ギグワーカーとは?働き方やメリット・デメリットを解説

皆さんは『ギグワーカー』という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?最近ではテレビなどでも耳にする機会が増加してきたこともあり、この言葉自体はなんとなく聞き覚えがある…という人も多いかもしれません。それでは、このギグワーカーとは何を指した言葉なのかはご存じでしょうか。

ギグワーカーは、独立業務請負人、オンラインプラットフォーム労働者、契約事務所労働者、オンコール労働者、および臨時労働者 の総称。ギグワーカーは、オンデマンドの企業と正式な労働契約を結び、企業の顧客にサービスを提供する。
引用:wikipedia

ウィキペディアには上記のように紹介されているのですが、もう少し噛み砕いてみると、インターネット上のアプリなどを通じて『単発の仕事』を請け負う人のことをギグワーカーと呼ぶのです。ちなみに、アプリ側である仕事の仲介を行う業者はプラットフォーマーと呼ばれます。

このギグワーカーは、海外では既に当たり前の働き方として定着するようになっているそうですが、日本では働き方改革が推進されるようになってから新しい労働者の形として急増していると言われているのです。特に今年に関して言えば、コロナショックによる雇用環境の悪化が深刻化していることもあり、『ギグワーカー』と呼ばれる人が急増していると言われているのです。
そこでこの記事では、ギグワーカーがどういった働き方をするのか、ギグワーカーのメリット・デメリットは何かについて簡単にご紹介していきたいと思います。

ギグワーカーとは?

それではまず、ギグワーカーの基礎知識として、どういった働き方をするのかといった点についてご紹介していきましょう。

上述したように、『ギグワーカー』はインターネット上のアプリなどを通じて単発の仕事を請け負い、それで収入を得ている人を指しています。そもそもギグワーカーの『ギグ』という部分は、もともとミュージシャンなどがライブハウスなどで行う短いセッションや、クラブでの一度限りの演奏のことを指した英語のスラングですので、「一度限りの仕事を請け負う労働者」という意味から『ギグワーカー』という呼び名がついたのだと思います。

ギグワーカーの働き方について

日本社会での働き方を考えてみると『終身雇用』などと言う言葉があるように、労働者は一つの企業に雇われて働き、企業側もよっぽどのことがなけれな雇用を続けるという働き方が当たり前でした。しかし、派遣やフリーランスなどと言った多様な働き方が登場した現在では、一つの企業に忠誠を誓い働き続けるという従来の働き方は一般的ではなくなってきたように思えます。特にギグワーカーについては、さまざまな企業から単発で仕事を請け負うという働き方のため、従来のように特定企業と主従関係のようになることはありません。

ギグワーカーの仕事内容について、わかりやすい例を挙げるとすれば『UberEats(ウーバーイーツ)』の配達員です。ウーバーイーツは、さまざまな飲食店が登録しており、顧客が必要な時に食事を配達してくれるサービスです。通常、飲食店の配達サービスであれば、お店が雇っている人員を使って食事の配達をするものですが、ウーバーイーツの場合は配達員を直接雇用するのではなく、1回の配達ごとに報酬が発生するという形になっているのです。お店側からすれば、配達員をアルバイトとして雇っていたのであれば配達する物が無くても時給として給料を支払う必要があるのですが、ギグワーカーで賄っていれば、そのリスクがなくなるというメリットがあります。
また、ギグワーカー側からしても、シフトなどが決められていないため、仕事さえあれば好きな時に好きだけ仕事ができるという自由度がメリットになるのです。ちなみに、海外では年収1000万円を超えるようなギグワーカーもいると言われています。

アルバイトやフリーランスとの違い
近年注目されるようになった『ギグワーカー』ですが、アルバイトやフリーランスという働き方と何が違うのでしょうか?アルバイトに関しては、基本的に継続的な雇用関係が存在しますので、『単発の仕事を請け負う』ギグワーカーとは雇用形態からして異なるのは理解できると思います。しかし、フリーランスについては、こちらも単発で仕事を行うこともありますし、「同じ意味なのかな?」と考えてしまう人もいるでしょう。しかし、フリーランスに関しては、単発で仕事を受注したとしても、受注したプロジェクトを完遂するためにある程度の時間的拘束はあるのが通常です。しかしギグワーカーというものは、基本的に好きな時に好きなだけ働くという働き方ですので、長時間拘束されるようなことがないのです。
つまり、アルバイトやフリーランスとギグワーカーの違いは『時間の拘束があるか否か』と考えて良いでしょう。

ギグワーカーのメリットとデメリット

ギグワーカーが「好きな時に好きなだけ働く」というものだと聞くと、誰もがギグワーカーとして働きたいと考えてしまうものかもしれませんね。ギグワーカーには、自由度の高い働き方ができるという非常に大きなメリットがあるのも確かですが、いくつかのデメリットも存在します。
ここでは、ギグワーカーの一般的なメリットとデメリットをご紹介しておきます。

ギグワーカーのメリット

それではまず、ギグワーカーのメリットからです。

  • 柔軟な働き方
    時間拘束などが無く、柔軟な働き方ができるというのがギグワーカーの大きなメリットです。自分のスキルや都合に合わせてさまざまな仕事を自分で選択できるのはギグワーカーの特徴です。
  • 副業収入が見込める
    ギグワーカーは、本業を持つ方でもプラスアルファの収入を期待することができます。短時間の空き時間などを活用して仕事ができるのもギグワーカーの魅力ですので、空いた時間でいろいろな仕事にチャレンジして、副収入を得ることが可能です。
  • 育児や介護と両立しやすい
    ギグワーカーは、育児や介護が必要な方で、まとまった時間がとれなくて正社員として働きにくい…という方でも働くことができるというメリットがあります。決まった時間に出社する…などと言った必要もなく、自分で働く時間を決めることができますので、育児や介護との両立が可能なのです。

ギグワーカーのデメリット

ギグワーカーは、従来の日本の働き方とは異なり、時間拘束などが無く自分の好きな時に好きなだけ働けるというのが大きなメリットです。一見すると、誰もが憧れてしまう働き方のように見えますが、当然メリットばかりではなくいくつかのデメリットも存在するのです。
以下でギグワーカーのデメリットもご紹介しておきます。

  • 賃金が安い
    ギグワーカーは総じて賃金が安いことが多いです。海外には年収1000万円を超えるギグワーカーもいるとご紹介しましたが、このような高収入のギグワーカーはほんの一握りです。また、特定の企業に属しているわけではありませんので、昇給やボーナスも見込むことはできません。
  • 収入が安定しない
    好きな時に好きなだけ仕事ができるのがメリットなのですが、好きな時に仕事があるとは限りません。ギグワーカーには固定給はありませんし、仕事が無ければ当然収入もなくなってしまいます。他にも、病気や怪我などがあり、働けなくなってしまった場合、何の保証もありませんし、なかなか安定した収入を見込むのが難しいのが現状です。
  • 全てが自己責任になってしまう
    ギグワーカーは会社と雇用契約を結んでいるわけではありませんので、配達の仕事中などに事故が発生したとしても会社側は何の責任も取ってくれません。何らかの問題が発生したとしても、自分でトラブルを解決しなければならない点はギグワーカーの大きなデメリットです。

まとめ

今回は、近年メディアなどでも取り上げられることが増えてきた『ギグワーカー』の基礎知識についてご紹介してきました。従来の日本の働き方と言えば、一つの企業に勤め続けるという終身雇用という働き方が当たり前でした。しかし、働き方改革の流れもあり、最近では働く側の自由の方が重視される傾向になっているのです。

最近では、ウーバーイーツなどの配達系の仕事だけでなく、自分の持つスキルに合わせた仕事を探せるプラットフォームサービスが続々と登場しており、ギグワーカーが仕事を探しやすい土台がどんどん整ってきています。アメリカなどでは既に多くのギグワーカーが存在すると言われていますが、今後は日本でもますますギグワーカーが増加していくと予想されています。