SDGsは企業ブランドを高める?製造業での取り組み事例もご紹介!

最近では、テレビ番組などでもよく見かけるようになってきた『SDGs(エスディージーズ)』ですが、実際のところ、SDGsがどのような活動なのかは「いまいち分かっていない…」という方も多いのではないでしょうか?

特に、こういった国際的な取組については、「大企業が企業ブランドを高めるために行うもので、中小企業には関係がない。」と考えてしまう方も少なく無いように思えます。そこでこの記事では、「そもそもSDGsとは何か?」や「SDGsに取り組んでどんなメリットがあるのか?」など、この取り組みに関する基礎知識や、製造業の企業で実際に行われている取り組み事例などをご紹介します。

そもそも『SDGs』って何?

それではまず、SDGsの基礎知識を簡単にご紹介しておきます。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月にニューヨーク国連本部で開催された国連サミットで採択されました。このSDGsでは、国連に加盟している193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

SDGsの目標に関しては、以下の17の目標が掲げられています。

引用:国際連合広報センター

そして、これらの目標を達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
SDGsは、「誰ひとり取り残さない」という理念のもと、持続可能な社会を目指していくというものですので、国家や行政機関だけでなく、社会・環境・経済に大きな影響を及ぼす民間企業の取り組みが非常に重要とされています。

参考データ:農林水産省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット

企業にとってSDGsにどんなメリットが?

SDGsは民間企業の取り組みが非常に重要とされていますが、実際にSDGsに取り組んだ場合、企業にとってどのようなメリットが考えられるのでしょうか?ここでは、SDGsが企業にとってどう役立つのかという視点で、いくつかのメリットをご紹介しておきます。

  • 企業ブランドの向上
    SDGsは社会貢献の色合いが強いことから、企業のブランドイメージ向上に役立つと言われています。企業ブランドの向上は、「新たな人材の採用が有利になる」「共通の目標ができることで、社内に一体感が生まれ、モチベーション向上につながる」「製品や商品に付加価値が生まれ、価格競争に巻き込まれにくくなる」「取引先からの信頼性が高まる」などの効果が期待できると言われています。
  • グローバルな活動の支援になる
    SDGsは、国連が採択した目標ですので、日本国内だけでなく世界中で通用します。したがって、「SDGsに取り組む企業」ということは、国際的にも高く評価されるようになり、海外進出を行う場合には大いに役立つと考えられます。
  • 企業の今後の動きに好影響が予想される
    最近では、SDGsをテーマとした投資信託が登場しているなど、一部の金融機関ではSDGsに取り組んでいることを条件に、融資の金利を優遇する動きなどが出ているようです。さらに今後は、官公庁への入札や企業間取引における判断でも、SDGsへの取り組みが判断材料になると予想されており、SDGsが商取引に直接的な影響を与える可能性があると言われています。

SDGsの取り組み事例をご紹介

それではここからは、実際に企業が行っているSDGsに関する取り組み事例をご紹介していきましょう。ここでは、経済産業省が公表している「SDGsに取り組む中小企業等の先進事例」からいくつかピックアップしてご紹介します。

①各種緩衝材、設計・試験・製造・販売する企業の事例

この企業がSDGsに取り組んだ背景は以下のように説明されています。

環境改善・社会貢献は経営上としても重要な活動の一つとして位置付けている。段ボールは使用後ゴミとして捨てられ焼却されることでCO2を排出する負のイメージがある為、そのイメージをクリーンなイメージに変えたいと言う思いが経緯としてあり、CSR活動を通して、地域住民への恩返し、また従業員一人一人の環境に対する意識の向上を図る目的が背景としてある。
引用:経済産業省資料より

実際の取り組み内容は以下となっています。

  • CO2削減のため、梱包材のダウンサイジング化、省資源化、積載効率のUP、トータル梱包材物流コストの効率化への取り組みを行っています
  • マングローブの植林活動など、CO2の吸収、光合成を通じた酸素の排出。水の浄化、海岸線の保護、渡り鳥の保護などの環境保全を行っています
  • 卵の殻を使ったバイオマスプラスチック製品「プラシェル」の推進

上記のような取り組みを行っており、マングローブ植林活動については、2019年で10年目を迎え、植林した本数は「1,200万本/植林面積336hr(東京ドーム71個分)」を達成しているそうです。また、バイオマスプラスチック製品「プラシェル」については、現在企業39社が「プラシェル」製品を導入し、県も本取り組みを後援し、普及促進中だとのことです。
この企業では、SDGSは企業価値の向上だけでなく、ステークホルダーからの評価を得る一番の取り組みと位置付けているそうです。

②世界が注目する革命的新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発した企業の事例

この企業がSDGsに取り組んだ背景は以下のように説明されています。

環境負荷が高い素材の使用が世界的に見直されている昨今であるが、創業当初から「100年後でも持続可能な循環型イノベーション」を企業ビジョンに掲げている。SDGs採択後は、SDGsを事業戦略と社会課題の関係を整理する指標として活用。SDGsは社内外で共通言語となっており、取引先との認識共有を図るうえでも有用なものとなっている。
引用:経済産業省資料より

実際の取り組み内容は以下となっています。

  • 主原料が石灰石である『LIMEX』は、国内自給率100%超で、紙やプラスチックの代替素材としてLIMEXを製造することで、環境負荷の低減と付加価値の高い持続可能な生産の両立を実現している。高い耐水性・ 耐久性を生かして紙の代替製品のほか、袋や食品容器などプラスチックの代替製品の導入が進んでいる
  • 新製品開発等に取り組むためのイノベーションのヒントとしてSDGsを活用している
  • 鯖江市内で使用済みのLIMEXを使った印刷物等を回収し、鯖江の伝統工芸である越前漆器の技法を用いた食器などに加工し、販売すること等を検討中

こういった取り組みにより、新規取引増加、売上増加などの効果が得られているそうです。なお、LIMEXの導入自体が、SDGs貢献に向けた一つの取り組みになることから、大企業を始めとしてさまざまな場所に普及が進み、現在では海外からの引き合いもかなり多くなっているようです。
その他にも、SDGsに取り組む企業として企業イメージの向上から、リクルーティングや社員のモチベーションアップ等にも寄与しています。

上記以外にも、さまざまな取組事例が公表されていますので、以下で確認してみてください。
参考:経済産業省「SDGsに取り組む中小企業等の先進事例の紹介
参考:農林水産省「始まった食品事業者の取組

まとめ

今回は、2015年9月に国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の基礎知識と実際の取り組み事例をご紹介してきました。最近では、テレビ番組などでも『SDGs(エスディージーズ)』という言葉をよく耳にするようになっていますが、実際にどういった取り組みが行われているのかまでは知らないという方の方が多いと思います。

この取り組みに関しては、日本国内だけでなく、国際的にも高く評価されるようになると言われていますし、自社製品の海外進出を検討している企業からすれば、ぜひ取り組んでみたいものと言えるのではないでしょうか?
まずは、この記事でご紹介したような、他社の取り組み事例などをいろいろと調べてみて、自社にも導入できる取り組みがあるか調べてみることからスタートしてみてはいかがでしょう。