物流を支えるトラック。意外と知らないトラックの種類をご紹介!

今回は、私たちの生活に必要不可欠な『物流』を支えるトラックの基礎知識についてご紹介します。
普段の生活の中で、外出時に一度もトラックを目にすることなく一日が終わる…などということはほとんどありませんよね。現在、日本国内の貨物輸送は、自動車による輸送に支えられているといっても過言ではなく、なんと国内貨物総輸送量におけるトラックの輸送分担率は『トンベース』で約9割にもなると言われています。しかし、一口に『トラック』といっても、用途によってさまざまな機能や大きさの違いがあるのはご存知でしょうか?
今回は、あまり意識されることが無い、トラックのサイズの違いや形状の違いなど、トラックの基礎知識をまとめてご紹介します。

参考:日本のトラック輸送産業現状と課題2018

トラックの3つの種類とサイズの違いについて

貨物を運ぶための事業用自動車として利用されるさまざまなトラックですが、大きさによって分類されているのはご存知でしょうか?トラックの種類は、大きく分けると『小型トラック』『中型トラック』『大型トラック』の3種類に分かれています。

  • 小型トラック(別名:2t・3tトラックなど)
    車両総重量5トン未満、かつ最大積載量3トン未満のトラック
  • 中型トラック(別名:4tトラックなど)
    車両総重量5トン以上、または最大積載量3トン以上のもので、車両総重量11トン未満、かつ最大積載量6.5トン以上のトラック
  • 大型トラック(別名:10tトラックなど)
    車両総重量11トン以上、または最大積載量6.5トン以上のトラック

トラックは、上記のように、車両寸法や最大積載量、車両総重量などによって分類されます。

各トラックを運転するにはそれぞれ免許が必要になります。下記の記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

関連記事:普通免許は意外とややこしい?取得時期によって運転できるトラックが変わります!

トラックの形状の違いによる5つの種類について

トラックは3つの種類に分けられるとご紹介しましたが、分け方についても種類があります。トラックを分類する場合には、『道路運送車両法の保安基準』と『トラックメーカーによる区分』の2種類がありますので、注意しましょう。

道路運送車両法の保安基準
道路運送車両法では、トラックの寸法と最大積載量、車両総重量によって区分を行います。なお、小型と中型の区分は寸法と積載量によって行われ、中型と大型は車両総重量に応じて分けられるのが特徴です。
トラックメーカーによる区分
トラックメーカーでは、主にトラックの標準的な積載量によって区分を行います。トラックは、主に貨物輸送に利用されるということから、「どの程度、積載できるか?」ということで区分したほうが販売しやすいのかもしれませんね。
例)標準積載量4トン未満のトラックは小型トラックに分類。標準積載量が4トン以上の場合は中型、または大型トラックに区分されます。

一般的なトラックの区分による規格は以下のようになっています。

小型トラックの規格

小型トラックは、トラックの規格の中で最も小さいサイズとなり、車体がコンパクトなのが特徴です。小型トラックの規格は以下のようになっています。

車体外寸 全長 × 全幅 4,700mm以内 × 1,700mm以内
全高 2,000mm以内
最大積載量 3,000kg以内
車両総重量 5,000kg以内

中型トラックの規格

中型トラックは、小型トラックと大型トラックの中間にあたるものです。このタイプの規格は以下のようになっています。

車体外寸 全長 × 全幅 12,000mm以内 × 2,500mm以内
全高 3,800mm以内
最大積載量 6,500kg以内
車両総重量 11,000kg以内

大型トラックの規格

最後は、トラックの中で最大の規格となる大型トラックです。大型トラックの規格は以下のようになっています。

車体外寸 全長 × 全幅 12,000mm以内 × 2,500mm以内
全高 3,800mm以内
最大積載量 6,500kg以上
車両総重量 11,000kg以上

※セミトレーラーやフルトレーラーの最大サイズは上記の限りではありませんが、ここでは省いています。

注意
中型トラックの積載量を増加させたものを増トン車といいます。増トン車は、4トントラックをベースに車軸やフレームなどを強化して積載量を増やしたトラックとなります。この場合、6.5トン~8トンまで積載可能となるのですが、ディーラーなどでは中型車としてラインナップされることが多いです。

トラックの形状の違いについて

それでは次に、トラックの形状の違いについて簡単にご紹介しておきましょう。トラックというものは、物流だけに利用されるのではなく、工事現場や農作業などにも利用されます。もともと、業種や作業内容に合わせて作られているため、使用用途によってかなり形状に違いがあり、それぞれの作業に適した形をしているのが特徴です。
ここでは、さまざまあるトラックの形状について主な用途も併せてご紹介しておきましょう。

平ボディ(アルミブロック)タイプ

平ボディ(アルミブロック)は、車体に荷台を備えたトラックで、最も一般的なトラックの形状です。トラックの歴史で考えても、初めて作られたトラックがこのタイプだと言われています。
貨物運搬の際には、積み荷の寸法や積み下ろし方法など、制限を受けることが少なくなっているので、さまざまな荷物に対応することが可能です。ちなみに同じ平ボディのトラックでも、荷台床面から地面までの間隔が低い低床タイプや、逆に地面から高く作られる高床タイプなどの種類が存在します。用途によって、最も使いやすい形状を選びましょう。

バン(箱)タイプ

荷台が箱型になっているタイプのトラックです。箱の素材は、アルミやホワイトボード材のようなパネル、帆タイプなどさまざまなものがあります。主に引っ越し業者や洋服雑貨、生花店の運搬などに利用されるトラックとなります。ちなみに、バンタイプのトラックの中には、サイドドアがついているものもあり、中央部の荷物の積み下ろしが効率よくできるように考えられています。

冷蔵冷凍タイプ

上記のバンタイプのトラックで、冷蔵・冷凍機能が付いたものです。このトラックは、-30℃の低温タイプと、-5℃を保持する中温タイプの2種類があります。主に生鮮食品の輸送に利用されるトラックですが、精密機械や医薬品の輸送でも活躍しています。ちなみに、デパートなどの地下搬入口など、狭い場所への搬入を可能にするため、天井の高さに至るまで細かな種類のトラックが存在します。

トラッククレーン

トラッククレーンとは、その名称通り荷台部分にクレーンが備え付けられている車両です。荷台に荷物を積み込む際や荷下ろし作業の際にクレーンを使用します。
こういったトラッククレーンは、操作性、機動性に優れているため、物流現場はもちろん、工事現場などでも活躍します。

ウィングタイプ

荷台部分が、左右から鳥が翼を広げるように開閉できるタイプのものを指しています。ガルウイング車や側面開閉車などと呼ばれる場合もあります。
ウィング車は、後方だけでなく、左右から貨物の積み込みが可能なため、長いサイズの荷物を積み込む際に便利です。側面部分から荷物の積み込みが可能なので、前後に隙間なく荷物を積み込むことができるのも特徴です。

MEMO
物流業界で活躍するトラックは上記のようなトラックが主となります。上記以外にもトレーラーやタンク車、ダンプカーなどさまざまな形状をしたトラックがありますが、また別の機会にご紹介させていただきます。

まとめ

今回は、日本国内の物流を支えるトラックの基礎知識として、トラックのサイズの違いや形状の違いについてご紹介しました。普段何気なく目にするトラックですが、よく確認してみると、それぞれ大きさや形状が違うのがわかると思います。こういったトラックごとの違いは、主に用途によって最適な形状や大きさを考えて作られたという歴史があるためで、作業内容によって必要になるトラックというのは異なるのです。
倉庫や工場を運営する場合には、「倉庫内に大型トラックの進入は可能なのか?」「前面道路を大型トラックは通れるか?」など、トラックに関する知識を持っていなければ、予想外のトラブルを招いてしまう可能性もあるため、自社に関連が高そうなトラックの種類は、細かな規格をおさえておきましょう!

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