工場火災のリスクに備える。工場の火災保険の必要性について

今回は、工場や倉庫において、火災リスクに備えるための火災保険の必要性についてご紹介したいと思います。
工場や倉庫での火災は、燃えやすいものが保管されている、爆発の危険性があるものが保管されているという場合も多いため、一般的な住宅火災とは比較にならないほどの被害が発生してしまいます。2017年に発生したオフィス機器などを販売する、大手ネット通販企業の物流センター火災では、鎮火までに10日以上かかり、損害額はなんと100億円以上になったとの報道がありました。この火災事故では、火災保険などから46億円程度の保険金が支払われたと発表されています。
このように、火災保険というものは、万一、工場や倉庫などで大規模火災が発生した場合、その損害を大きく抑えてくれるものです。一般の方からすれば、工場や倉庫などの大きな施設であれば、オーナー側が火災保険に加入していると考えているのでしょうが、実は倉庫や工場などでは、以下のような理由でオーナーが火災保険に加入していないことも多いと言われています。

  • 倉庫や工場など事業用に用意されている火災保険があることを知らない
  • 火災保険に加入したが、契約期間の更新をしていない
  • オーナー自身が使用する工場や倉庫でないから入る必要がないと考えている
  • 必要性は理解しているが、費用が高額なため、あえて加入していない

上述の通り、工場や倉庫で火災が発生した場合、その規模が大きくなりがちなため、施設内の機材や商品がダメになるだけでなく、近隣住宅へ被害が拡大してしまい、間接的な損害が増えてしまいます。さらに、工場火災などは、どれだけ防火設備を充実させたとしても完全に防げるという訳ではありません。したがって、万一に備える火災保険が重要となるのです。

工場火災の被害が大きくなる原因


冒頭でも触れましたが、工場や倉庫などで発生する火災は、一般的な住宅火災に比べ、その被害が拡大しやすいと言われています。そもそも工場や倉庫では、多くの電気機器が使用されているため、機器の誤作動や電気系統の劣化など、火災の原因となりうるものが多いです。したがって、従業員の些細なミスでも、ちょっとした火が起き、大惨事につながってしまう恐れがあるのです。
そして工場や倉庫のちょっとした火が、大惨事にまで拡大してしまうのは、「フラッシュオーバー現象」と、「バックドラフト現象」と呼ばれる、閉鎖空間特有の2つのメカニズムがあるからです。

フラッシュオーバー現象とは
フラッシュオーバー現象は、室内にある可燃物が、火災の熱によって加熱され、その熱で突然一気に燃え上がる現象です。上述したように、工場や倉庫内には、引火しやすい・発火しやすいものが多くあります。そのため、最初は小さな火だったものが、熱によって一気に引火・発火し室内が炎に包まれてしまうのです。
バックドラフト現象とは
締め切られた状態の室内で火災が発生した場合、酸素欠乏となり炎の勢いが弱まることがあります。この状態で、窓やドアを開け放つと、新鮮な空気が一気に室内に入ってきます。そうすると、酸素の量が急に増加し、爆発的な燃焼が起こり、勢いを増して燃え広がってしまうのです。これがバックドラフト現象です。工場や倉庫などは、機密性が非常に高い作りになっていることも多く、そういった施設では大惨事に発展する危険性があります。

上記二つの現象は、どちらも「小さな火だったものが、あっという間に火の海になる」というもので、なかなか区別がつきにくいのですが、それぞれ別の現象です。つまり、工場や倉庫では、些細なミスで発生した小さな火が、一気に拡大してしまうリスクが二重にあるということなのです。さらに、こういった現象が発生してしまうと、スプリンクラーなどの消火設備があったとしても焼け石に水…となってしまうこともあります。もちろん、消火設備をきちんと備えておくことは大前提となりますが、それだけでは不十分な場合もあるという認識は持っておいた方が良いでしょう。

参考:札幌市『フラッシュオーバー・バックドラフト再現実験』より

火災保険は『火災』だけから守ってくれるわけではない!

工場や倉庫のみならず、一般住宅などの居住用も同様で、火災保険はその名称から火災に対してのみの保険だと考えている人が多いです。しかし、火災保険というものは、物件に火災以外のさまざまな事象で被害があった場合でも対応してくれるなど、幅広い保険となっているのが一般的です。
例えば、台風などの強風によって屋根や外壁に被害が出てしまった…などという自然災害による被害や、車両の衝突事故や第三者による盗難被害なども補償内容に含まれていることもあります。
特に近年では、台風や豪雨災害などの自然災害も多く、工場や倉庫での業務に必要な機械などが浸水被害に遭ってしまう…というケースも珍しくありません。もちろん、こういった自然災害によって何らかの被害が発生した場合でも、火災保険などに加入していないのであれば、実費で修繕費用を支払わなければならないのです。したがって、火災リスクに対応するだけでなく、その他の自然災害など予期せぬ被害に備えるためにも、火災保険の加入は重要になるのです。

MEMO
※地震に対する被害については、火災保険にセットする形で、別途『地震保険』に加入しなければいけません。

工場や倉庫における火災保険の内容

それでは、工場や倉庫における一般的な火災保険の補償内容も簡単にご紹介しておきましょう。ただし、加入する保険の保険会社や契約内容、付帯する特約などにより、以下で紹介する内容と全く同じになるわけではありません。

  • 災害の補償:火災、風災、雹災、雪災、落雷など
  • 設備問題の補償:設備の爆発、破裂、漏水など
  • 事故の補償:車両衝突、輸送用具の衝突、航空機の墜落など
  • その他の補償:盗難、労働紛争による破壊行為など

付帯する特約やコースによって、以下のような内容を追加することもできます。

  • 従業員のミスにより、来客者が怪我をした…などに対応
  • 事故による休業損失の補償
  • 事故により発生した残存物の撤去費用を補償

火災保険が適用できる主な事例について

最後に、火災保険に加入していれば、万一事故が発生した場合でも、損害を防げる可能性がある事例をいくつかご紹介しておきます。火災保険は、工場や倉庫で発生した火事以外にも、以下のような事故に対応することが可能です。

  • 台風による損害を補償
    倉庫や工場が、台風や大雨による洪水で浸水し、設備に損害を受けた。強風によって屋根や外壁が破損した。といった場合、これらの復旧費用を保険金として支払ってもらうことができます。
  • 設備の不備による損害の補償
    施設内の設備に不備があり、漏水が発生。気付いたときには、保管していた商品が漏水により破損してしまった。こういった場合も、商品代金を保険で賄うことができます。

まとめ

今回は、工場や倉庫の火災保険の必要性についてご紹介しました。本稿でもご紹介したように、工場や倉庫で発生する火災は、瞬く間に火がひろがる可能性があり、甚大な被害が出てしまう危険性があるのです。さらに、火災を鎮火できたとしても、その後は事業再開まで険しい道のりが続くことになるでしょう。
もちろん、工場や倉庫を運営するのであれば、できるだけ火災を発生させないための努力が必要になるのですが、いくら注意したとしても『絶対に防げる』という訳でもありません。したがって、万一の火災から会社やそこで働く従業員の生活を守るためにも、経済的ダメージを最小限に抑えることができる火災保険の加入はとても重要になります。
特に火災保険は、『火災』だけでなく、台風や豪雨などの自然災害や盗難被害などからも守ってくれるものですので、加入しておくことをおすすめします。しかしながら、費用の大きさから加入しないという選択をするにしても、上述のリスクは十分に認識しておくべきでしょう。

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