夏の間に準備したい!工場における台風対策とは?

日本は、諸外国と比較しても地震や台風などの自然災害が多い国として有名です。地震に関しては、さまざまな技術が進歩した現在でも『いつ・どこで』発生するのか予測するのが難しいため、できるだけ頑丈な建物を建てる事や、万一の時を考えて非常用バッグなどを用意しておくことぐらいしかできないのが実情です。しかし、台風に関しては、数週間前から発生状況や進路予測などが確認できるようになっており、実際に台風が直撃した場合でも、大きな被害が出ないようにと、さまざまな対策を行えるようになっています。よって事前にできる台風対策は行っておくべきでしょう。
特に、昨年関東地方を襲った台風15号のように、近年日本に上陸する台風は大型化が進んでいると言われますので、大切なお客様の商品を製造・保管する工場や倉庫などでは、万全の台風対策が必要でしょう。
そこで今回は、一般家屋よりも建物の規模が大きくなってしまう工場の場合、どういった点に注意して台風対策を施せば良いのか?ということについてご紹介しいます。

台風は工場にどのような被害をもたらすのか?

それではまず、台風によってもたらされる被害とは「どのようなことが考えられるのか?」について簡単にご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、台風というものは毎年必ず日本に襲来するものですので、多くの人が台風に慣れてしまっており台風対策を怠ってしまっている場合も少なくありません。しかし、近年では地球温暖化の影響などもあり、台風の大型化が進んでいるため、決して油断できるような物ではなくなっているのです。
以下で、台風によって引き起こされることが多い被害をいくつかご紹介しておきます。

雨漏り被害

台風による被害として有名なのは『雨漏り』です。台風は猛烈な風による被害をイメージする方も多いのですが、大雨も伴った災害ですので、強風と大雨により建物に蓄積した疲労が一気に表面化してしまい雨漏りが発生する…といった事が多いのです。工場や倉庫で雨漏りが発生してしまうと、お客様の大切な商品がダメになってしまう危険がありますし、工場の稼働に重要な機械・設備が故障してしまうなど、企業の運営すら危ぶまれる被害になることもあります。

強風で建物が破損する

昨年千葉市を襲った台風15号では、最大瞬間風速が57.5mと観測史上第1位となる強風が吹き荒れ、一般住宅はもちろん工場や倉庫などの大規模施設にも甚大な被害をもたらしました。こういった猛烈な風を伴う台風では、工場屋根が強風により吹き飛ばされてしまう…と言った被害も出ており、そのような場合は製造ラインが風雨にさらされてしまい、事業運営にも支障が出てしまいます。
さらに台風の強風では、さまざまな物が風にのって飛ばされてきてしまい、それが建物に衝突することで外壁などに穴が開いてしまう…といった被害も考えられます。

その他の被害

台風は、上記のような目に見える被害だけを引き起こすのではありません。例えば、強風によって雨樋の傾斜がズレてしまい、排水不良を起こしたり、強風で棟板金が煽られて固定が緩んでしまい、屋根に隙間ができてしまう被害も少なくありません。こういった、細かな被害は一般の人が気付くのが難しく対処が遅れてしまうことで、建物全体に悪影響を与えてしまう危険があります。例えば、屋根にできた小さな隙間から雨水が侵入し、それを長期間放置することで知らないうちに躯体(くたい)の腐食が進んでしまう…なんてこともあるのです。この場合、建物自体がもろくなってしまいます。

台風対策は何をすれば良い?

それでは、台風による被害を防ぐため、工場や倉庫などで行っておきたい台風対策をご紹介していきます。

どのような被害が考えられるか事前に確認する

冒頭でご紹介したように、台風は地震と違って、あらかじめその規模や進路などの情報を確認することが可能です。したがって、台風シーズンになれば、気象庁のホームページなどを小まめに確認しておき、上陸しそうな台風があれば、その大きさや速度、進路や暴風域に入る日時などの情報をしっかりと確認しておきましょう。
さらに、工場や倉庫がある地域でどのような災害が考えられるのかが確認できるハザードマップも入手しておきましょう。ハザードマップは、地域の避難所の場所や工場周辺地域がどのような災害を受けやすいのかを確認することができますので、効果的な対策を考えるために役立ちます。

> ハザードマップはコチラ

屋根の状態を事前に確認して必要なら修理する

強風と大雨を伴う台風では、屋根の小さな劣化が原因となり、屋根全面が吹き飛ばされてしまい、雨漏りが発生してしまう…などと言った被害が考えられます。したがって、台風シーズンに入る前には、屋根の状態を点検し、必要であれば葺き替え工事やカバー工事、屋根塗装などを済ませておきましょう。
また、屋根材の固定の緩み、棟板金の固定の緩み、窓枠などのコーキングの劣化なども雨漏り原因となりますので、しっかりと点検し、必要であれば補修しておきましょう。

浸水対策も必要

大雨を伴う台風では、河川の氾濫による浸水被害も考えられます。したがって、工場や倉庫内で保管しているお客様の商品などは、浸水被害が出ないよう高い位置に持っていくことや、施設内に水が侵入しないよう土嚢などを用意しておく必要もあるでしょう。
施設によって水が侵入しやすくなる場所は異なりますので、きちんと被害をシミュレーションして、浸水の恐れのある場所から物を動かしておきましょう。

窓に関する台風対策

台風の大型化が問題視されている近年では、シャッターを強度の高いものにしたり、窓を強化するなどの対策を行う企業が増えています。台風では、強風に煽られてさまざまなものが飛ばされてきますので、窓やシャッターに衝突し破損してしまう…といった被害も少なく無いのです。特に窓が割れてしまうと、そこから雨水が侵入してしまい、施設内の商品や機械・設備がダメになってしまう…なんて危険もあるのです。
既存の窓やシャッターの入れ替えにはそれなりの導入コストがかかりますが、工場を災害から守るためには必要な対策になってきています。

台風時の出勤・休業のルールを作る

台風や地震などの自然災害対策は、建物にだけ行えば良いわけではありません。工場や倉庫などでは、多くの人間が働いていますが、大切な従業員の命を守るためにも、台風に伴う休業や出社判断に関する明確なルールを作っておくことが大切です。最近では、台風の中でも、社内ルールが無いため強風・大雨の中無理矢理出勤した…なんて会社の情報がSNSに出回ることで、問題になることも珍しくありません。
したがって、台風などの自然災害があった際には、従業員の判断に任せるのではなく、従業員の安全を第一に考えたルールをきちんと作っておき、それを周知しておきましょう。

まとめ

今回は、工場などで行っておきたい台風対策についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、日本では毎年必ずいくつかの台風が上陸し、時には予想もし得ないほど甚大な被害を出すこともあるのです。特に近年では、地球温暖化などの影響からか、台風の大型化が進んでおり、今後さらに日本に上陸する台風は大きくなっていくと予想されているのです。

工場や倉庫などの大規模施設は、多くの従業員が働く場所でもありますので、従業員の安全を守るために万全な台風対策が必要になると考えておきましょう。