工場や倉庫などで太陽光発電設備を導入するメリットって何?

工場や倉庫などの大規模施設では、稼働のために大量のエネルギーが必要になることから、高額な電気代で頭を悩ませているという事業者様も多いのではないでしょうか?

工場や倉庫では、多くの機械・設備を動かすために大量の電力を必要とするだけでなく、施設内で働く従業員が安全で快適に働くためには、空調設備の稼働も必要となります。そのため、いくら「経費削減を行いたい」と考えたとしても、使用する電力量の削減にはどうしても限界があるのです。そこで、こういった大規模施設で電気代の削減を目指す場合には、太陽光発電などで自家発電・自家消費の体制を作るのがオススメです。

工場や倉庫は、広大な敷地面積を持つ施設も多く、周囲に高い建物が少ない立地条件で陰になることも少ないと考えられるため、太陽光発電設備の設置を考えた場合、非常に適していると言われているのです。そこで今回は、工場や倉庫に太陽光発電を設置するメリット・デメリットについてご紹介します。

工場や倉庫に太陽光発電を設置するメリット

工場や倉庫には、広大な敷地や屋根面があるものの、これらを有効活用せずに休眠スペースとなっている場合が少なくありません。太陽光発電設備は、そういった休眠スペースを使ってさまざまなメリットをもたらせてくれるのです。
ここでは、工場や倉庫に太陽光発電を設置した場合に得られるメリットをいくつかご紹介していきます。

自家発電で電気代削減が可能

工場や倉庫に太陽光発電を導入した場合、稼働に必要な電力の一部を自家発電することができるようになるため、電力会社から購入する電気代を削減することが可能です。自家発電する電気量は、自家消費量に足りている必要もありませんし、施設で利用する電気の一部を賄えるだけでも十分にメリットがあると言えるでしょう。
また、デマンド方式の電気料金契約が多い工場や倉庫であれば、自家発電によるピークカットが可能になりますので、電気の基本料金なども下げることができるでしょう。

売電収入を期待できる

太陽光発電設備で発電した電気は、自家消費せずに全量を電力会社に売電することも可能です。工場や倉庫の太陽光発電は、住宅用太陽光発電とは異なり、20年間は売電価格が崩れることなく保証されますので、安定的な売電収入を見込むことができます。なお、発電した電気全量を売電に回すのではなく、余った電気のみを売電に回すという選択肢もありますので、太陽光発電設備を柔軟に活用することができます。

企業のイメージUPにつながる

現在では、企業活動は利益の追求だけでなく、環境への配慮など社会への貢献も求められています。太陽光発電設備は、発電時にCO2を排出しないクリーエネルギーとなるため、これを積極的に導入し自家消費することで、「環境問題に取り組む企業」としてアピールすることもできるでしょう。
他にも、自社の従業員に環境意識を喚起することもできますので、従業員の節電意識の向上なども期待できると思います。

災害時には地域の非常用電源として活躍できる

台風や地震などの自然災害が多い日本では、企業が不測の事態に対する備えとなることが期待されています。
現在の私たちの生活は、多くの家電製品に支えられており、停電被害が発生してしまうと日常生活すらままならなくなってしまいます。そのため、東日本大震災以降は、家庭用蓄電池の需要が急速に高まっているなど、一般住宅でも非常用電源の確保の重要性が認識され始めています。
工場や倉庫のことを考えてみた場合、自社に自立運転できる太陽光発電設備が備わっていれば、万一の停電時でも企業活動に必要な最低限の電力を確保することも可能です。さらに、携帯電話の充電やライフラインの稼働用に電源を開放すれば、大きな地域貢献にもなるでしょう。

節税効果がある

工場や倉庫で太陽光発電を導入する場合、企業の規模や設置方法、設備規模などの要件によって、税制優遇措置を受けることができます。現在、国や地方自治体では再生可能エネルギーや蓄電池の普及推進に力を入れていますので、さまざまな補助政策が制定されています。

空調の稼働を抑えることができる

屋根スペースに太陽光パネルを設置する場合、屋根表面の温度上昇を下げる効果があると言われています。例えば、夏場の屋根表面は、日射の影響で60~80℃程度にまで温度が上昇すると言われています。このような屋根の温度上昇は、室内の温度にも影響を与えるため空調機器の負荷増大につながり、夏場の電気代が高くなってしまいます。
屋根に太陽光パネルを設置した場合、屋根表面の温度が10~30℃程度下がると言われていますので、空調負荷の低減により消費電力の削減も期待できるでしょう。

工場や倉庫に太陽光発電を設置するデメリット

上記のように、さまざまなメリットがある太陽光発電設備ですが、いくつかのデメリットも指摘されていますので、実際に導入する場合にはデメリット面もしっかりと押さえておくのが重要です。
以下に工場や倉庫に太陽光発電設備を導入する場合に考えられるデメリットをご紹介します。

高額な初期投資が必要

導入する太陽光発電の規模によっては、初期投資がかなり高額になるのがデメリットです。ただし、補助金や税制優遇措置を上手に利用すれば、ある程度負担を軽減することは可能だと思います。
大規模施設に太陽光発電を導入する場合、設置する太陽光パネルも多くスケールメリットが期待できるため、住宅用太陽光発電と比較すると設置単価は割安になると言われています。また、発電した電気全てを売電すると考えた場合には、一般的に10%前後の利回りが期待できると言われていますので、初期コストの回収は比較的早くなると考えられます。
他にも、日々の電気代削減効果などのメリットがありますので、「初期投資がかなりかかる…」と考えるのではなく、中長期的な『費用対効果』に注目するのが大切になるのではないでしょうか。

雨漏りトラブルなどが発生する可能性がある

屋根に太陽光発電設備を設置する場合、施工不良により雨漏りが発生するようになった…という事例も珍しくありません。太陽光パネルは、屋根材に取り付け金具を直接ビス止めする施工方法が多く、簡単に言えば「屋根材に穴をあけて取り付ける」ということなのです。もちろん、固定部分にはコーキング処理(防水加工)がなされますので、きちんと施工されている場合には雨漏りの心配などはありません。しかし、施工業者の中には太陽光発電には詳しい知識があるものの、屋根の特性について知識を持っていないという業者も少なくなく、雨仕舞に問題があり雨漏りに発展する…ということがあるのです。
こういった施工不良に関しては、「信頼できる業者を選ぶ!」ということが最も重要になりますので、慎重に業者選びを進めるようにしましょう。

まとめ

今回は、工場や倉庫のような大規模施設に太陽光発電設備を導入するメリットとデメリットをご紹介しました。本稿でご紹介したように、太陽光発電設備は、施設の稼働に必要になる電力を賄うことができるようになるため、電気代を削減できることが大きなメリットになるでしょう。他にも、諸外国と比較して、地震や台風などの自然災害が多い国として有名な日本では、非常時でも最低限の電力確保ができることや、電源の開放で地域貢献ができるなどのメリットもあります。

太陽光発電設備の導入には、多額のコストがかかってしまいますので、電気代削減効果や売電収入、税制の優遇措置などを考慮して長期的な視点で計算する必要があるでしょう。