルギーを使うことになるのです。冷暖房設備の利用時には、温度管理はもちろん、吹き出し口を変える工夫などで効率的な省エネ効果を得ることが出来るのです。

必要な時に必要なだけエネルギーを利用する?

省エネ対策を考えたときには、エネルギーは「必要な時に必要な分だけ使用する」という事が大原則となります。この大原則については、誰が聞いても当たり前の事だと思うものですが、「照明や空調のオン・オフに注意する」といった単純な話ではありません。
例えば、昼食時等の休憩時にしか従業員が立ち入らない休憩スペースなどであれば、空調や照明の電源を終日付けておくと無駄になるケースが多いので、常にオフにするのが当たり前でしょう。しかし、1日のうち数時間おきに使用すると考えられる会議室などであれば、頻繁に空調のオンオフを繰り返すことによって、適温に戻すために通常よりもエネルギーを消費する可能性があるのです。つまり、「使用していないときは常に消す」といった単純な対策をとるのではなく、季節やそれぞれの場所によってエネルギー効率の良い設備の使い方を考えなければいけません。

空調設備の小まめなメンテナンスを行う

最後は、エアコンや空調設備の清掃やメンテナンスを小まめに行う事です。一般住宅のエアコンも同様ですが、清掃を怠っているエアコンの場合、埃が詰まることなどが原因となり暖房・冷房の効果が低くなってしまいます。したがって、エネルギー効率を考えて空調設備を運用する場合、清掃・メンテナンスは欠かせないものだと考えておきましょう。
また、何のメンテナンスも行わず空調設備を使い続けると、設備の状態も把握できずに、突然空調設備が故障してしまうことがあります。そうすると、新たな空調設備の導入コストがかかるだけでなく、業務に支障が出てしまう結果になりかねません。工場などでは、業務用エアコンが導入されていることも多いため「メンテナンスを頼む費用がもったいない…」や「自分で行うのは面倒くさい…」など、様々な事情を抱えているのも分かります。しかし、小まめに点検・メンテナンスを行う事で、効率的な省エネ効果も得られますし、長期的には経費の節約にもつながるのです。

まとめ

今回は、工場や倉庫などの大規模施設における効率のよい省エネ対策についてご紹介してきました。本稿でもご紹介したように、エネルギー効率をよく考えることで、一見何の効果もなさそうなことで大きな省エネ効果を得ることができる場合もあります。特に、様々な設備を動かす必要があり、敷地面積も広い施設になると、空調の温度設定だけでも一般家庭では比較にならないほどの省エネ効果があるといえるでしょう。
工場の省エネ対策と聞くと、「助成金や補助金を出してもらえる対策は何か?」という事を考えがちですが、今回ご紹介したような、少しの意識で効果を得られる省エネ対策から進めていくことが、未来の地球のためには必要なのではないでしょうか。