自然災害が多い日本。地震や豪雨などが起きる理由や知っておきたい基礎知識

地震や台風、集中豪雨などの自然災害は、人命や社会生活に非常に大きな被害を生じさせてしまうものです。特に日本に関しては『災害大国』などと呼ばれることもあるなど、諸外国と比較しても自然災害による被害が非常に多い国として有名です。実際に、世界中で起こる地震に関しては、その10~15%が日本で発生しており、さらにマグニチュード6以上の大地震に絞れば、その20%が日本で発生していると言われているのです。

それでは、なぜこれほどまでに日本を襲う自然災害が多いのでしょうか?日本では、人体が感じる有感地震の回数が何と年に1,100回以上もあると言われており、1日当たりに換算すると、国内のどこかで毎日3~4回の地震が発生している計算になるのです。さらに、夏の終わりから秋にかけては、毎年複数の台風が日本に上陸し、列島にさまざまな被害をもたらしています。
このようなことから、日本に住む人であれば、自然災害と切っても切れない縁があるのです。そこでこの記事では、「なぜ日本は自然災害が多いのか?」ということや、日本で起こりうる自然災害の種類などをご紹介します。

日本で災害が多い理由は?

それではまず、諸外国と比較して日本で発生する自然災害がこれほどまでに多い理由から考えていきましょう。古くから地震や台風などの自然災害が非常に多い国として有名な日本ですが、近年ではこれに加えて、ゲリラ豪雨や集中豪雨による水害まで頻発するようになっています。
日本でこれらの自然災害が多い理由は、以下のような事が原因と言われています。

  • 日本の位置
    まずは日本の立地です。世界には10数枚のプレートがあると言われているのですが、日本列島はそのプレートのうち4枚の上に位置しているのです。プレートが多い場所に位置するということは、プレート運動の力による地震や火山活動の影響を受けやすい場所と言い換えることができ、地震の発生数が多くなるのです。実際に、世界の0.25%の国土面積でしかない日本ですが、1996年~2005年の間に発生したマグニチュード6以上の地震のうち、20.8%が日本で起こっているのです。
    参照資料:内閣府『日本の災害対策』より
  • 気象条件
    日本を取り巻く気象も災害の多さに関係しています。日本は、アジアモンスーン気候地域に属しているのですが、アジアモンスーン気候は豊富な水をもたらし、農業などに大きな恩恵を与える一方で、大雨による水害もしばしば発生させるものなのです。もともと、豊富な水の恩恵を得られる気象地域なのに加え、近年では地球温暖化などによってアジアモンスーン気候が大きな影響を受けています。実際に、日本全国に約1,300か所あるアメダス観測点のデータによると、年間の大雨発生回数が年々増加傾向にあり、今後さらに気候変動により大雨が増えると予想されてます。
  • 日本の地形
    日本の国土は、約70%を山地や丘陵が占めているのですが、この地形が頻発する水害の原因でもあるのです。国土の約70%を「山地」「丘陵」が占めていますので、豊かな自然に恵まれているというメリットがあります。しかしその一方で、国土面積が狭いため、山の斜面が急で険しくなってしまい、大雨などで崩れやすいという弱点があるのです。また、山を水源とする川の流れも急なため、大雨による河川の氾濫などが起きやすく、水害が発生しやすいのです。
  • 都市構造
    日本は、狭い国土を有効活用するため、人為的に山を造成したり、海岸を埋め立てて人口増加に対応してきました。その結果、河川や海岸、山などに接して都市が作られることになり、災害と隣り合わせで暮らしていくのが当たり前になってしまっているのです。そのため、大規模災害時には、考えられないような被害になってしまうことがあるのです。

日本が『災害大国』などと呼ばれるほど自然災害が多いのは、上記のような理由が考えられるでしょう。

災害の種類

それでは、日本で発生する災害の種類についても簡単にご紹介しておきましょう。日本は、毎年のように何らかの災害が発生しており、日常生活すらままならない状況に陥ってしまう…なんてことも珍しくありません。ここでは、日本で発生すると考えられる代表的な自然災害についてご紹介していきます。

地震

上述したように、世界で10数枚あるプレートのうち、4枚ものプレートの上に位置する日本では、地震による災害が非常に多いです。ちなみに、日本にある4枚のプレートに関しては、関東沖2ヵ所で3枚づつが交差していると言われており、世界でも類を見ない複雑な力関係の上に日本が位置していると言われているのです。

地震に関しては、兵庫県南部地震や東北地方太平洋地震、熊本地震など、誰も予想し得ないほどの被害が出ることもありますし、今後も首都直下地震や南海トラフ地震など、マグニチュード8クラスの超巨大地震の発生が近づいていると言われています。大規模地震では、建築物の倒壊や火災、土砂崩れや地割れ、最悪の場合では津波まで発生するなど、甚大な被害が生じてしまいます。そのため、電気やガス、水道などのライフラインが長期間にわたってストップしてしまうなどと言った事もあり、一瞬にして私たちの生活が破壊されてしまうのです。
日本では、「いつ・どこで」巨大地震が発生してもおかしくありませんので、普段から地震対策を進めることが重要と言われています。

台風

日本は台風が多い国としても有名です。台風は、熱帯の海上で発生する熱帯低気圧のうち「最大風速が秒速17.2メートル以上」のものを指しています。7月から10月頃までの間は、日本に接近・上陸する台風が多く、大雨による洪水、暴風、高潮などでさまざまな被害をもたらせているのです。特に近年では、地球温暖化などの気候変動により、日本に近づく台風の大型化が進んでいると言われており、ここ数年は日本各地でこれまでになかったような大きな被害を出しています。

台風は、大雨による浸水被害を始めとして、強風による住宅被害、電柱が倒れてしまうことによる停電被害、山間部などでは土砂崩れなどの被害をもたらします。ただし、地震とは異なり、台風の発生から日本へ上陸する際の規模、進路などを予め確認することができ、安全な場所に避難することが可能な自然災害と言えます。台風が多くなる季節になると、テレビなどでも詳細な情報を提供しいますので、そういったものを見逃さないようにしましょう。
なお、台風に関する基礎知識は以前記事にまとめていますので、以下もご参照ください。

自然災害から自分を守るために!台風直前にやっておきたい対策とは?

水害

日本における自然災害は、上述した地震や台風が有名です。しかしここ数年を考えれば、集中豪雨による水害が非常に増えており、地震や台風と同レベルの警戒が必要なのではないかと考えられるような状況です。

実際に、今年の7月にも、九州地方を中心に豪雨災害が発生しており、河川の氾濫や土砂崩れなどが各地で発生しました。報道番組のインタビューなどでも、過去にここまでの水害などあまり記憶にないと回答している人をよく見かけます。水害の恐ろしいところは、数十分で避難もできなくなるほど水位が上がってしまう…と言う点です。豪雨による災害は、「所詮雨なのだから避難までは必要ない…」と考えてしまい被害に遭ってしまう人が多いと言われています。近年発生する水害では、家ごと流されてしまうことも珍しくありませんので、自分の身を第一に考えて「空振りでも良いから避難する…」と考えるようにしましょう。

まとめ

今回は、災害大国と呼ばれる日本について、なぜ日本でこれほどまでに地震や台風などの自然災害が多いのか、また日本で注意すべき災害は何があるのかについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、諸外国と比較して、日本で地震も台風も多いというのは、主に立地が原因となっています。

日本の立地が自然災害が多い原因となると、今後も地震や台風などの自然災害は必ず発生するものと考えなければいけないのです。近年では、地震や台風に加えて、大雨による水害も増加しています。日本国内であればどこにいても何らかの災害にあってしまう危険があると考えておかなければいけないのです。
まずは、非常用バッグを備えておく、自分が住んでいる地域で考えられる災害をハザードマップで確認しておくなど、身近なできることから災害対策をスタートさせましょう。