『賞味期限』と『消費期限』は違う!まだ食べられるのに捨てられる食品を減らそう!

近年、世界中で問題となっている『食品ロス』。最近ではテレビのニュースなどでも食品ロス問題が取り上げられる事も増えているため、「食品ロス」という言葉自体は耳にしたことがあるという人が多いのではないでしょうか?

食品ロスとは、まだ食べられるのに、何らかの理由で捨てられてしまうことを意味しており、さまざまな面で豊かになってきた現代では、なんと世界中の約1/3の食品が捨てられているというのです。日本国内だけで見ても、平成28年度の推計で約643万トンの食品ロスが発生しており、これをご飯に換算すると日本人全員が毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているという計算になるそうです。それでは、こういった食品ロスが増加してしまう理由は何なのでしょうか?
筆者の考えとしては、『賞味期限切れ』の食品に対するイメージも非常に大きいのではないかと考えています。普段の生活のことを考えてみると、「賞味期限が切れた食べ物…」と聞くと、ほとんどの方が「食べられそうだけど、お腹を壊すのも嫌だし…」などと考えて捨ててしまっているのではないでしょうか?

しかし、食品には『賞味期限』に非常に似た名称の『消費期限』というのもあるのです。普段から食品に深くかかわる人でなければ、この2つの違いがイマイチ分からず、同じものとして理解している人もいるかもしれません。そこで今回は、『賞味期限』と『消費期限』の違いを簡単に解説していきたいと思います。少しでも「食べられるのに捨てられる」食品を減らすために、こういった細かな部分も正確な知識を持っておきましょう。

食品の期限表示の意味を知ろう!

それでは、『賞味期限』と『消費期限』の意味について解説していきましょう。皆さんもスーパーなどで買い物をする際には、食品の包装に記載された『期限表示』を見てから購入するか決める…という人が多いのではないでしょうか?それでは、各食品に記載されている期限表示とは、どのような意味があるのでしょうか?
農林水産省のサイトでも、次のように期限表示について記載されています。

お店で買った食品には、安全においしく食べられる期間があり、袋や容器に「消費期限」か「賞味期限」のどちらかが表示されています。
そのちがいを知って、健康を守るとともに、買い物をした時や家の冷蔵庫の中にある食品の表示をよく見て、いつまで食べられるか確かめるようにすれば、食べ物をむだにすることもありません。
食品をむだにしないことは、地球の環境を守ることにもなります。キーワードは「もったいない」です!
引用:農林水産省『消費期限と賞味期限』ページより

スーパーなどで販売されている食品について、生野菜などを除いた加工食品のほぼ全てで『賞味期限』か『消費期限』のいずれかが記載されています。どちらの期限表示も「安全に食べられる期限を表示している」ものだと理解している方も多いかもしれませんが、実はそうではないのです。

  • 賞味期限・・・その食品をおいしく食べることができる期限
  • 消費期限・・・表示期限が過ぎたら食べない方が良い年月日

それぞれの意味を簡単に紹介すると上記のようになります。つまり、賞味期限に関しては、表示期限が過ぎていたとしても「食べられない…」という訳ではないのです。
以下で『賞味期限』と『消費期限』の定義もご紹介してます。

賞味期限の定義とは?

それでは、普段の生活の中で頻繁に目にすることとなる『賞味期限』の定義からご紹介します。ここでは、正確な定義を紹介するため、農林水産省で記載されている内容を引用させていただきます。

袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。スナック菓子、カップめん、チーズ、かんづめ、ペットボトル飲料など、消費期限に比べ、いたみにくい食品に表示されています(作ってから3ヶ月以上もつものは「年月」で表示することもあります)。この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。もし、賞味期限が過ぎた食品があったら、大人の方とそうだんしてから食べましょう。
食品は表示されている保存方法を守って保存しておくことが大切です。ただし、一度開けてしまった食品は、期限に関係なく早めに食べるようにしましょう。
引用:農林水産省『消費期限と賞味期限』ページより

消費期限の定義とは?

次は消費期限についてです。こちらも正確に意味を理解してほしいので、農林水産省が紹介している内容を引用しておきます。

袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、いたみやすい食品に表示されています。
引用:農林水産省『消費期限と賞味期限』ページより

賞味期限が過ぎても食べられないわけではない!

このように、賞味期限に関しては、記載されている期限が多少過ぎていたとしても「食べられない…」わけではないのです。

しかし、注意が必要なのは、どちらの期限表示だとしても『食品は表示されている保存方法を守って保存しておくことが大切』という部分です。どのような食品でも、それに適した保存方法などが記載されています。例えば、『 直射日光を避け、常温で保存してください』、『 10℃以下で保存すること』などと言う表示を見たことはあるでしょう。賞味期限に関しては、記載された保存方法を守っていれば「おいしく食べられる」という期限を表示したもので、「食べられなくなる期限」を記載しているわけではないのです。しかし、適正な保存方法を守らなければ、劣化が早まってしまい、賞味期限を迎える前に傷んでしまう可能性もありますので、期限表示の日付だけにとらわれ過ぎてもいけません。

食品ロスを減らすには、こういった期限表示の意味を正しく理解し、賞味期限が切れている食品だとしても安易に捨てるのではなく、匂いや見た目、触った感触などをもとに、「食べられるものは食べる!」という習慣をつけるのが大切になります。

まとめ

今回は、スーパーなどで販売されている食品の期限表示についてご紹介しました。今まで生きている中で、『賞味期限』も『消費期限』も、どちらもその食品が「食べられる期限」をあらわしているものだと思っていた…という人も多いのではないでしょうか?しかし、本稿でご紹介したように、『賞味期限』というものは、あくまでも「正しい保存方法を守っていればおいしく食べられる」期限をあらわしているもので、それを過ぎたからと言って即座に食べられなくなる期限ではないのです。
もちろん、「賞味期限を過ぎた食材…」と聞くと、なんとなく悪いイメージを持ってしまうのも理解できます。しかし、食品の期限表示に対する正しい知識を持って、「食べられるものを捨てるのは、もったいない…」という考えを持つことが、食品ロスを少しでも減らすためにはとても重要になるのではないかと思います。食品は、できるだけ期限内に使うという努力をするのに合わせ、期限表示に関係なく「食べられるものと食べられない物」を見分ける目を鍛える必要があるのではないでしょうか。