人手不足解消のカギは『女性活躍推進』?実際の取り組み事例から学んでみましょう!

少子高齢化などの影響により、さまざまな業界で人手不足が深刻化していると言われています。特に、製造業などでは、『3K(キツい・汚い・危険)』などというネガティブなイメージが根強いことから、若手人材の確保に非常に苦戦しており、多くの企業が人手不足を感じているそうです。

経済産業省が2017年に行った調査によると、大企業と中小企業合わせた製造業の企業において、なんとその94%が「人手不足を感じている…」と答えたそうです。この結果は、製造業を営むほとんどの企業において、人手不足が生じているということで、そのうち約32%の企業に関しては、人手不足が経営にまで影響を及ぼしていると答えています。

それでは、製造業におけるこういった人手不足を解消するためには、どのような対策が考えられるのでしょうか?近年では、製造現場の自動化などによる省人化・省力化が注目されていますが、これ以外にも今まであまり採用してこなかった『女性』の積極採用が重要だと考えられるようになっています。
そこでこの記事では、厚生労働省が公表している資料から、実際に取り組まれた女性活躍推進の取り組み事例をご紹介していきます。

参照データ:経済産業省資料より

女性活躍推進の取り組み事例について

それでは、実際に行われた女性活躍を推進するための取り組みをいくつかご紹介していきましょう。ここでは、厚生労働省が公表している「女性活躍推進の取組好事例集」で紹介されているものの中から、いくつかの事例をピックアップします。

繊維工業

まずは、群馬県桐生市のスポーツウェア、インナーウェア、産業資材各種、合成繊維の染色加工業務が生業の企業が行った取り組み事例です。この企業では、ベテラン社員の継続就業のため、定年者再雇用制度や育児・介護休業規定の改定なども行ってきたのですが、人手不足が深刻化する中で、女性が結婚や出産を経ても働きやすく、活躍できる環境を作るための取り組みを行っているそうです。

この企業では、女性がリーダーとして活躍しているものの、その上の管理職などの職責となると、女性自身が躊躇してしまっているという課題が存在していたそうです。また、女性社員の多くが検査部門に集中しており、女性の職域に偏りが存在していたと言うことも課題だったそうです。これらの課題を解決するため、以下のような取り組みを行っています。

実際に行った取り組み
  • 今まで男性ばかりであった生産現場を希望する女性が出てきたことにより、染めた布を運搬するための電気自動車を用意するなど、男女の体力による格差への対策も講じて二交替勤務の現場に女性を配置した。
  • 新たな女性リーダー、課長の育成にも力を入れるため、教育訓練体系図を作成してキャリアアップのための研修プログラムを作成することとした。
  • 育児休業等の欠員対応をきっかけに、担当部署以外を手伝うことで職域を拡大させようと取り組んでおり、多能工化を推進してキャリアアップにつなげていく。

上記のような取り組みを行った結果、優秀な女性人材の確保につながったそうです。さらに、女性社員の職域を拡大したことで、さまざまな部門で女性が活躍するようになり、男女両方の意識も変わってくるなど、社内全体に好影響があったそうです。

化学工業

化粧品の企画開発・受託製造等の業務を行っている企業の取り組み事例です。事業内容から考えると、既に多くの女性人材が働いていると考えられる企業ですが、管理職に占める女性の割合が低いという課題を抱えていたそうです。また、今後も優秀な人材の確保や離職率の低下を目指して以下のような取り組みを行ったそうです。

実際に行った取り組み
  • 管理職手前の女性社員に対し、リーダー育成研修を実施する。
  • ライフイベントに合わせて、継続してキャリアを積むことができるよう、多様な働き方ができる制度の導入を進める。

今回の取組結果により、管理職に占める女性の割合が25%になったとのことです。さらに、『えるぼし認定』を取得したことで、新規学卒者の採用だけでなく、パートタイマーの募集の際に注目されるようになったという効果が出ているそうです。

参考:「えるぼし認定とは

非鉄金属・金属製造業

最後は、大阪市の金属表面処理(めっき加工・研磨加工)を行っている企業の取り組み事例です。製造業の中でも、めっき業界については、そのイメージから若い人や女性に敬遠されがちな業界と言えるでしょう。しかし、実際の仕事内容を考えると、女性が活躍できる仕事がたくさんあると感じており、女性活躍を推進することで、めっき業界のイメージ自体も変えられると考え、今回の取り組みを行ったそうです。

取り組みを行う前は、女性社員の採用は徐々に増えているものの、全体の約2割程度しかおらず、まだまだ女性社員が少ないということが課題だったそうです。さらに、女性の管理職については、1名しかおらず、今後女性の管理職を増やす必要があると考えたそうです。しかし、育児休業取得などの実績がないなど、仕事と生活の両立支援が整っているとはいえず、採用した女性社員が継続就業できるようにするため、職場環境の整備が必要だと感じ、今回の取り組みを行ったようです。

実際に行った取り組み
  • 女性専用のトイレ、更衣室などを新設し、現場で女性が安心して働ける環境を整える。
  • めっき技術の習得など、女性社員もどんどん新しい仕事にチャレンジさせる。
  • これまで足りなかった社内のコミュニケーションの強化のための社内報の発行や委員会を立ち上げる。
今回の取り組みを行った事で、『女性活躍推進企業』としてのPRができるようになり、優秀な人材の採用につながったとのことです。また、新しい仕事で女性が活躍することにより、全ての社員のチャレンジ精神まで引き出せるようになったとの事です。

参照資料:女性活躍推進の取組好事例集

まとめ

今回は、女性活躍推進のため、実際に企業で取り組まれた事例についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で人手不足が深刻化していると言われています。特に、製造業界などは、昔からネガティブなイメージを持たれていることから、なかなか優秀な若手人材を確保することができない…ということが共通の悩みになっていると思います。

そこで近年では、ロボットの導入による自動化や今まで採用してこなかった女性や外国人労働者の活用が注目されるようになっています。今後も、人手不足がますます進行していくと考えられますので、女性登用を増やすためにも、女性活躍推進の取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。