工場の自動化やロボット化によって得られるメリットとは?

近年では、様々な物の自動化、ロボット化が進んでいると感じる人は多いのでないでしょうか。身近なところで言えば、大手スーパーや衣料品店のレジが無人化されていることや、完全ではありませんが自動車の自動運転などはテレビや雑誌などで盛んに特集されています。特に自動車の自動運転に関しては、2018年の8月に世界初となる自動運転タクシーによる公道営業実証実験が行われ、大きなニュースとなり、記憶に新しいという人も多いことでしょう。
このような自動化やロボット化の流れは、当たり前のように製造現場である工場でも進んでおり、特に最近は工場の自動化の流れは一気に加速しているように思えます。工場を自動化することには、様々な面で得られるメリットが多いものですが、その反面デメリットも存在しているといわれています。例えば、工場のロボット化は『工場の無人化』と同じ意味となりますので、ロボット化によって人が働く場所や機会を奪ってしまうなどの雇用問題を心配する声は非常に多いものです。
そこで今回は、今後の製造業界のキーワードでもある『工場の自動化・ロボット化』にはどのようなメリットがあるのか?についてご紹介していきたいと思います。

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工場の自動化によるメリット

それでは最初に、工場をロボット化、自動化することによって得られるメリットについて考えてみましょう。ものづくり大国とも言われる日本では、世界的な技術を持った製造工場は少なくありません。そのような日本でも多くの製造業者が、生き残りをかけて工場の自動化やIoT化をどんどん進めています。スマートファクトリーなどとも呼ばれる工場のIoT化については別の機会に触れるとして、これほど工場の自動化が年々加速しているのには、ロボットの導入によって工場を自動化することに、やはりそれなりのメリットがあるからなのです。ここでは筆者の考える工場の自動化に関するメリットをいくつかご紹介していきましょう。

人件費の削減が可能

工場におけるロボット導入による自動化最大のメリットは、やはり大幅な人件費の削減が可能だという事でしょう。
昔の製造業を描いたドラマや映画を見てみると、広い工場内に多くの人が一堂に会して作業を行っている表現をされていますが、昭和や大正時代の工場ではそれがポピュラーだったのです。その後、日本では人件費の高騰もあり、より安価に従業員を雇える海外へ製造拠点を移すという事例が多くありました。しかし、工場のロボット化を進めることで、輸送リスクがある海外へわざわざ製造拠点を移す必要がなく、国内で安定した事業が可能となるのです。

採用・育成リスクの削減が可能

工場を無人化して運用を行うという事は、製造のために人を雇う必要がなく、多大な費用が掛かる採用活動や人材育成の経費を削減できるというメリットがあります。特に、多くの人員が必要となる大きな製造工場などであれば、採用活動に莫大な経費が必要になり、採用したとしてもすぐに辞めてしまうことも少なくありません。そのような不安要素を解消できるのは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
また、人間には得手不得手がありますので、同じ教育をしたとしても成長スピードは人それぞれで、モチベーションなどの不透明要素も多くあるものです。一方、ロボットであれば、一定の精度で安定した製造活動が可能となるため、人間が必ず持つ不透明要素を解消してくれるなど、様々なメリットがあります。

ヒューマンエラーが減り業務精度が良くなる

人間であれば誰しもミスを犯す可能性は持っています。しかし、ロボット化を進めることで、安定した精度の高い作業ができ、ヒューマンエラーによる問題をなくすことが可能です。また、暑い、寒いなどの環境に左右されることもなく、常に安定した高い作業効率を維持することが可能です。

人間ならではのトラブルが減る

生産ラインにロボットを導入することで、安定的な製造を実現できるメリットがあります。人間であれば疲労や病気、モチベーションによって作業速度や効率に誤差が生じますが、工場内を全て自動化した場合にはそのような心配もなく、「期間内にどれだけの製造が出来るのか?」を正確につかむことが可能となり、原価計算なども容易になります。
さらに、労働環境や労働時間などによる社員とのトラブルも起きません。最近増えているセクハラ・パワハラ問題等の人間特有のトラブルを心配する必要もなく、事業主の精神的負担を減らすことも可能となるでしょう。

工場の自動化によるデメリット

工場における自動化で得られるメリットについてはある程度分かっていただけたかと思います。それでは、逆に工場の自動化によるデメリットはどのようなものがあるのか?についても簡単に触れておきましょう。「工場の自動化には何もデメリットがない」という方もいますが、筆者は以下のようなデメリットがあると考えます。

  • ロボットに誤作動や故障が発生した場合、生産工程全体に影響が出てしまう。
  • ロボットや製造設備を配置するために広いスペースが必要。設備によっては安全柵が必要になる場合もある。
  • ロボットは正確な作業が可能だが、職人レベルの繊細な工程では手作業に及ばない。
  • 導入には莫大な費用が必要。

工場の自動化における代表的なデメリットは以上の様なものです。また、上述以外にも、ロボットを導入した場合には、定期的なメンテナンスや修理が必要となり、その作業は高度な専門知識を必要とする場合が多いです。その為、ロボットの点検・修理を行う確かな技術と知識を持った人を新たに雇用する必要があるでしょう。さらに、作業工程の中には、ロボットでは対応しきれない繊細な作業が必要になる場合もあり、高い技術を持った職人の育成が全く必要なくなるといったわけではありません。
つまり、工場の自動化というものは、全ての工程を無人化できるわけではなく、デメリットを補うには人の手が必要になると考えておいた方が良いでしょう。今後、さらに工場の自動化が進んだ場合、確かに人の雇用機会は減少してしまう可能性が高いでしょうが、ロボットでは補えないデメリットを賄うような雇用形態に代わっていくのではないかと筆者は考えています。

まとめ

今回は、近年加速している工場のロボット化・自動化について、そのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのかご紹介してきました。本稿でもご紹介しているように、工場の自動化には、ロボットによる正確な作業で、高品質な製品の安定的な製造が可能になることや、大幅な人件費などの経費削減が可能だというメリットがあります。もちろん、工場の自動化にはいくつかのデメリットも存在します。メリットとデメリットを総合的に比較してみるとメリットの方が大きく、今後工場で必要になる人員はどんどん減っていってしまう方向になるかもしれません。
工場の自動化については、全面的にロボット化を進めている大手工場も存在しますが、その場合、導入のためには莫大なコストがかかってしまいます。自社工場に関して、どのようにロボット化を進めていけばいいのか悩んだ時には、製造現場の設計施工実績が豊富な建設工事会社に相談してみることをオススメします。