食品工場における新人教育について!新入社員に伝えるべきポイントとは?

今回は、食品工場における新人教育の注意ポイントについてご紹介していきたいと思います。一般的に食品工場は、お客様の口に入る物を作る場所ですので、非常に厳しい品質管理や衛生管理体制が構築されています。しかし、工場で勤務する従業員は、パートタイマーやアルバイトの従業員も多く、入れ替わりが激しいため、新人教育に困る面も少なくないのではないでしょうか。特に、初めて食品工場などで働くという方であれば、衛生管理に関する知識を全く持っていないと言う人も多く、どこから説明して良いのかなかなか難しいものです。
もちろん、作業の手際が悪いといった問題であれば、「新人だから仕方ない…」と長い目で見てあげられることも出来るのでしょうが、注意不足や知識不足で大切な商品に異物混入などがあった場合、企業にとって致命的な問題に発展する可能性があるのです。したがって、新人教育を行う際には、『整理・整頓・清掃・清潔・躾』など、食品工場の衛生管理の基本についてしっかりと知識をつけてもらう必要があるのです。
そこで今回は、食品工場における新人教育で、重視すべきポイントをいくつかご紹介していきたいと思います。

新人教育の際に重視すべきポイント

それでは、食品工場の新人教育で重視するべきポイントをいくつかに分けてご紹介していきましょう。

個人衛生について

冒頭でもご紹介しましたが、初めて食品業界に勤務することとなった新人社員であれば、食品工場における衛生管理の知識を何も持っていないと考えた方が良いでしょう。したがって、最も基本的な部分である自分自身の衛生管理から意識付けを行っていかなければいけません。
例えば、一般的に、人間の髪の毛というものは1日に50~100本は抜けるといわれているのですが、この抜け毛が製造ラインのどこかで製品に混入してしまい、お客様の口に入ったとなると、非常に大きな問題に発展してしまいます。さらに、普段は身に着けていても何も問題とならないアクセサリーについても、食品工場内では立派な異物となります。こういった異物に関しては「なぜ持ち込んではいけないのか?」という根本的な部分からしっかりと教える必要があります。
因みに、食品工場で当たり前のごとく注意される『爪の長さ』に関しても、新人社員であれば自分の爪の長さに気付かないこともあります。したがって、新人教育と合わせて、同じ工程で働くチーム員同士でしっかりと身だしなみのチェックを行うなどの体制作りが重要となります。

設備・ルールの意味をしっかりと理解させる

食品工場では、作業を行うために細かな手順が明確に決められていることがほとんどです。例えば、その工場が決めている作業着や帽子、マスクなどを着用する必要があり、帽子の被り方なども細かく規定している所も多いでしょう。さらに作業エリアに入る前にはエアシャワーを浴びてから入るなど、通常の仕事では考えられないほどのルールと手順が存在しているのです。
こういったルールや手順は、食品への異物混入などを防ぐために順守されなければなりません。したがって、これらのルールや手順を説明する場合には、実際のステップを見せることはもちろん、「なぜこの工程が必要になるのか?」という事をきちんと教える必要があります。なぜかというと、何のために行われている工程なのか、意味が分からないままのルールは軽視されがちになってしまうからです。新人教育を行う場合は、ルールや手順を流れで教えるのではなく、それぞれのポイントで何の意味があるのかきちんと理解できるように指導を行いましょう。

過去のクレーム事例で衛生管理の大事さを植え付ける

初めて食品工場などで働く、衛生管理や品質管理の知識を何も持っていない新人社員であれば、衛生・品質管理の重要さをいくら口で説明したとしてもイメージしづらいものです。したがって、過去に発生した実際のクレーム事例などを教材として使用すると良いでしょう。実際に起こったクレーム事例であれば「何が原因でクレームとなり、どれほどお客様に迷惑が掛かったのか?」という事が具体的にイメージすることが出来ます。
このような事例をもとにした教育方法であれば、これから自分が行う業務がどれほど重要か理解でき、上述したような事前準備の重要性も理解しやすくなるものです。もし、自分が準備を怠ったとしたら、どれほど広範囲に迷惑をかけるのかという事も理解できるようになりますので、衛生管理への取り組みも率先して行えるようになるでしょう。

衛生管理の基本『手洗い』について

それでは最後に、衛生管理の基本となる手洗いについてご紹介します。食品衛生は『手洗いに始まり、手洗いに終わる』と言われるほど、食中毒予防には非常に重要なポイントとなるものです。しかし、皆さんの日常生活を考えてみても分かるように、「手を洗いなさい!」とお子様に説明するものの、正確な手洗いの手順を知っている人はごく僅かなのではないでしょうか?ここでは、初めて食品工場で働く方には絶対に教えてほしい手洗いの手順をご紹介しておきます。以下にご紹介する手洗いの手順は、(公社)日本食品衛生協会が推奨する手洗い手順ですので、参考にしてはいかがでしょうか。

  1. 流水で手を洗う
  2. 洗浄剤を手に取る
  3. 手のひら、指の腹面を洗う
  4. 手の甲、指の背を洗う
  5. 指の間(側面)、股(付け根)を洗う
  6. 親指と親指の付け根のふくらんだ部分を洗う
  7. 指先を洗う
  8. 手首を洗う(内側・側面・外側)
  9. 洗浄剤を十分な流水でよく洗い流す
  10. 手を拭き乾燥させる
  11. アルコールによる消毒をする
上記手順の②~⑨を繰り返す2度洗いが効果的と言われています。もちろん、手洗いに関しても、「なぜ手洗いをする必要があるのか」という事をきちんと理解してもらい、適切な時に適切な方法で行うことを徹底してもらうことが重要です。

手洗い手順の参考:(公社)日本食品衛生協会

まとめ

今回は、食品工場における新人教育の重要ポイントについてご紹介してきました。食品工場であれば、独自に厳しい衛生管理や品質管理体制を構築しているのは当たり前ですが、パートやアルバイト従業員が多く勤務する場所という特性上、従業員の入れ替えも激しく、新人教育は非常に重要なポイントとなるでしょう。特に衛生管理については、一般生活下での衛生状況とは全く違うレベルの意識が必要となり、今まで食品工場で働いたことがないという人に教育を行う場合、かなり基本的な事から教える必要があると考えた方が良いでしょう。もちろん、衛生管理を定着させるためには従業員の努力と忍耐、そして、それなりの時間が必要になるものですので、最初のうちはチーム員同士でしっかりとチェックが行える体制づくりが必要になります。