災害対策としても注目される太陽光発電。そもそも太陽光発電は台風の強風に耐えられるの?

今回は、一般住宅などにも普及してきた太陽光発電設備の、さまざまな自然災害との相性について考えてみたいと思います。

太陽光発電設備は、その名称から分かるように、太陽光エネルギーを電力に変換できる設備であり、日中に使用する電気を自家発電することで月々の電気代を削減できることや、万一の自然災害で停電が発生した時でも、最低限の電力確保が可能となるため、非常用設備としても注目されています。工場や倉庫などの大規模な施設となると、稼働のためにさまざまな機械・設備を動かす必要があり、一般住宅とは比較にならないほどの電力を消費してしまいます。そのため、施設の稼働にかかる電気代を大幅に削減することが期待できる太陽光発電は、工場や倉庫にとっても非常に有用な設備となるのです。さらに、諸外国と比較しても、台風や地震などの自然災害が多いと言われる日本国内であれば、万一の停電時にも施設の稼働に必要な最低限の電力を確保できるということは、非常に大きなメリットになるでしょう。

しかしながら、太陽光発電は屋外に設置する設備であることから、自然災害による設備の破損リスクが最も高いと言えます。「災害時でも自家発電できる!」と紹介されることが多い太陽光発電ですが、災害で設備自体が故障してしまえば、非常用設備としては役に立ちません。そこで今回は、太陽光発電が故障してしまう原因や、自然災害時の対策について考えてみたいと思います。

太陽光発電が破損する主なパターンは?

太陽光発電は、「プロペラを回転させることで発電する」風力発電とは異なり、発電のために稼働する部分は特にありません。基本的には日射を受ける太陽光パネルを並べて置いておくだけです。そのため、何らかの部品が稼働することで摩耗し故障するなどと言った可能性はあまりないのです。
しかし、このような太陽光発電設備でも、さまざまな要因で破損してしまう可能性がありますので、代表的な破損要因をご紹介しておきましょう。

外的要因による破損

太陽光発電が故障してしまう原因としては、この外的要因が最も多いです。もちろん、外的要因にもさまざまなものがありますが、その中でも一番多いのが自然災害によってパネルが破損してしまう…というケースです。例えば、猛烈な強風が吹き荒れる台風などでは、強風の影響でパネルそのものが吹き飛ばされてしまうことや、強風によって飛来した石や木の枝がパネルにぶつかり破損してしまうといったとが考えられます。
他にも、周囲に住宅などが少ない空き地に太陽光発電が設置された場合、きちんと入り口を封鎖しておかなければ子供の遊び場になってしまい、いたずらで石を投げつけられて破損してしまうケースもあるようです。
太陽光発電設備によっては、監視する人員などを置かず、放置している場合も多いですが、安全のためにはきちんと柵で囲い、人が近づけないような対策をおこなう必要があります。

内的要因による破損

太陽光発電の、システムそのものが故障してしまうケースもあります。
太陽光パネルは、上述したように、強風などの影響で表面に異物が衝突する可能性が高いため、多少の衝撃には耐えられるように設計をされています。しかし、パネルの裏側に関しては衝撃に非常に弱いと言われています。したがって、パネルの裏側部分に何らかの原因で衝撃が加わった場合、表面的には何の問題が無いように見えても内部でシステムが故障してしまっている…ということも珍しくありません。
こういった場合、故障に気付くのが遅れてしまう危険があります。したがって、小まめに発電量をチェックする体制を作っておくことや、定期的に専門業者に点検してもらうという体制を整えることをオススメします。

輸送時のトラブル

意外と見落とされがちなのがこのパターンです。太陽光パネルは、実際に設置する場所に運ばれてくるまでに、輸送の振動などが原因となりマイクロクラックと呼ばれる非常に小さなヒビが入ってしまうことがあります。
輸送時にできたパネル破損に関しては、本来施工業者が設置前に発見して商品の交換を行うものですが、業者によっては見落としてしまう…見つけても費用負担を嫌がり報告しない…ケースがあるようです。このようなリスクを避けるためには、信頼できる施工業者を慎重に選ぶことが非常に重要になります。

自然災害と太陽光発電との相性

それでは、太陽光発電設備とさまざまな自然災害との関係についてご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、太陽光発電は災害による停電が発生した場合でも自家発電することができるため、非常用電源を確保できるということがメリットとして紹介されることが多いです。しかし、台風や地震などの自然災害は、太陽光発電設備にとっても天敵と言えるもので、きちんと対策を考えておかなければ災害で故障してしまい、必要な時に使えなくなってしまう可能性があるのです。
以下で代表的な自然災害についてみていきましょう。

台風との関係

太陽光発電は、台風によって被害を受ける…というケースが非常に多いです。台風は、大雨と暴風を伴う自然災害で、強風によってパネルが飛ばされる…、パネルに飛来物がぶつかって破損する…などと言った被害が出てしまうことがあります。さらに、太陽光パネルが強風にあおられて飛散した場合、周辺住宅や通行人にぶつかって二次被害を発生させてしまう危険もあるのです。

日本は、毎年必ず台風が上陸する国ですので、多少のコストはかかってもできるだけ頑丈に設置してもらう必要があるでしょう。もちろん、太陽光発電設備は、台風の強風などでも飛ばされないような頑丈な設計になっています。まれに強風でパネルが飛ばされてしまうのは、設置業者の手抜き工事が主な原因という場合がありますので、しっかりと施工を行ってくれる実績のある業者に設置を依頼するようしましょう。

地震との関係

日本は地震大国と呼ばれているほど、地震の数も多いですしその規模も大きな国です。したがって、太陽光発電設備は、地震による破損も考えておかなければいけません。
太陽光発電は、地震の揺れによって機器同士を接続するケーブルに負荷がかかり、断線してしまう危険があります。他にも、精密機械で構成される設備となりますので、地震による衝撃でシステム自体が故障してしまうケースもあるでしょう。最悪の場合、地盤ごと割れてしまい、太陽光発電設備が全損してしまうような危険もありえます。
太陽光発電の設置を検討した場合には、設置前に地盤のチェックなどをしっかりと行い、できるだけ被害が少ないと考えられる場所を選択しましょう。

ゲリラ豪雨との関係

ここ数年日本では、ゲリラ豪雨や集中豪雨による水害が頻発しています。雨によって太陽光発電設備が破損してしまう…ということは、なかなかイメージできない人も多いかもしれませんが、近年の豪雨災害の規模を考えると決して無視できない要因となります。
例えば、平成30年7月豪雨では、西日本全域に非常に甚大な被害が出たのは皆さんの記憶にも新しいことでしょう。こういった豪雨災害では、大量に降る雨により地盤が緩み、太陽光発電設備が土壌流出に巻き込まれて土地ごと流されてしまう…と言った被害も考えられます。
近年では、もともと豪雨災害が少なかった地域でも雨による被害が増えていることから、日本全国どの地域でもこういった災害に巻き込まれるリスクがあるのです。したがって、太陽光発電設備を設置する場合には、できるだけ土壌流出の危険が少ない土地を選ぶことや、植物などを生やして土壌を強くしておくなどの対策が必要です。

まとめ

今回は、災害時に役立つ設備として注目されている太陽光発電について、そもそも太陽光発電は自然災害時に故障しないのか?ということについて考えてみました。太陽光発電は、日射があれば発電することができるため、自然災害などで停電が発生したとしても最低限の電力を確保できるようになるため、工場や倉庫などの大規模施設ではとても役に立つと言われています。しかし、忘れてはいけないのは、自然災害が発生した場合には、太陽光発電設備自身が被災してしまい発電することができなくなってしまう…というリスクもあるということです。
したがって、太陽光発電を設置する場合には、きちんと設備自体の災害対策も考えなければいけないでしょう。なお、太陽光発電設備は、必ずメーカー保証がついているものなのですが、多くのメーカー保証は自然災害によって太陽光発電が被害を受けた場合には保証対象外となってしまいます。万一のことも考えるのであれば、通常のメーカー保証に加えて、自然災害保証にも加入しておくのがオススメです。