工場の新設時に利用できる地方自治体の補助金をご紹介【西日本編】

今回は、工場の新設や増設を進める場合に利用できる、地方自治体の補助金・助成金をご紹介します。工場の新設や増設は、一般住宅とは異なり、施設の規模が大きく、取扱製品の特性を考えてさまざまな設備を設置しなければいけません。したがって、工場建設プロジェクトには大きなコストが掛かります。もちろん、事業を拡大・継続するために必要な経費ですが、できるだけ自己負担をおさえたいと考えるのはどの事業者様も同じことでしょう。
そういった場合に、ぜひ利用したいのが地方自治体が作っている助成金や補助金などの支援制度です。最近では、工場や事業所の誘致を積極的に行っている自治体も多く、工場新設・増設時に利用できる制度は様々なものがあります。そこで今回は、第一弾として、西日本における地方自治体の支援制度をいくつかご紹介していきます。

大阪府の助成金・補助金制度

それではまず、大阪府における、工場の新設や増設に利用できる助成金・補助金制度からです。

産業集積促進税制

概要
大阪府内における産業集積を税制面から促進するため、平成25年4月から産業集積促進地域における土地や家屋(工場、研究所等)の取得に係る不動産取得税を軽減する特例措置(産業集積促進税制)を設けています。
対 象 者 自己の事業(風俗営業等及び風俗営業等に利用させる目的で不動産を貸し付ける事業を除く)の用に供するために対象不動産を取得した中小企業者のうち、対象不動産に関して、市町村の優遇措置を受けたもの。※中小企業者とは、資本金の額又は出資の総額が1億円以下である会社及び個人をいいます
軽減額 不動産取得税の2分の1に相当する額。(2億円が軽減限度額となります。)
適用期間 対象期間中に対象地域内において取得した工場、研究所等の家屋又はその敷地である土地。
・土地の場合は、対象期間中に取得し、かつ、その取得の翌日から1年以内にその土地を敷地として自ら家屋(工場、研究所等)の建設(新築又は増築に限る。)に着手した場合又は家屋を取得(建築した場合を除く。)した場合に限ります。
・家屋(工場、研究所等)を建築(新築、増築、改築)した場合は、対象期間中に建設の着手が行われた場合に限り、建築以外(売買、交換、贈与等)の場合は、対象期間中に取得したものに限ります。

産業集積促進税制の詳細

京都府の助成金・補助金制度

次は京都府における、工場の新設や増設に利用できる助成金・補助金制度です。

京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金

概要
京都府または市町村の誘致を受けて、工業団地等に新たに立地した場合や、京都府内の既存工場等を増設した場合、設備投資額等や新規府内雇用に対して補助
対 象 者 府内で事業所を新・増設する企業等
詳細内容 京都府では、製造業への立地補助金はもちろんのこと、その他様々な業種に対しての優遇制度をご用意しております。
 →製造業、自然科学研究所、情報関連産業、植物工場 等 
(特定地域での優遇制度)
 →映像コンテンツ関連産業、物流関連産業  
※ 既に工事契約や工事着工をされている場合などにおいては制度利用が出来ませんので、立地決定される前に、必ず京都府または地元市町村へお問い合わせください。
> 詳細はこちらをご確認ください
適用期間 平成34年3月31日までに、京都府から補助対象事業所としての指定を受けたもの
担当窓口 商工労働観光部産業立地課 075-414-4848

京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金の詳細

兵庫県の助成金・補助金制度

次は兵庫県における、工場の新設や増設に利用できる助成金・補助金制度です。

神戸市先端製造業大規模投資促進補助制度

概要
兵庫県の産業集積条例に基づく支援施策の拡充とも協調し、市内全域において成長分野における高度技術を用いて新たに展開する企業への補助を行うことにより、神戸市内外の企業から大規模かつ積極的な設備投資を呼び込むことで、神戸経済の活性化、雇用の維持・創出及び市税の税源涵養を図ります。
対象事業・分野 成長分野において高度技術を用いて新たに展開される事業
対象地域 市内全域の工業地域・工業専用地域
対象経費 固定資産取得費(土地購入費を除き、固定資産税の課税対象となるリース費を含む)
投資規模・補助率・限度額等 投資規模:20億円以上
補助率:6%
限度額:なし
支給方法:5年分割
事業実施義務期間:10年間
担当窓口 神戸市経済観光局経済部経済経済政策課 078-322-5323

神戸市先端製造業大規模投資促進補助制度の詳細

広島県の助成金・補助金制度

次は広島県における、工場の新設や増設に利用できる助成金・補助金制度です。

広島市企業立地促進補助制度

以下の情報は、平成31年4月1日時点、「建物を新築する場合」の補助制度です。

対象業種 製造業
事業要件(いずれかに該当すること) 圏域(※1)内初立地
研究開発部門
成長産業分野
大規模投資(50億円以上)
立地エリア 市内全域
延床面積 1,000㎡以上かつ圏域(※1)全体で1,000㎡以上増加
(圏域内(※1)で移転する場合等は、純増分のみ対象)
補助内容 建物・機械設備の取得費×補助率15%  限度額 5億円
(土地の造成費、建物の取壊費、建物の設計費等を除く)
(1品につき100万円以上の償却資産に限る)
担当窓口 広島市 経済観光局 産業振興部 産業立地推進課 082-504-2241(直通)
(※1)広島広域都市圏とは
経済面や生活面で深く結び付いている圏域内の24市町が連携し、国の「連携中枢都市圏制度」に依拠しながら地域の資源を圏域全体で活用する様々な施策を展開することで、圏域経済の活性化と圏域内人口200万人超を目指します。

広島市企業立地促進補助制度の詳細

香川県の優遇制度

最後は香川県における、工場の建設時の優遇制度です。

企業誘致助成制度【工場】

助成対象となる「工場」は日本標準産業分類に掲げる製造業(植物工場(注)を含む。)の工場です。

要件 ◎土地を除く投下固定資産額 1億円以上
◎新規常用雇用者数 10人以上
※新規常用雇用者は、交付申請時に10人以上在職し、かつ交付申請前6か月の毎月末における在職者の平均が10人以上であることが必要です。
助成内容 ◎投下固定資産額の 10%
※特定分野にあっては、投下固定資産額の 15%
《雇用に対する助成》
◎11人目以降の新規常用雇用者数× 50万円
◎51人目以降の新規常用雇用者数×100万円
限度額 5億円
担当窓口 香川県商工労働部 経営支援課 中小企業対策相談窓口
TEL:087-832-3347
(注)植物工場の定義
製造業を営む者が事業主体であり、閉鎖環境で、植物の育成に必要な環境をLED照明や空調、養液供給等により人工的に制御し、季節を問わず植物を連続的に生産できる施設であって、建築基準法に基づく建築物として建築確認を要するものに限る。

広島市企業立地促進補助制度の詳細

まとめ

今回は、工場の新設や増設時に利用できる、地方自治体の支援制度をいくつかご紹介しました。基本的には、どの地方自治体でも企業誘致目的などで、さまざまな支援制度が作られていますので、本稿でご紹介した補助金制度以外にも利用できる制度はたくさんあります。また、今回の記事だけではご紹介しきれなかった地域の補助金制度は、シリーズ化してまとめていこうと考えていますので、その他の地域の支援制度が知りたい方はしばらくお待ちください。