『火災』にも種類があるって知っていますか?火災の種類と消火方法について

これから空気が乾燥する冬を迎えますが、この時期になるとテレビやラジオから「火災に注意してください。」などと言う言葉が良く聞こえてくるようになります。火災とは、文字通り火によって引き起こされる災害のことを指しています。

火災に関しては、「自分の身には起こらないもの」など、どこか他人事のように考えている方も多いのですが、総務省が発表した資料によると、令和元年(1~12月)に発生した総出火件数は、なんと37,683件にも及んでいるのです。この数字は、単純計算で、日本のどこかで毎日100件以上の火災が発生しているということを示しており、いつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない災害だと考えなければいけません。

なお、一般の方の間ではあまり知られていないのですが、火災は燃えているものによっていくつかの種類に分類されています。そして、発生した火災の原因や種類によって消火方法が異なります。つまり、万一あなたの身に火災が発生した際、被害を最小限に抑えるためには火災の種類やそれぞれの消火法を知識として持っておかなければいけないのです。「火災が発生した時には水をかけて消火する!」というのが一般的に知られている消火方法ですが、火災の種類によっては逆に危険な場合があると言われています。

そこでこの記事では、皆さんがおさえておきたい火災の種類と基本的な消火方法をご紹介します。

参考資料:総務省「令和元年(1~12月)における火災の状況(確定値)

火災の種類と消火方法について

それではまず、火災の種類と基本的な消火方法からご紹介していきましょう。火によって引き起こされる災害の火災ですが、「燃えているものが何か?」によっていくつかの種類に分類されています。以下で、火災の種類とそれぞれに適用できる消火剤の種類を簡単にご紹介していきます。

A火災(普通火災、一般火災)

木材や紙などの一般可燃物が燃えて起きた火災が『A火災』と分類されます。ちなみに『A火災』は、普通火災(ふつうかさい)や一般火災(いっぱんかさい)とも呼ばれます。
A火災に関しては、普通住宅やビルなどで起こる内部火災が多く、火の不始末などのヒューマンエラーによって起こるものや不審火などが主となります。

A火災に使用できる消火剤
A火災は、水で消火が可能です。その他の消火材としては、強化液、泡、りん酸塩類粉末系のものなども問題なく使用できます。

B火災(油火災)

引火性液体が燃えることで起こる火災は『B火災』に分類されます。B火災は、ガソリンなどの石油類、食用油などと言った油脂が原因となる火災ですので『油火災(あぶらかさい』とも呼ばれます。油脂類は非常に燃えやすいという特徴を持っているため、引火性液体が消えなければ燃え続けるなど、非常に危険性が高い火災となります。

B火災に使用できる消火剤
B火災の場合は、水で消火することができません。水を使った消火では、燃えた油が水面に浮いてしまい、逆に火災を拡散してしまう恐れがあるからです。したがって、B火災の消火活動では、霧状の強化液、泡、ガス、粉末系の消火剤が使用されます。これらの消火材は、抑制効果や窒息効果によって消火をするものです。

C火災(電気火災)

電気設備による火災のことを『C火災』と分類します。具体的には、電気室や発電機など、電気設備に何らかの問題がおき、電流が発火原因となってしまい起きた火災です。そのため、C火災は『電気火災(でんきかさい)』とも呼ばれます。C火災は、火災による被害だけでなく感電の危険もありますので注意が必要です。

C火災に使用できる消火剤
C火災は、棒状の水や棒状の強化剤、泡などを消火剤として利用すると、感電の危険がありますので適していません。したがって、霧状の水、霧状の強化剤、粉末系の消火剤を利用して消火活動を行います。

D火災(金属火災)

金属が原因となる火災は『D火災』に分類されます。具体的には、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの金属が原因となる火災です。そのため、『金属火災(きんぞくかさい)』とも呼ばれています。

D火災に使用できる消火剤
金属の中には、水と反応してしまうものが多く、消火のために注水すると水素を発生して爆発を引き起こす危険がありますので注意しましょう。D火災の消火には、乾燥砂などが用いられ、窒息消火が行われます。

ガス火災

ガス火災は、文字通り可燃性ガスが原因となる火災のことです。都市ガスやプロパンガスなどが原因となる火災のことを指しています。

火災の主な原因は?

ここまでの説明で分かるように、一口に『火災』と言っても、燃えているものによっていくつかの種類に分類されており、さらに消火方法も異なるのです。それでは、こういった火災は、何が原因となって起こっているのでしょうか?
ここでは、令和元年(1~12月)に発生した火災について、全37,683件の上位10位までの出火原因をご紹介しておきます。

  1. たばこ・・・件数:3,581
  2. たき火・・・件数:2,930
  3. こんろ・・・件数:2,918
  4. 放火・・・件数:2,757
  5. 放火の疑い・・・件数:1,810
  6. 火入れ・・・件数:1,758
  7. 電気機器・・・件数:1,633
  8. 電灯電話等の配線・・・件数:1,576
  9. 配線器具・・・件数:1,352
  10. ストーブ・・・件数:1,144
参考:総務省「令和元年(1~12月)における火災の状況(確定値)

上からも分かるように、さまざまな火災原因がある中でもタバコやたき火など、「火気の取り扱い不注意」や「火の不始末」が原因となる火災が非常に多いです。また、住宅火災は、火気を使う機会が増える冬場に多くなると言われています。特に、石油ストーブの使い方を間違ったり、持ち越し灯油が劣化していることから火災に発展してしまう…などと言った事も増えていると言われていますので、特に注意しておいた方が良いでしょう。
電気機器が原因となる火災に関しては、コンセントからの発火が増加していると言われています。特に、複数箇所の差し込み口があるコンセントなどを使用している場合、ホコリが溜まっているのを放置してしまい、コンセントからの火花で引火して、火災に発展してしまう…ということが多いようです。

火災は、ヒューマンエラーや不注意が原因となる場合がありますので、皆さんも注意しましょう。

まとめ

今回は、一般の方があまり気にすることのない、火災の種類についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、火災と言っても、燃えているものによって種類が分類されており、それぞれに適切な消火方法が存在するのです。

火災発生時には、とにかく水をかけなければならない…と考えてしまうものですが、実は火災の種類によっては、注水することで火災を拡散させたり、爆発を引き起こしたりなど、被害を大きくしてしまう危険があるのです。特に、工場や倉庫などであれば、一般家庭とは異なる原因の火災も考えられますし、この記事でご紹介した内容は是非覚えておいてください。