冷蔵倉庫の基礎知識。冷蔵保管と冷凍保管の区分をおさえておこう

今回は、倉庫の基礎知識として、冷凍倉庫に関する情報をいくつかご紹介していきたいと思います。

スマートフォンやタブレットが広く普及した現在では、どこにいても欲しいものを探し、買い物ができる時代になっています。実際に、EC市場は年々拡大を続けていると言われており、今やネット通販で買い物をしたことが無い…と言う人の方が少なくなっているのかもしれません。このような状況の中、非常に重要な存在となっているのが、物流の拠点となる各種倉庫です。特に現在のEC市場では、衣料品や家電製品などだけでなく、生鮮食品や冷凍食品など、保管条件が全く異なる多種多様な商品が取り扱われるようになっています。

そこで、これらの商品を保管する倉庫は、保管物品の特性に合わせてさまざまな機能を持っていなければならない時代になっているのです。その中でも、年々需要が高くなっていると言われているのが『冷蔵倉庫』なのですが、この記事では、冷蔵保管と冷凍保管の保管区分などについてご紹介していきたいと思います。

冷蔵倉庫と冷凍倉庫について

それではまず、冷蔵倉庫と冷凍倉庫の関係性から簡単にご紹介していきたいと思います。まず、皆さんに覚えておいてほしい情報は、水産物や畜産物、農産品、低温・冷凍食品などの食品を中心に、各製品の特性に合わせて「+10℃以下の低温で保管する施設」は冷蔵倉庫と呼ばれるということです。冷凍倉庫に関しては、この冷蔵倉庫の中でも「より低温の倉庫」のことを指しています。

つまり、一般的には「+10℃以下の低温で保管する施設」に関しては全て冷蔵倉庫と言う分類でも間違いないのですが、冷蔵保管と冷凍保管をわかりやすく区分するために分けて呼ぶことがあるわけです。ちなみに、冷蔵保管と冷凍保管の区分は以下の通りです。

区分 保管温度帯
C3級 +10℃以下~-2℃未満
C2級 -2℃以下~-10℃未満
C1級 -10℃以下~-20℃未満
F1級 -20℃以下~-30℃未満
F2級 -30℃以下~-40℃未満
F3級 -40℃以下~-50℃未満
F4級 -50℃以下

保管温度による区分は上記のようになっています。なお、保管温度が「+10℃以下~-20℃未満」の倉庫を『チルド級(C級)』と呼び、「-20℃以下」の倉庫が『フローズンまたはフリーズ(F級)』と区分され、冷凍倉庫と呼ばれます。

冷凍倉庫の注意点について

冷蔵倉庫と冷凍倉庫の関係性についてはある程度分かっていただけたと思います。基本的には、冷凍倉庫も冷蔵倉庫に含まれるのですが、物品を保管する際にわかりやすくするため呼び方を変える場合があるわけです。

なお、冷凍倉庫は、他の倉庫と異なり、かなりの低温を維持しなければならない施設ですので、いくつかの注意点が存在します。ここでは、冷凍倉庫の注意点を簡単にご紹介しておきます。

冷凍倉庫の設備について

ここまでの説明で分かるように、冷凍倉庫は通常の倉庫とは異なり、超低温の環境を維持しなければいけません。したがって、さまざまな設備を必要とします。

例えば、倉庫内の温度を管理するのに必要な空調設備(冷凍機)を始めとして、ドッグシェルターなどの温度を逃さない扉、冷凍倉庫内に対応する什器など、通常の倉庫では必要とされない設備も備えていなければいけません。また、防水性能や耐火(防火)性能、必要に応じて災害防止措置なども講じる必要があり、消火設備や防犯設備など通常の倉庫でも必要な安全対策は必要不可欠です。他には、冷蔵室との通報設備や温度計など、さまざまな設備の導入が必要になりますので、建設コストは割高になります。

『結露対策』がとても重要

冷凍倉庫の課題として良く紹介されるのが『霜』がついてしまうことです。冷凍・冷蔵倉庫に霜がついてしまうと、冷却性能が落ちてしまう…という問題があります。しかし、冷凍倉庫内に霜がつく…ということは、冷却性能の低下だけが問題になるわけではありません。実は、こういった霜は、倉庫内に結露が発生しているということで、放置してしまうと倉庫内の衛生状態が悪化してしまう危険があります。

一般的に、食中毒の原因となる細菌に関しては、10℃以下で増殖が遅延し、-15℃以下になると増殖が停止すると言われています。しかし、全ての菌が低温で死滅しているわけではないので、室温に戻すと増殖を始めます。(※1サルモネラ菌はマイナス23℃で7年間生きていると言われています。)したがって、倉庫内の床や天井に結露が発生してしまう…などという状況は、食品事故のリスクを高くしてしまうなど、食品を保管する施設と考えれば衛生上好ましくありません。

つまり、冷凍・冷蔵倉庫は、湿気対策などをしっかりと行い結露を発生させないよう、霜対策をしっかりと行うことが重要な課題と考えておきましょう。

※1参考:食品安全委員会公式サイトより

結露を発生させない冷蔵・冷凍庫のケーススタディについてはこちら

まとめ

今回は、倉庫の中でも特に低温保管を求められる冷凍倉庫の基礎知識についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、「+10℃以下の低温で保管する施設」に関しては、一般的に冷蔵倉庫に分類される施設となります。しかし、低温管理が求められる製品の中でも、それぞれの特性によって保管温度は変わってしまいます。そこで、冷蔵保管と冷凍保管の区別をわかりやすくするため、いくつかの区分が作られているわけです。

基本的に、-20℃以下の低温で保管する倉庫が冷凍倉庫に分類されると覚えておきましょう。取扱商品によって、必要な倉庫の機能が全く異なる場合がありますので、注意が必要です。

三和建設では省エネ化も実現しながら、結露しない、衛生管理対策が行き届いた冷蔵倉庫、冷凍倉庫の建設を行っています。低温物流を加速させる倉庫ソリューションを提供いたします。

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