物流倉庫の注意点!誤出荷が発生してしまう原因とその対策について

近年では、インターネットを利用して欲しいものを手軽に購入することができる、Eコマース全盛の時代と言われています。通販市場では、衣料品や電化製品はもちろん、日々の生活で消費する生鮮食品までインターネットで購入できるなど、クリック一つで何でも手に入る時代になっています。しかし、年々拡大するネット市場では、配送量が急激に増加しており、多頻度配送を下支えする物流業界ではさまざまな課題が表面化しています。
その課題の一つといわれているのが、「通販で商品を購入したら、間違った商品が届いた…」「購入したはずの数量または色やサイズが間違っていた…」などという、いわゆる誤出荷の問題です。Amazonや楽天などといった大手通販企業であれば、物流倉庫内にさまざまなロボットを導入し、商品のチェックや出荷時の検品を自動化することを進めているのですが、全てロボットやAIによる自動化はまだ実現していないのが現状です。そのため、商品出荷までの各工程で、何かしらのマンパワーによる作業が必要になるのです。
当然、人により進められる作業であれば、どれほど作業に慣れたスタッフだとしても、その日の体調なども関係し、人為的ミスが発生してしまう可能性があります。物流企業などでも、できるだけ誤出荷を少なくするため、さまざまな技術の開発を進めており、一昔前と比べれば確実に誤出荷数は軽減されたと言われるものの、完全になくすまでには至っていません。
そこで本稿では、そもそも『誤出荷』が起きてしまう原因とは何か?ということにスポットを当てて、その改善方法を併せてご紹介します。

『誤出荷』が起きてしまう原因は?

それでは、インターネット通販などで購入したはずの商品ではない間違った商品が届いてしまうなど、『誤出荷』が起きてしまう原因からご紹介しましょう。ネット通販の特徴は、実店舗を構える必要もなく、インターネット上に商品情報を掲載すればお店として成り立つというものがあります。したがって、大手通販企業のようにさまざまな設備が整った物流倉庫から出荷するものばかりでなく、時にはマンションの一室で、全てマンパワーにより出荷をこなしている場合など、さまざまなのです。
ネット通販で起こる『誤出荷』は、主に以下のようなミスです。

  • 注文数と違う数量の商品を出荷する
  • サイズやカラーなど、商品のタイプを間違える
  • 間違った品番の商品を出荷する
  • 細かな商品の付属品を入れ忘れる
上記のようなミスが「なぜ起こってしまうのか?」以下でもう少し詳しくみていきましょう。

注文数と異なる数量を出荷する…

同じ商品を2点注文したのに1点しか届かなかった…または違う商品を1点ずつ注文したのに片方しか入っていなかった…など、出荷時に商品点数を間違えるというミスは意外と多いです。
例えば、商品の特性上、ほとんどの注文者が1点買いするような商品であれば、慣れた梱包担当者ほど「この商品は1点買いしかない」という認識を植え付けられてしまいます。そのため、稀に複数商品の注文が入った時にも、注文数の確認を怠り、一点しか出荷しないというミスを起こしてしまう…ことでミスが起こるのです。
こういった出荷数に関するミスは、新人スタッフの方が起こしやすいと考えがちですが、実は作業になれているベテランスタッフにこそ落とし穴があるのです。

サイズ、カラーなどタイプを間違えて出荷する…

ネット通販では、商品のサイズやカラーなど、商品タイプを間違えて出荷してしまうというミスも少なくありません。
これは、倉庫内で決められている「商品の色番号」や「サイズ表記」など、商品の品番以外の識別コードにまだ慣れていない新人スタッフに多いミスだと言われています。また、商品出荷時の問題ではなく、入荷時に間違った管理バーコードを付けてしまう…など、ストックの際にミスが発生する可能性もあります。管理バーコードの貼り間違いが発生してしまうと、出荷時にロボットを導入していたとしても誤出荷を防ぐことはできません。

間違った品番の商品を出荷する…

注文したはずの商品とは全く異なる商品が届く…などという誤出荷も発生することがあります。
例えば、商品出荷の際に、バーコード管理などではなく、目視でチェックする倉庫などであれば、品番がよく似ているが全く異なる商品を出荷してしまうというミスは起こり得るでしょう。また、梱包作業場などで、たくさんの商品が乱雑に置かれているなどといった場合にも、間違った商品を梱包し出荷してしまう…などの人為的ミスが発生する可能性があるのです。

『誤出荷』を無くすためにはどうすれば良い?

それでは、通販市場の物流を支える倉庫などで、誤出荷を防ぐために必要な改善策を考えていきましょう。上述の通り、ネット通販の商品出荷は、設備が完全に整っていない場合も多く、出荷作業にはどうしてもマンパワーが必要となります。したがって、上述したような人為的ミスを完全になくすということは非常に難しいことでしょう。
しかし、できるだけ誤出荷を発生させないようにするためは、どの部分で誤出荷となるミスが発生したのか、しっかりと把握して具体的な改善策を立てていくことが重要になります。

商品数に関する誤出荷を無くすためには?

「同じ商品を2点注文したのに1点しか入っていなかった…」「違う商品を1点ずつ購入したのに、片方しか入っていなかった…」などという、商品数に関する誤出荷を防ぐためには、梱包時のチェック体制の改善が必要でしょう。
上述したように、「この商品は1点の注文ばかり」と偏った認識が刷り込まれている人が一人で梱包作業を行った場合、最終チェックでも注文数の間違いに気づくことができません。したがって、梱包直前に注文商品が揃っているかどうかをチェックするスタッフを二人にして、クロスチェックにするなどの改善方法があります。また、商品の品番や品数があっているのかをスキャンでチェックできるような機器の導入もオススメです。

商品タイプの間違いを無くすには?

サイズやカラー違いの商品がお客様に届いた…などといった誤出荷には、以下の2つの原因が考えられます。

  • 商品に貼られている管理タグなどは注文を受けたものと同じだった。(入荷時に管理タグをつけ間違えている)
  • 管理タグと商品は一致しているが、注文した商品と違うタイプの商品が届いた。(間違った商品を梱包)
この2つの原因のうち前者の場合であれば、バーコードスキャナなど、誤出荷を減らすための機器が導入されていたとしても、出荷時には「この商品で合っている」と判断され誤出荷されてしまいます。そのため、入荷時に管理タグを貼りつける工程を改善する必要があるでしょう。例えば、管理タグを貼りつけた後、別のスタッフが貼られたタグが合っているのかクロスチェックするなどが有効です。
後者の場合は、出荷梱包作業での間違いですので、梱包の工程にスキャンでチェックさせる機器を導入することや、梱包直前に複数のスタッフでクロスチェックするなどの対策が有効です。

間違った品番の誤出荷を無くすには?

最後は、品番が異なる間違った商品を誤出荷してしまった…という場合の改善策です。この場合は、どの段階で「品番の取り違え」が発生して起きたミスなのかをしっかり検証する必要があるでしょう。
通常、こういった誤出荷は、梱包時など最終段階でのチェックミスにより発生するものだと思われがちですが、「品番の取り違え」はさまざまな工程で起こり得るものなのです。例えば、そもそも入荷時に間違った管理タグをつけてしまった…という場合であれば、ピッキングや梱包を担当する人員も「正しい商品」としてそのまま作業を進めてしまう可能性が高いです。したがって、こういったミスをなくすためには、入荷時の管理体制の見直しが必要になるでしょう。
他には、出荷時に間違った送付状を貼りつけてしまい、他のお客様に商品を出荷してしまった…などという可能性も考えられますし、梱包作業中に商品が乱雑に置かれており、間違った商品を梱包してしまう…などという場合もあるでしょう。こういった梱包中に商品が入れ替わってしまう…というミスが発生した場合には、梱包・出荷スペースの大幅な改善が必要になる可能性があります。
例えば、スペースが小さすぎて、それぞれの注文書と商品が重なってしまう…といった場合には、きちんと注文ごとに分けて作業ができるよう、スペースを拡大するなど、梱包と最終チェックをしっかりと行えるような対策が必要になるでしょう。

まとめ

今回は、物流倉庫などで発生する誤出荷の原因とその改善策についてご紹介しました。最近では、倉庫内作業を全て自動化することを目指した『自動倉庫』などが注目されていますが、当然、こういった最新技術の導入にはコストがかかってしまいます。そのため、出荷作業にかかる全ての工程を自動化することはできず、一部の工程では人間の手によって作業を進めるというのが一般的でしょう。
人間は、ロボットと異なり疲労により集中力を欠いてしまうこともあります。したがって、完全に人為的ミスをなくすということは非常に難しく、「ある程度起こってしまうものだ」と認識して対策をする必要があるでしょう。つまり、誤出荷を限りなくゼロに近づけるためには、誤出荷の原因を突き止めるとともに、全て一人の人間に責任を負わせるのではなく、複数人でクロスチェックを行うなど、作業体制自体を改善していく必要があるのです。