食品の安全を守る物流方式!コールドチェーンってなんだ?

近年は、インターネットを介して手軽に何でも手に入る時代になり、クリック一つで何百kmも離れた地方の食品を簡単に購入することが可能です。これは、通販システムなど、インターネット業界の著しい進化によって可能になったと考える方も多いでしょうが、物流手法が急速に進化しているということを決して見逃すことはできません。特に、その中でも近年注目を集めている物流手法の一つに『コールドチェーン』というものがあることはご存知でしょうか?
コールドチェーンを簡単に説明すると、「生産地から消費地まで、一貫して低温を保って流通される仕組みのこと」を意味するのですが、それでは具体的にどのような物流の形のことでしょうか。コールドチェーンは、生鮮食品などの傷みやすい食品を、「品質を保ったまま消費者まで届けるためにはどうすればよいか…」とお悩みの方には必見の物流手法です。
そこで今回は、近年世界中で市場が拡大していると言われているコールドチェーンが、どのような物なのかを具体的に解説していきます。

コールドチェーンとは?

それではまず、「コールドチェーンとは何なのか?」という基礎知識についてご紹介しましょう。コールドチェーンは、冒頭でもご紹介したように、モノが作られる生産地から消費者の手に届くまでの『生産・輸送・消費』などといった過程の間、一貫して所定の低温度を保ったまま流通させる物流手法のことを指しています。これは、低温度での管理が途切れないように、運搬や保管といったプロセスをつなげていくことから、「冷たい連鎖=コールドチェーン」と名付けられたと言われており、他にも、低温流通体系や低温ロジスティクスなどといった呼び名もあります。
このコールドチェーンは、さまざまな商品の鮮度や品質を高い状態で保ったまま届けることができるため、対象となる品目が多いのも特徴です。例えば、生鮮食品、冷凍食品、水産物などをはじめとして、人の命に関わる医薬品や血液パックなど、さまざまなジャンルの流通手法として活用されており、今や私たちの生活に欠かせないものと言えるのです。
コールドチェーンの世界市場規模は、今後も急速な発展を続け、2025年には4475億ドルに達すると予測されています。

参考資料:サーチステーション社調査より

具体的なコールドチェーンのシステムについて

コールドチェーンは、上述のように、『生産・加工』、『流通』、『消費』の各過程において、一貫して低温度を保つ物流手法です。それでは、それぞれの過程ではどのような仕組みが必要なのか、もう少し具体的にご紹介します。

生産・加工の過程
野菜や果物などの流通を考えた場合は、コールドチェーンの第一段階として『予冷』が必要になります。予冷とは、青果の出荷前に行われる低温処理のことで、これを行うことによって、その後の品質の持ちが大きく変わります。そして、予冷後の青果は、出荷までの間、高鮮度保持冷蔵庫などで適切な保管を行います。
また、肉や魚、加工食品など冷凍して流通する場合には、まず冷凍することが必要です。ただし、通常冷凍では、細胞が壊され、品質が低下してしまいますので、品質を保ったまま冷凍を可能とする急速冷凍機などが利用されます。
流通の過程
流通は、生産地から消費までを結ぶ過程となりますので、コールドチェーンの中でも特に重要な段階です。この過程は、生産地から冷蔵・冷凍車によって運ばれ、冷蔵・冷凍倉庫にて一時保管される段階のことです。
低温度を一定に保ったまま運搬・保管するためには、さまざまな設備が必要になるため、常温輸送に比べコストがかかっていましたが、近年では大手流通企業の工夫によって、常温輸送とそこまで変わらないコストでの輸送が可能となっています。ただし、海外へ食品を輸出する場合には、国内の流通だけでなく、海外での輸送方法や保管方法を把握しておかなければいけません。
消費の過程
コールドチェーンにおける消費過程は、一般住宅の冷蔵庫や飲食店の業務用冷蔵庫が担っています。最近では、一般家庭の冷蔵庫もチルドやパーシャル保存など、高機能化していますので、消費段階でも鮮度を保ちやすくなっていると言われています。

コールドチェーンの課題

コールドチェーンの考え方や、具体的にどのような仕組みになっているのかはわかっていただけたのではないでしょうか。コールドチェーンの登場で、野菜などの生鮮食品や冷凍食品を運ぶレベルが飛躍的に向上したため、食品物流業界にとって非常に大きな変化がもたらされたと言われています。特に、常温流通と比較すると、鮮度保持期間が圧倒的に長くなるため、輸送や一時保存などの流通段階で食品が傷んだり、腐ったりするリスクが大幅に減少することになります。したがって、流通段階における食品廃棄ロスが大幅に削減でき、今まで無駄になっていたコストをカットでき、食品業界の効率性を高めるという結果をもたらしているのです。
しかし、コールドチェーンには、まだまだ以下のような課題もあると言われています。

一貫した温度管理が難しい

コールドチェーンは、上述の通り、生産地から消費者の手元に届くまで、一貫した低温度での管理が必要になります。もちろん、どこか一つの段階で一貫した温度管理ができていないだけでも、消費者に高品質な商品を届けることができないのです。
しかし、実際には日本国内に限っても、完全に一貫したコールドチェーンが確立されているとは言い切れないとも言われています。例えば、青果の卸売市場などを見てみると、たくさんの商品が常温状態で山積みになって販売されています。また、今年の年末年始には、人為的ミスによって冷蔵輸送が必要な『おせち料理』が常温輸送されてしまい、全て廃棄処分になったなどのニュースも記憶に新しいですね。
このように、世界トップクラスの物流システムを誇る日本でも、商品を取り扱う人間が「コールドチェーンでは何をしなければならないのか?」という仕組みを理解できておらず、「一貫した温度管理」が難しいのが現状なのです。

コスト面の問題

コールドチェーンは、上述の通り、『生産・加工』、『流通』、『消費』、全ての過程において温度管理が必要になるものですので、流通体系を整備するのに多額のコストがかかってしまいます。
例えば、流通段階を考えてみた場合、冷蔵・冷凍車はもちろん、大規模な冷凍・冷蔵倉庫が必要になることも多いため、自前のコールドチェーンを構築しようと思った場合には、多額のイニシャルコストが必要になると覚悟しなければいけません。また、海外も含めて考えた時には、迅速に輸送を可能とする交通網や、電気などのインフラ、冷蔵庫の普及など、社会基盤から整備する必要があるため、金銭的なコストだけでなく時間的なコストがかかる場合も少なくないのです。

まとめ

今回は、近年注目を集めている物流手法の一つ『コールドチェーン』についてご紹介してきました。コールドチェーンの意味に関しては、そこまで難しいものではなく、モノを生産地から消費地に届ける際、一貫して低温度で保っておく物流システムと理解しておけば問題ないでしょう。
コールドチェーンの登場によって、食品業界は新たな可能性が膨らんだといえるでしょう。コールドチェーンであれば、食品が傷む心配が少なくなりますので、生鮮食品の海外への輸出も可能です。逆に日本で海外の食品を高い鮮度で食べられるというメリットもあるのです。
したがって、高品質な状態を保ったままの食品を、消費者の手元に届けたいと考えている場合は、必ず知っておくべき流通方法だと言えるでしょう。

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