顧客の大切な商品の保管や製造を行う工場や倉庫で雨漏りが発生してしまうと、甚大な被害を招いてしまう恐れがあります。例えば、大切な顧客の製品が水浸しになってしまえば、その製品の弁償をすれば良いだけでなく会社の信用も失ってしまうことになるでしょう。さらに、会社の資産である機械・設備すら失ってしまう可能性もあるなど、一般住宅での雨漏り被害とは比較にならないほどの損害に発展してしまうリスクがあるのです。
しかし、工場や倉庫というのは、施設規模が大きくなってしまうことから、なかなか雨漏りに気付くことができない場合も多いですし、時には直接的な被害が出ていないという理由で、雨漏り修理を後回しにする施設もあるようです。雨漏りというものは、一度発生してしまえば自然と直るようなことはなく、見えない位置でどんどん建物の劣化を進めてしまう非常に恐ろしいものです。最初は、ごく小さな屋根の劣化だったとしてもそれを放置してしまうと、関係のない部分にまで水が回ってしまい、最終的には雨漏り修理ではなく建物の大規模リフォームが必要になる…なんてことも珍しくないのです。
したがって、顧客の大切な製品や会社の資産を守っていくためには、「どのような原因で雨漏りが発生するのか?」ということをおさえておき、雨漏りする前に修繕をするという体制を作っておくことが非常に重要です。そこでこの記事では、大型施設の代表的な雨漏り原因をご紹介します。
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大型施設の代表的な雨漏り原因とは?
それでは、工場や倉庫などの大規模施設における代表的な雨漏りの原因をいくつかご紹介していきましょう。そもそも、工場や倉庫などの大規模施設は、屋根面積も広大になりますので、一般住宅の屋根とは全く異なる特徴的な屋根になっていることが多いです。
工場や倉庫などでは『折板(せっぱん)屋根』や『波形スレート』と呼ばれる屋根が採用されることが多いのですが、それぞれの屋根は以下のような特徴を持っています。
- 折板屋根
工場屋根材の主流はガルバリウム鋼板を採用した金属屋根で、折った鋼板を使って屋根を形成しています。元来丈夫な鋼板を折り曲げることにより、さらに高い強度を実現でき、上からの荷重はもちろん長い距離に施工してもたわみにくいという利点があります。また、非常に薄く成形された鋼板ですので、広大な屋根面積となっても軽量な屋根を実現できることも大きなメリットです。ただし、サビにくい金属を利用したとしても、「絶対に錆びない」ということはありませんし、定期的な再塗装などのメンテナンスが必須となります。また、単板のものだと断熱性や防音性が不足してしまうため、必要に応じて断熱材や防音材の施工を行います。 - 波型スレート
波型スレートは古くから利用されてきた屋根材で、セメントと繊維を混ぜて波打つ形に成形したスレート材です。この屋根材は、安価であることや施工が容易なことが特長で、昔から多くの工場や倉庫などに採用されています。しかし、昔の波型スレートはアスベストが含まれていたことから規制がかかり、折板屋根に取って代わられたという歴史があります。現在では、ノンアスベストの波型スレートも開発されており、従来のものと同様、施工性に優れや屋根材となっています。メリットとしては、耐火性と防音性に優れている点で、作業音が大きくなってしまう施設では選ばれることが多いです。なお、波型スレートも再塗装などの定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
工場や倉庫の雨漏りを防ぐためには、「何が原因で雨漏りするのか?」ということを知るのが第一歩です。普段から雨漏りの可能性がある場所を知っておくことで、雨漏りする前に対処することもできるようになるのです。
原因① 屋根材を固定するボルト部分の劣化
まずは、屋根材を固定するために施工されている『ボルト部分が劣化してしまう…』という原因です。
折板屋根、波型スレートどちらの屋根材を採用していたとしても、それぞれの屋根材はボルトや釘によって固定されています。この固定剤が経年劣化で緩んでしまったりすれば、ボルト穴から浸水が起こり雨漏りに発展するのです。波型スレートの場合、地震の影響でボルト周りにひびが入ってしまうこともありますし、折板屋根の場合はボルトがサビてしまうことで屋根材が貰いサビで腐食してしまい穴が開いてしまう…なんてことも考えられます。
屋根には非常に多くのボルトが使用されていますが、多くのボルト部分で同時に上記のような劣化が発生すると一気に雨漏りが発生して修理費や被害額が跳ね上がってしまう危険があるので注意しましょう。
原因② ジョイント部分などのコーキングの劣化
工場や倉庫の屋根には、排気用の換気扇が設置されているということも多いです。こういった屋根上に取り付けられる設備のジョイント部分は、板金やコーキングなどで雨仕舞をするのですが、経年劣化により継ぎ目が開いてしまいそこから水の侵入を許してしまう…という雨漏りも多いです。
屋根というものは、常に紫外線や風雨の影響を受け続ける場所となりますので、建物の中でも最も劣化が早く進行する部分と言っても過言ではありません。特にこういったジョイント部分の劣化は、一般の人では確認することが難しいので、雨漏りして初めて劣化に気付くことも多いです。したがって、専門業者による定期的な点検を行うのがオススメです。
原因③ 屋根材の老朽化
波型スレートは、定期的な再塗装が必要とご紹介しましたが、メンテナンスを怠ってしまい表面の塗装が剥がれてしまうと屋根材の劣化が一気に進み、ひび割れなどが発生し雨漏りを誘引してしまいます。しかも、塗装の効果がなくなった屋根では、表面にカビやコケが繁殖してしまうことが多く、それらによってひび割れなどの屋根材の損傷が隠されてしまい発見が遅れてしまうことになるのです。
老朽化した波型スレートは、ちょっとした地震の振動で屋根材にひび割れが生じる…などと言ったことも多いので、築年数が経過した建物では「屋根がもろくなっている可能性がある!」と認識し、定期的に点検しましょう。
原因④ 谷樋の経年劣化
屋根の傾斜が合流する部分が『谷』と呼ばれており、その部分に施工されるものが谷樋です。谷樋は、板金で造られることが多く、この部分がサビなどで腐食してしまうと穴が開いて雨漏りが発生します。
谷樋は、屋根に落ちた雨水を集水し、適切に建物外に排水する役割を持っている部分ですので、屋根の中でも最も劣化が進行しやすい場所となります。したがって、定期的に劣化状況の確認が必要と考えておいた方が良いでしょう。また、谷樋や雨樋には、風に飛ばされてきたゴミや砂などが堆積してしまうことがあるので注意です。ゴミなどによって水がせき止められてしまうと、溢れた雨水が屋根下に入り込んで雨漏りすることがあるのです。この部分は、新しい工場や倉庫であっても、近くに大きな木や山があれば落ち葉によって水がせき止められ雨漏りしてしまう…などと言った可能性がありますので、どのような施設でも定期的な点検・清掃を欠かさないようにしましょう。
まとめ
今回は、工場や倉庫の事業者様がおさえておきたい、大型施設の代表的な雨漏り原因をご紹介してきました。この記事でご紹介した以外にも、さまざまな雨漏りの原因が存在しますが、上記のような劣化は定期的に点検を行うことで雨漏りを発生させる前に修理することが可能です。工場や倉庫で雨漏りが発生してしまえば、大切な顧客の製品がダメになってしまうだけでなく、会社の資産である機械・設備の故障により製造ラインが止まってしまうことや、最悪の場合、漏電により火災が発生してしまうような危険もあるのです。
特に注意しておきたいのは、業務に関係ない場所などでちょっとした劣化を見つけた際、その対処が後回しにされてしまうことが少なくない点です。小さな劣化を放置してしまうと、その部分から一気に劣化が拡大してしまう危険がありますので、できるだけ早く対処したほうがとんどの場合修理費用をおさえることができます。小さな劣化も放置せず早めの対処を心がけましょう。