外国人採用には多くのメリットがある一方、注意しておかなければいけないことも!

近年日本では、少子高齢化などの影響もあり、労働力不足が深刻化していると言われています。特に工場や倉庫などでの仕事は、業界自体にネガティブなイメージが広がっていることもあり、多くの企業が採用活動に苦戦していると言われています。このような状況の中、昨今の日本では女性やシニア世代といった多様な労働力を活用することが社会全体の課題になっており、外国人労働者の活用も例外ではありません。実際に、外国人労働者人口は年々増加しており、2015年~2018年には4年連続過去最高記録を更新し続けているのです。

それでは、自社の労働力として外国人採用を考えた場合、どのようなメリットがあり、また注意しておかなければいけないポイントはどのようなことがあるのでしょうか?
今回は、外国人採用のメリットと、実際に外国人を受け入れる場合に注意しておきたいポイントをご紹介していきます。

外国人採用にはどのようなメリットがある?

それでは、企業が外国人労働者を活用することに「どのようなメリットがあるのか?」をご紹介していきましょう。グローバル化が急速に進む昨今では、日本語を含む複数の言語を話せる人材の価値は高まる一方です。さらに専門知識・スキルを併せ持った「高度人材」と呼ばれるような人材については国境を越えた獲得競争が激化しているのです。つまり、外国人採用は単なる『労働力』の確保という側面だけでなく、将来的に企業の中核を担う人材の確保としても期待されているのです。
こういった外国人採用には、以下のようなメリットがあると言われています。

人材不足の解消や優秀な若手人材の確保が可能

少子化の影響で、若年層の人材確保は非常に困難になっています。外国人採用により、優秀な若手人材が確保できる場合があると言われています。
近年の日本では若年層の採用に関して売り手市場になっていると言われており、この世代の採用活動は大手企業に先を越されてしまい、優秀な若い人材の確保がなかなか難しいと頭を悩ませている中小企業は少なくありません。
そのため、日本にいる学ぶ意識が高く若い外国人を、優秀な若手人材確保の選択肢として「外国人採用を…」と考える企業が増加していると言われています。特にIoTなどのエンジニアに関しては、中国やインドといったアジア圏に優秀な学生も多いため、外国に目を向ける企業が増えているのでしょう。

社内の多言語化ができる

近年、宿泊業・飲食業・小売業を中心に多言語対応のニーズが非常に高まっていると言われています。『観光立国』という言葉をよく耳にするようになっていると思いますが、日本政府は2030年に訪日外国人数を6000万人に増すことを目標としており、訪日観光客は年々増え続けているのです。
そのため、そういった外国人観光客への対応を考えた場合、日本語はもちろん外国語も話せるマルチリンガルな外国人労働者は非常に活躍してくれるのです。

海外展開への足掛かりになる

外国人を雇用すれば、ビジネスで扱える言語が増加します。また、雇用した外国人の人脈などによっては、販路拡大なども期待できるでしょう。日本では売るのが難しいものでも、海外に持っていけば売れるようなビジネスを構築することができるかもしれません。

社内のグローバル化により新しいアイデアの創出が期待できる

外国人採用を行えば、異なるバックグラウンドで育った人々が社内に混在することになります。当然、外国人は日本の常識にはとらわれない自由な発想によるアイデアを出してくれるようになりますし、社内の何気ない会話からでも今まで出てこなかった意見が多く登場することになるでしょう。そうすることで、新商品開発や新規事業の構想など、さまざまな事業活動が活性化することが期待できます。
もちろん、そのような効果を期待するのであれば、国籍を問わず、自由に従業員がアイデアを発表できる機会を設け、それを吸い上げる仕組みづくりが必要になります。

外国人採用の注意点は?

企業が外国人採用を進めるには、上記のような、さまざまなメリットがあると言われています。しかしその一方で、いくつかの注意点が存在していますので、ここでは実際に外国人採用を進めようと考えている企業が注意しておかなければいけないポイントをご紹介します。

注意点① 言語・文化の違いを理解しておく

外国人労働者を採用する場合には、「日本人とは育った環境が全く異なるため文化が異なる」ということを前提に対応しなければいけません。日本人であれば伝わるような説明でも、外国人労働者を困惑させてしまう可能性があるのです。
外国人は、日本人よりもストレートなコミュニケーションに慣れている方が多いため、あいまいな指示が通用しない場合があります。例えば、何らかの作業をすぐにやってほしい場合でも、「今日の〇時までに対応して」などと、より具体的に指示するように心がけなければいけません。また、人前で叱責されることを嫌う人が多い、家族やプライベートの時間を大切にするなど、日本人とはかなり異なる文化や考えを持っている人がいるのです。
他にも、宗教の違いにより、日本人が驚くような習慣もありますが、そういった面も理解・尊重することが重要になります。

注意点② 既存従業員への周知も重要

①にも関連しますが、はじめて外国人労働者の受け入れを行う場合には、受け入れる側の既存従業員への対応も重要です。今まで日本人としか密接に関係していない人も多いため、言語や文化の違いから受け入れを不安に思ってしまう社員も少なくないでしょう。
したがって、まず「どういったバックグラウンドを持った人が入社してくるのか?」ということを既存従業員にしっかりと周知しておくことが重要になるでしょう。当然、新しく採用した人材には、教育が必要になりますので、言語が堪能な人を探し教育係をお願いしておくなど、お互いが気持ちよく仕事できる体制づくりを予め行っておきましょう。

注意点③ 入社後も定期的なフォローが必要

これは日本人の新入社員も同様ですが、外国人労働者の場合はより繊細なフォローが必要になると考えておきましょう。特に来日直後の外国人労働者は、社内だけでなく普段の生活の中でも新しい文化や習慣に慣れるのに苦労している場合もありますし、多大なストレスを感じている可能性もあるでしょう。したがって、定期的な面談などを行い、業務上の不安や悩みはもちろん、日常生活で困っていることなども丁寧にフォローしてあげる必要があると考えておきましょう。

まとめ

今回は、年々増加していると言われている外国人労働者に関して、自社で外国人採用を進めようと考えた場合の注意点や実際に外国人を採用したことで得られるメリットについてご紹介してきました。

現在の日本は、少子高齢化解決の糸口も見えていないような状況ですので、企業の採用活動は今後もより難しくなっていくことが予測されます。そのため、新しい人材確保の手段として外国人労働者を積極的に利用することは、どの企業でも考えていかなければいけないことなのではないかと考えられます。
もちろん、この記事でご紹介したように、多くのメリットが存在しているのですが、その一方で注意点もありますので、慎重に検討していくべきでしょう。