意外と活躍の場が多い『灯油!』灯油は保管方法を間違うと劣化するって知っていますか?

今回は、一般家庭でも非常に身近な燃料となる『灯油』について、その使用期限や注意しなければならない保管方法についてご紹介したいと思います。灯油は、冬場に暖房器具として活躍するストーブやファンヒーターなどに使用される燃料で、他にも石油給湯器を利用しているご家庭などであれば、一定の量を買い置きしていることもあるでしょう。工場や倉庫などで考えても、灯油を使用する場面も珍しくありませんし、施設内にある程度の量を保管しているという場合も多いと思います。

それでは、こういった買い置きした灯油に関して、保管時に注意していることはあるでしょうか?当然、火災の原因にならないよう、火気の周辺に保管しないなどの注意は行っていると思いますが、「腐るものではない…」と言ったイメージを持っている方も多く、それ以外のことにはあまり注意を払っていないという方が多いように思えます。しかし、この灯油に関しては、正しい保管方法を守らなければ、早く変質が起こってしまい、異常燃焼や機器の故障の原因となる場合があるのです。

この記事では、灯油の保管時に注意しておきたいポイントをご紹介します。

灯油には使用期限があるのか?

それではまず、購入した灯油の使用期限についてご紹介していきましょう。食料品であれば、賞味期限や消費期限などが包装紙に記載されており、それを基準に「口にするかしないか?」を一般の方でも簡単に判断することが可能です。
それでは、灯油に関しては、似たような使用期限などが決められているのでしょうか?

使用期限は決められていないが…

結論、灯油には特に使用期限はありません。

しかし、使用期限は決められていないものの、保管方法に注意しておかなければ意外と早く劣化してしまうと言われているのです。例えば、保管状態が良くない場合には、本来無色透明に近い灯油が、黄色がかった色に変色してしまいます。また、通常の灯油にはない臭みも出てくると言われているのです。灯油には使用期限が無いとご紹介しましたが、このように灯油が変質してしまった場合には、異常燃焼や機器の故障の原因となってしまうため、使わない方が良いとされます。

それでは、使用期限が無いはずの灯油が上記に様に変質してしまうのはなぜなのでしょうか?この理由は、灯油の保管場所が関係しており、直射日光が当たる場所に置いている場合に変質してしまうのです。灯油が気化する温度は40℃ですので、常温で保管している場合に自然発火してしまう恐れはほとんどありませんが、直射日光の当たる場所に放置していると紫外線によって変質し、機器の故障の原因になるのです。

灯油はいつまで使える?
上述のように、灯油には特に使用期限が設けられていませんので、1シーズンで使いきれなかった灯油を次の冬まで保管して持ち越しで使用するという方も多いと思います。しかし、石油ストーブの取り扱い説明書などを確認すると、ほとんどの場合「持ち越し灯油は使用禁止」などと注意書きがなされています。また、国民生活センターなどでも、使い切れなかった灯油を長期間保管して使用するのは、不完全燃焼や機器故障の原因となるなどと、注意喚起がなされています。
灯油は使用期限がないものの、1シーズン以上持ち越した場合には、使用前に変質をおこしていないか確認したうえで使用しましょう。

参考:国民生活センター「不良灯油による石油暖房機器の故障や異常に注意

正しい灯油の保管方法とは?

それでは、正しい灯油の保管方法についてご紹介していきましょう。

  • 専用の容器に入れる
    灯油には専用のポリ容器がありますので、必ず灯油用のポリ容器を用意してください。灯油のポリ容器は、赤色など色がついているのですが、これは太陽熱などで発火しないようにする、紫外線を通さないようにするなどの工夫です。ホームセンターなどでは、透明に近い色のポリ容器が販売されていますが、これは飲料水などを入れるために用意されている容器で、灯油を保管する機能はありません。
  • 定期的にポリ容器を交換する
    灯油用のポリ容器は、多少の衝撃などがあっても破損しにくいように作られています。しかし、長く使用していれば徐々に劣化してしまいますので、定期的に新しいポリ容器に交換しましょう。
  • 直射日光の当たらない場所で保管する
    上述しているように、灯油を直射日光の当たる場所に保管すると、早く変質してしまうことになります。したがって、灯油の保管は、直射日光が当たらない場所を選んでください。また、火の近くを保管場所に選ぶのは絶対にいけません。スペース的な問題で、日光が当たる場所に保管する場合には、容器全体を覆うようなカバーをかけておきましょう。なお、最近ではポリ容器の収納ケースなどが販売されていますので、そういったものを用意するのもオススメです。
  • 高温多湿な場所を避ける
    高温な場所が良くないというのは皆さんもご存知でしょうが、実は灯油の保管場所として湿度が高い場所も適さないのです。したがって、風通しの良い日陰を見つけて保管するようにしましょう。

灯油の保管については、上記のような条件を考慮して場所を決めるようにしてください。

保管時の注意点

それでは最後に、灯油を保管する際の注意点もご紹介しておきます。ここまでの説明で分かるように、灯油は正しい保管方法を守らなければ意外と簡単に変質をおこしてしまう物であり、変質していることに気付かずに使用した場合、不完全燃焼による事故や機器の故障の原因となってしまうのです。
灯油を保管する場合には、正しい保管方法のもと以下の点に注意しましょう。

  • 不純物の混入に注意
    灯油に不純物が混入してしまうと、不完全燃焼や機器の故障を引き起こす恐れがあります。保管時にはしっかりと蓋が閉まっているか確認しましょう。
  • できるだけ満タン状態で保管する
    灯油を保管する際には、容器に満タン状態で保管するのが望ましいです。容器に空きがあるような少量保管では、寒暖差によって容器内に水気が溜まることがあり、不完全燃焼や機器故障の恐れが出てきます。どうしても少量で保管する場合には、できるだけ寒暖の差が無い場所を選びましょう。
  • 火気厳禁
    灯油を取り扱う時は火気厳禁を徹底しましょう。くわえタバコなどはもっての外ですが、意外と見落とされがちなのは静電気です。静電気が起きやすい服装で灯油を取り扱うのも避けましょう。
  • 廃棄時の注意点
    変質して使用できなくなった灯油に関しても、側溝などに流すのは絶対にNGです。灯油の廃棄は、基本的に購入店に相談するようにしましょう。ガソリンスタンドなどでも処分してくれますので、購入時に処分も可能なのか、処分費はいくらかかるのか予め確認しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は、非常に身近な燃料である灯油の保管方法についてご紹介してきました。灯油は、石油給湯器やストーブなどに使用する燃料ですので、一般家庭などでも非常に身近な存在です。しかし、身近な燃料のわりに正しい保管方法についてはあまり理解されていないような気がします。実際に、国民生活センターなどでも、灯油の変質による機器の故障や不完全燃焼による事故などへの注意喚起が何度も出されているほどなのです。

工場や倉庫などでも、灯油を利用する施設は多いと思いますので、ぜひこの記事でご紹介した内容はおさえておいておきましょう。

参考:ガソリンと軽油って何が違う?取り扱う機会が多いガソリンと軽油の基礎知識