空地への太陽光発電の導入は、地球温暖化に貢献できる?

近年世界中で課題となっている地球温暖化問題。地球温暖化には様々な原因があると言われているのですが、その中でも非常に大きな原因の一つに温室効果ガスがあると言われています。特に日本国内で排出される温室効果ガスは、メタン、一酸化二窒素、フロン類など、様々な種類の温室効果ガスがある中でも、二酸化炭素が9割以上を占めているのです※1。そのため、様々な生産活動を行い、一般家庭などとは比較にならないほどの温室効果ガスを排出する各種工場では、CO2の排出量削減に向けて積極的な企業努力が求められています。
このような状況の中、多くの企業では様々な環境問題に対応するため、いろいろな対策が進められています。特に広大な敷地面積となる工場などでは、空地を利用して太陽光発電システムを取り入れる企業も増加傾向にあると言われています。それでは実際に、大量の温室効果ガスを排出すると考えられる工場に太陽光発電を導入した場合、地球環境に対してどのような効果をもたらすことができるのでしょう。本稿では、近年企業に求められる地球温暖化対策とはどのような物なのかについてご紹介していきたいと思います。

※1 日本における温室効果ガスの排出量の参考
出典:温室効果ガスインベントリオフィス 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
2017年度(平成29年度)の温室効果ガス排出量(速報値)

地球温暖化とは?実際に何が求められている?

近年では、テレビや新聞の紙面などで『地球温暖化問題』という言葉を目にする機会も増えています。しかし、ひとくちに地球温暖化と言われても、それによってどのような悪影響があるのか?、また、地球温暖化に対抗するためにはどのようなことが求められているのか?について、わからないという人も少なくないでしょう。ここでは、地球温暖化問題の基礎知識について簡単にご紹介しておきます。

地球温暖化がもたらす様々な影響

地球温暖化とは、その言葉からも分かるように、地球全体の平均気温が上昇することです。仮に、世界中が何の対策も行わず、現在のまま経済活動をつづけた場合、地球の平均気温は、およそ100年後に4度前後上昇すると予測が出ています。これだけを聞くと寒さに弱い人は「暖かくなって嬉しい。」と考えてしまうかもしれませんが、地球温暖化というものは、洪水の頻発や世界規模の干ばつなど、様々な悪影響が出ると言われているのです。
特に「100年後に…」と言われると、現在を生きる人にとっては遠い未来のように思え、なかなか現実問題として認識するのは難しいかもしれません。しかし、身近な現象で考えてみると、地球温暖化の影響と思われる現象はすでに日本国内でも発生しているという見解も少なくありません。それは、近年夏場になると頻発するゲリラ豪雨や、局地的な大雨による災害が急増していることです。これらは、温暖化によって「大気中の水蒸気が増えることにより、大雨が増える」というメカニズムだと言われています。もちろん、こういった豪雨被害と地球温暖化には関連性がないという意見もありますが、筆者の体感としては、自身の子供のころ(20~30年前)と比較しても猛暑や豪雨の頻度は上がっているのではないかと感じます。さらに気温上昇は、こういった災害だけではなく、世界中の伝染病が広域化することや、農業大国に干ばつ被害があった場合に、世界中で食糧危機を招くのではないかと言う懸念も挙げられているのです。
こういった地球温暖化によるリスクを避けるため、世界各国が協力しなければならないと言われており、2015年のパリ協定では「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ということが目標として掲げられました。

温室効果ガスの削減目標について


出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

パリ協定が結ばれた2015年には、世界中で約329億トンの二酸化炭素が排出されていたと言われています。内訳的には、中国が28.4%、アメリカが15.8%を占めており、CO2の排出量が10%を超える国はこの2か国のみです。日本におけるCO2排出量は、全体の3.6%となっていますので、前述の2か国と比較すると非常に少ないと思えるかもしれません。しかし、この数字は、世界的にみるとで第5位に位置し、今後もCO2削減のため、一層の努力が求められます。
こういった背景もあり日本政府は、2030年までに『2013年比で26%のCO2削減』を目標と掲げ、様々な対策に乗り出しています。特に、太陽光発電や風力発電など、発電時に温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーによる発電方法には、様々な補助金制度を設け、積極的な導入を推進しています。

MEMO
CO2排出量が15%を超えるアメリカですが、2017年6月にトランプ大統領がパリ協定の離脱を発表し世界中に衝撃を与えました。なぜなら人口も多くCO2排出量が突出している中国やアメリカの協力は、パリ協定が掲げる目標達成に必要不可欠だからです。

企業に求められる取り組みと、太陽光発電のCO2削減効果

それでは、日本国内の企業が地球温暖化対策のために、求められる取り組みについてご紹介しましょう。日本国内では、企業や公共施設から排出されるCO2がおよそ8割を占めると言われています。よって日本政府が掲げる目標を達成するためには、企業側が積極的にCO2排出削減に向けた取り組みを行うことが求められています。
特に近年では、企業が取り組むCO2排出削減対策として、自社の事業範囲内から対策を始めることはもちろん、次のステップとして事業者の原料調達・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体(サプライチェーン)における組織活動で排出されるCO2を削減することに注力することも重要と言われています。
企業が取り組むCO2削減対策には、様々なものがありますが、具体的な対策として『照明を全てLED化する』、『空調稼働の合理化を行う』などが真っ先にあげられるでしょう。しかし、敷地面積が比較的大きな工場などでは、太陽光発電システムを導入することが非常に有効な対策となると言われています。

太陽光発電によって得られる効果

それでは、太陽光発電システムを導入することで、どれほどのCO2削減効果があるのかについても触れておきましょう。人々の生活を支えるための電力を発電する方法には様々なものがあり、発電方式によってCO2排出量は大きく異なります。例えば、必要な電力全てを火力発電で賄ったと考えた場合、CO2の排出量は約6.87億トンになると言われています。これを、CO2排出量が少ないと言われている原子力や水力、さらには太陽光発電などと火力を組み合わせて運用したとすると、約3.55億トンものCO2を削減できると言われているのです。つまり、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが普及すればするほど、CO2排出量の削減が期待できるのです。
工場などで考えた場合、広い敷地に存在する空き地を利用したり、施設の屋根部分にパネルを設置することも可能ですので、比較的規模の大きな太陽光発電システムを導入することも可能でしょう。太陽光発電の導入は、CO2排出量の削減はもちろん、自家発電により工場を稼働させるための電力の一部を賄うなど、工場のランニングコスト削減にも役立てることが可能です。さらに、災害時などであれば、予備電力や売電など、様々な活用方法も検討でき、『環境への取り組みに力を入れている企業』として一般の方にも見える対策となりますので企業のイメージアップにも繋がります。
工場への太陽光発電システム導入は、地球温暖化問題解決に貢献できるのはもちろん、企業にとって様々なメリットを享受できるものですね。

まとめ

今回は、世界中で課題とされている地球温暖化と企業が求められている取り組みについてご紹介してきました。本稿でもご紹介しているように、現在世界中で温室効果ガスの削減に向けて様々な取り組みが行われています。
日本国内では、CO2排出量の約8割が企業や公共施設からとなっていますので、特に企業に求められることは非常に多いものです。CO2排出量削減には、様々な対策があるのですが、敷地面積が広い工場などであれば、太陽光発電設備の導入は非常に有効な方法だと言えるでしょう。
もちろん、企業が地球環境のために取り組む対策に対しては様々な助成金なども用意されていますので、今後CO2排出削減のために何らかの設備の導入をされる際は積極的に利用してみてはいかがでしょうか。