すぐ使えそうな雇用関連助成金について。自社に適用できるかしっかりとチェックしておきましょう。

企業が事業を進めていく上では、資金調達が非常に重要なポイントとなってきます。資金調達と言えば、銀行等の金融機関から融資を受けるという手法もあるのですが、国や地方自治体が設けている助成金制度を上手に利用するという事も手堅い方法の一つと言えるでしょう。
国や地方自治体が設けている助成金は、金融機関から受けられる『融資』のように資金を得ることが出来るものですが、融資と決定的に違うのが「返済の必要がない」という点でしょう。企業にとって「返済の必要がない」という点は大きなメリットとなりますので、申請要件を満たしているのであれば積極的に利用すべきものだといえます。また、助成金には非常によく似たもので『補助金』があります。しかし『補助金』の場合は、基本的に予算が決められるものですので、受給要件を満たしていたとしても応募倍率が非常に高くなり、申請が通らないという事も珍しくありません。その点、助成金の場合、受給要件を満たしていればほぼ認定されて、助成金を受け取ることが可能です。
特に、近年では厚生労働省による雇用に関する助成金が新設・拡充されているので、従業員数が多い工場や倉庫などであれば、ぜひ利用したいものでしょう。ただし、助成金は後払いとなっていることが一般的ですので、一時的な負担が増えるデメリットがあることを忘れないようにしましょう。もちろんその辺りを分かったうえでも、要件さえ満たせば返済不要な資金を得ることが出来る助成金は見逃せないでしょう。
そこで今回は、雇用関係の助成金にはどのようなものがあるのか、種類別にその特徴をご紹介していきたいと思います。

福利厚生も考えて!育児や介護との両立を支援できる助成金

近年『福利厚生』というものは、優秀な人材を確保するためや、従業員の定着率を上げるためには無視できないものとなっています。実際に、某企業が内定者向けに行ったアンケートでは、給与に次いで「福利厚生で選んだ」という返答が多かったほどです。特に、高齢化や少子化が社会問題となっている現在、「仕事と介護」、「仕事と育児」の両立支援は企業に欠かせないものとなっていくでしょう。
まずは、この部分に関する助成金をご紹介していきましょう。

女性活躍加速化助成金

この助成金は、女性活躍促進法の制定に伴い、スタートした助成金です。具体的には、

女性活躍推進法に基づき、自社の女性の活躍に関する「数値目標」、「数値目標」の達成に向けた取組目標を盛り込んだ「行動計画」を策定して、目標を達成した事業主に支給します。
引用元:厚生労働省の資料より

上記のように規定されており、女性が職場で能力を発揮し活躍できる社会を実現するための助成金となっています。

助成額
・常用労働者が300人以下の企業:取組目標を達成した場合、30万円支給(1企業1回限り)
・常用労働者が301人以下の企業:数値目標を達成した場合、30万円支給(1企業1回限り)

女性活躍加速化助成金の詳細

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

平成28年4月1日以降スタートした助成金です。この助成金は、男性社員が育児休業を所得しやすいような職場づくりに取り組んだ事業主に対して支給されるものです。具体的には、

・ 男性労働者を対象にした、育児休業制度の利用を促進するための資料等の周知
・ 管理職による、子が出生した男性労働者への育児休業取得の勧奨
・ 男性労働者の育児休業取得についての管理職向けの研修の実施
引用元:厚生労働省資料より

上記のような風土づくりに取り組んだ事業主に対するものです。助成額は以下のように規定されています。
引用:厚生労働省資料

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)

超高齢化社会に向かう日本では、仕事と介護の両立を行わなければならない社員がこれからもっと増加していきます。そのような状況下で、介護休業の取得・職場復帰、または介護のための勤務制限制度(介護制度)の利用等、職場環境整備の取り組みを行った事業主には助成金が支給されます。

引用:厚生労働省資料

両立支援等助成金の詳細

資金繰りなどを考えた助成金

景気変動などに伴って、資金繰りが厳しくなり従業員の雇用調整を含めた事業縮小などを行う場合の助成金も知識として持っておきましょう。

雇用調整助成金

景気動向などによって、どうしても資金繰りが厳しく雇用調整などが必要になる状況もあるかもしれませんね。そのような場合には、厚生労働省が設けている雇用調整助成金が利用できます。この助成金の概要は、

景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。
引用:厚生労働省ホームページ

上記のようになっており、要は資金繰りが厳しい中でも、雇用を維持したときに利用できる助成金となります。受給要件としては、売上高または生産量などの事業活動を示す指標の直近3カ月の平均が、前年比較で10%以上の減少がみられる場合など、様々用意されていますが、特定の条件を満たせば以下のような助成金が支給されます。

助成額
・中小企業は、休業を実施した際に支給対象者に対して支払われた休業手当相当額の2/3。中小企業以外は1/2
・教育訓練の場合の加算額:支給対象者1人1日あたり1,200円

雇用調整助成金の詳細

その他の雇用関係助成金

それでは最後に、上述した以外の雇用関係の助成金をまとめてご紹介いたします。厚生労働省が発行している案内なども一緒にご紹介しますので、興味がある助成金は一度詳しく調べてみてください。

系統 助成金名 詳細
キャリアアップ系 キャリア形成促進助成金 詳細はコチラ
職場意識改善 時間外労働等改善助成金 詳細はコチラ
若者雇用促進 キャリアアップ助成金 詳細はコチラ
若者雇用促進 トライアル雇用助成金 詳細はコチラ

まとめ

今回は、企業活動を行う上での上手な資金調達方法として、今すぐ利用できる雇用関係の助成金についてご紹介してきました。企業が事業を進めていく上では、様々な場所から資金調達を行うという事は、必要不可欠な事であるといえるでしょう。その場合、銀行等の金融機関から融資を受けることはもちろん、国や地方自治体が設けている助成金というものは、資金調達方法として無視できるものではありません。特に、助成金というものは、支給要件さえ満たせば返済の必要がない資金となるものですので、積極的に利用したいものです。
ただし、助成金は、社会情勢に強い影響を受けるものですので、受給要件や助成内容が変わることも多く、場合によっては廃止されてしまうことも珍しくありません。その為、資金調達方法の一つとして助成金の利用を考える場合には、常に新しい情報を収集し、要件を満たすように申請の準備をする必要があるのです。特に社内の従業員の移動などについては、社員の退職や働き方の変更などによって、受給要件を満たさなくなってしまうこともあるので、十分な注意が必要でしょう。

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