えっこれもハラスメント?トラブルにならないために知っておきたいハラスメントの種類は?

近年では、職場の中で従業員の自由や権利が重視されるようになっており、「ハラスメント(嫌がらせ)」という言葉を耳にする機会も増えています。ハラスメントに関しては、性的な嫌がらせに関する『セクハラ』や上司から部下に対する嫌がらせの『パワハラ』などはよく知られているのですが、ここ数年ハラスメント行為の種類がどんどん増えているように思えます。中には「こんなことまでハラスメントになるの…」などと、驚くようなものまであり、逆に職場の人間関係作りが難しくなっているのではないかと思えるほどです。

そこで今回は、職場のハラスメントにはどのようなものがあるのかについてご紹介していきたいと思います。

パワハラ型ハラスメントについて

パワハラの定義は以下のようになっています。

職場のパワーハラスメントとは
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
引用:明るい職場応援団

パワハラに関しては、詳細を理解している人が増えていますが、現在ではこれから派生したハラスメントが増加しています。

エイジハラスメント(エイハラ)

これは年齢を理由とした不当な嫌がらせのことを指しています。一昔前までの日本では、年功序列制が一般的だったのですが、現在ではそれも崩れ成果主義・実力主義の人事評価を採用する企業が増加しています。そのため、キャリアは短いけれど、会社に多くの利益をもたらすことで年下の人が上司になることも増えているのです。このような場合、「そんな年になって〇〇も出来ないのか…」「うだつが上がらない…」などの余計な言葉を口走るとエイハラになる可能性があります。逆に、「君は若いから、分からないだろうな」などと、年下を理由に無知・無能と決めつけるのもエイハラにあたります。

アルコールハラスメント(アルハラ)

これは、忘年会のニュースなどで言及されることがあるので、一度は耳にしたこともあるのではないでしょうか?アルハラは、飲みの場に職場の関係を持ち込み、上司が部下に飲酒を強要することを指しています。
一昔前のように「俺の酒が飲めないって言うのか!?」など、あからさまに無理強いする人は減ったと言われていますが、現在でも普通にあり得ることです。ちなみに、罰ゲームと称して一気飲みをさせる、下戸の人にソフトドリンクを禁じるなどもアルハラに該当します。

グルメハラスメント(グルハラ)

これはあまり聞いたことが無いかもしれませんね。例えば、部下が持参したお弁当の中身に干渉したり、飲み会などで注文する食事に関して、自分のこだわりを強要することがグルハラになると言われています。わかりやすく言えば、昔から言われる「鍋奉行」などの仕切り行為で、こういったことは現在では敬遠されるようです。

カラオケハラスメント(カラハラ)

なんとなくイメージしやすいハラスメントです。上司と部下の立場を利用して歌が苦手な部下に歌うように強要したり、部下の歌を笑ったりする行為が該当します。

ソーシャルハラスメント (ソーハラ)

最近ではFacebookやTwitterに代表されるSNSがたくさん登場しています。このSNSに関してもハラスメントが指摘されるようになっています。例えば、上司と部下の関係を利用してFacebookの友達申請を強要する、部下のSNSをこっそりフォローしてプライベートを監視するなどの行為がソーハラにあたると言われています。

セカンドハラスメント (セカハラ)

これは、何らかのハラスメントを受けた時、他の上司や部署に報告・相談したことを理由に、その報復としてさらなるハラスメント行為を受けることを指しています。企業としては、ハラスメント被害者が匿名で相談できる窓口を設けることや、公益通報者保護法の適用にも配慮する必要があります。

セクハラ型ハラスメントについて

セクハラの定義は以下のようになっています。

職場のセクシュアルハラスメントとは
「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。
引用:明るい職場応援団

最近では、セクハラもいろいろなハラスメントに派生しています。

マタニティハラスメント (マタハラ)

妊娠・出産・育児などを理由に、職場の仕事を優先できなくなった従業員に対する嫌がらせ行為です。女性の活躍が重要視されるようになった現在では、マタハラに関する問題が徐々に知られるようになっています。産休・育休からの復帰後、不当な配置転換や降格処分などもマタハラに該当します。

ジェンダーハラスメント (ジェンハラ)

一般的に言われる「男らしさ」「女らしさ」から外れた言動に対して、過度な干渉を行うなどの嫌がらせがこれにあたります。現在では、人それぞれの価値観が重要視されるようになっており、一昔前の『常識』と呼ばれる物差しに当てはめる行為は時代遅れとされているのです。例えば、「男のくせにこんなものも持てないのか」「女は泣けば許されると思っている」などの言動が該当します。

マリッジハラスメント (マリハラ)

これは、独身従業員に対して、結婚の意思や現在の状況などを確認もせずに「まだ結婚しないのか」「良い人を紹介してやろうか」などと、プライベートに過度な干渉を行う行為です。

職場環境型のハラスメントについて

職場では、上記のようなセクハラやパワハラ以外にも、職場環境に関するハラスメント行為が存在していると言われます。

モラルハラスメント (モラハラ)

結婚生活などで、夫婦間の問題となることが多いモラハラですが、職場でもモラハラが指摘されています。例えば、パワハラにならないようにと、温和な口調だったとしても、巧みな言動によって他人の心を傷つける行為はモラハラだと言われています。職場内で、特定の従業員を無視するなど、仲間はずれにする行為も立派なモラハラです。

スメルハラスメント (スメハラ)

これは、体臭やきつい香水の匂いなどで職場環境を悪化させるハラスメントです。こういった自分の匂いに関しては本人が自覚していないことが多いのも問題です。例えば、「〇〇さん臭いです」などとストレートに指摘してしまうと、指摘した側のハラスメント行為と捉えられてしまう可能性もあるなど、なかなか難しい問題です。
しかし、仕事に悪影響が出るようなスメハラが表面化している場合には、他の従業員に迷惑が掛かりますので、本人にきちんと納得させるなど、丁寧に解決を目指す必要があります。

テクノロジーハラスメント (テクハラ)

年下の上司が年配の部下に対して行うハラスメントに多いです。例えば、パソコンや複合機など、事務機器の扱いに慣れていない従業員に対して、「今どきこんなものも使えないのか」と嫌がらせを行う行為です。「テクニカル・ハラスメント」と言われる場合もあります。

レイシャルハラスメント (レイハラ)

人種・民族・国籍の違いを理由に嫌がらせをする行為を指しています。レイハラは、多くの場合パワハラも伴うと言われています。日本は、最近でこそ外国人労働者への議論が行われるようになっていますが、企業の受け入れ態勢がまだまだ整っているとは言えません。そのため、多様性への想像力が不足している人も多く、こういったハラスメント行為が多いと言われています。

まとめ

今回は、近年その種類が急増して、何が何やらわからなくなってきたハラスメント行為の種類についてご紹介しました。一昔前であれば、セクハラやパワハラぐらいだったハラスメント行為ですが、最近ではさまざまな種類に派生しており、それぞれに名称がつけられるようになっているのです。もちろん、ここでは紹介しきれなかったハラスメント行為が他にも存在しています。

最近では、ハラスメントの種類が増加したことにより、「生きづらい世の中になってきた…」などと嘆く人も多くいます。しかし、ハラスメント行為とは、他人が嫌がる行為のことを指していますので、現代になって種類が増えたのではなく、今までは我慢していただけということです。つまり、もともと「してはいけない」ことをしていただけですので、周りのことをきちんと考えて行動に移すようにすれば、「生きづらい」なんてことはないのではないでしょうか。