繊細な作業が必要とされる工場!従業員の為にもJIS照明基準を押さえておきましょう。

皆様が普段何気なく使用している照明に『JIS照明基準』というものがあるのはご存知でしょうか?

一般生活の中であれば、部屋が少し暗い程度なら「特に気にしない」という人が多いかもしれません。しかし、繊細な作業が必要になる工場では、照明の明るさ一つで作業効率が大きく変わってしまうものです。本来、明るい場所で作業を行うことが理想ですが、最近では、省エネやコスト削減ばかりに目が行ってしまい、少し暗めの照明で業務を進めている施設も少なくないようです。
しかし、こういった少し暗いと感じるような作業場では、必要以上に目を酷使することにもなり、明るい場所での作業時と比較すると、作業員の疲労度も高くなってしまうと言われています。さらに、作業員が「ちょっと暗いかも?」と感じる場所であれば、細部まで確認することも難しくなり、作業中のミスが増えてしまうなど、作業効率も下がりかねません。
『JIS照明基準』は、上記のようなことがないように、作業や空間によって必要な明るさの基準を示すものです。ご存じない方はぜひ本稿を通して作業ごとに必要とされている明るさを押さえておきましょう。

JIS照明基準について

それではまず『JIS照明基準』とは何か?という点について簡単にご紹介しておきましょう。
普段どこでも見ることができる照明設備ですが、照明を使用する目的は、それぞれの空間で作業を行う時に必要な明るさを確保して、安全かつ快適な作業空間を作ることです。つまり、「どのような空間なのか?」や「進める作業は何か?」ということによって、その安全と快適性を確保するための明るさは異なるのです。したがって、工場や倉庫において安全かつ快適な作業空間をつくるためには、きちんと照明計画をたてる必要があるとも考えられます。この照明計画は、一般的に『照度』を指標として決められ、労働安全衛生規則でも作業場所ごとの最低照度が定められています。

作業場での最低照度は?

上述の通り、工場などで作業を行う場合、守らなければならない基準として『最低照度』が労働安全衛生規則によって定められています。以下に、その条文を引用しておきます。

労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)
第3編 衛生基準 第四章 採光及び照明 (照度)第六百六条
事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。

作業の区分 基準
精密な作業 三百ルクス以上
普通の作業 百五十ルクス以上
粗な作業 七十ルクス以上

引用:e-Gov

上述のように、労働者の安全と健康を守ることを目的に、労働安全衛生規則の中で作業場所の『最低照度』が定められているのです。もちろん、ここに定められた最低照度を守らず、明るさ不足によって労働者に健康障害が出るや安全性の低下が認められる場合、その事業者は罰則の対象になってしまう可能性もあります。
しかし、労働安全衛生規則で定められているのは、あくまでも作業を行うために必要な『最低』の照度です。したがって、これが安全で快適に作業を進めるために十分な明るさを確保できているのかというとそうではありません。実際に、上記の基準に沿った照度で作業を行ってみると、とても精密な作業が行えるとは思えないほどの暗さです。そこで、作業ごとに最適な明るさの照度設定を規定したものが『JIS照明基準』となります。

JIS照明基準

それでは、JIS照明基準で決められている作業内容や空間ごとの照度を見ておきましょう。『JIS照明基準』は、日本国内における、工業標準化の促進を目的に制定されている国家規格ですが、法規とは異なりあくまでも『推奨』の規格という扱いです。目安として覚えておきましょう。

非常に精密な視作業の場合:1500Lx
精密機械や電子部品の製造など、非常に精密な作業が必要にされる場合の規格です。具体的には、1mm程度のキズを見つけなければならないなど、しっかりと手元が見える必要がある作業の場合です。一般的に家で読書するときの明るさが300~700Lxが適切と言われますので、それの2~5倍程度の明るさとなります。
やや精密な視作業の場合:750Lx
これは繊維工場での選別や検査、印刷工場での植字・校正、化学工場での分析等、見落としがありそうな小さなものを見つける必要がある作業です。細かな文字や繊維を見つけるには、やはりそれなりの明るさがなければ作業員に大きな負担となります。
普通の視作業の場合:500Lx
これは、自動車の部品組み立て作業や、電子機器や部品の梱包など、それほど細かくないと判断される作業の場合です。一般生活の中での明るさで作業に困らない範囲の視作業はここに含まれています。
倉庫内事務の場合:300Lx
倉庫内で行う組立や検査、試験、包装などの全般的な作業はこの範囲です。
その他倉庫内作業の場合:100~150Lx
倉庫内で行う荷積み・荷降ろし・荷の移動や、検品・検査を伴わない梱包作業が該当します。
参考:JIS Z 9110:2010 5.4 工場より

必要な明るさを確保するには?

それでは最後に、作業員に対して安全で快適な作業環境を与えるために必要な対策についていくつかご紹介しておきましょう。工場では、明るさを確保するために、様々な工夫がされています。

  • LED照明の導入
    LED照明は省エネ効果を目的に導入されることが多いですが、明るさの確保にも非常に役立ちます。LEDは、集中して光を当てることができるため、細かな作業が必要な場所には非常に適しています。また、光にちらつきなどもなく、作業員の目への負担も少ないオススメの照明です。
  • スポットライトの導入
    精密機械等、非常に細かな作業が必要な場所では、手元を重点的に明るくするためにスポットライトが導入されることが多いです。また、製品の最終チェックなど、集中して入念な作業が必要な場合も役立ちます。
  • 洗浄ができる照明を導入
    作業場所によっては、埃などで照明器具が汚れやすいという場所もあるでしょう。こういった場所では、丸ごと洗浄できる照明を導入することで、効率よく照度の維持が可能になります。
  • 照度を上げる専用カバーを導入
    蛍光灯を使用している場所では、『ルミキャップ』というカバーを利用することで、蛍光灯の光が反射され照度を上げることが可能です。

まとめ

今回は、精密な作業が必要な工場において、非常に重要になる『明るさの確保』についてご紹介してきました。安全で正確な作業を効率よく進めるためには、やはり作業場所の明るさに気を配らなければいけません。本稿でもご紹介しましたが、作業内容に適さない環境では、作業員の目に大きな負担がかかり、肩こりを始め、慢性的な頭痛など健康的な被害が表面化してしまう恐れもあるのです。もちろん、そのような環境下では、従業員の定着率も悪くなってしまい、従業員との雇用トラブルにまで発展する可能性もあります。
工場で働く人にとっては、『明るさ』というものが非常に重要なことだと再認識し、正確で安全な作業を進められる明るさへの気配りを常に行うよう心がけてください。最近では、照度をチェックできる無料アプリなども登場していますので、定期的にそういった物でチェックするのも良いかもしれません。

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