冷凍食品の進化が止まらない!自宅でいつでも焼き立てパンが楽しめる『冷凍パン』が話題!

ここ数年、冷凍食品の美味しさが飛躍的に進化していると言われます。皆さんの普段の生活を思い返してみても、お弁当や夕食のちょっとした一品に冷凍食品を活用しているご家庭は多いのではないかと思います。最近では、大手コンビニ各社も、冷凍食品に力を入れており、今では冷凍食品なしの生活など考えられないような時代になっています。

このような状況の中、近年大注目されているのが『冷凍パン』です。そもそもパンの製造工程は、職人が朝早くから生地をこねて、そこから一次発酵、二次発酵させなければいけないなど、パンが出来上がるまでに非常に長い時間がかかってしまいます。そのため、早朝からパンの販売や出荷を考えた場合、日の出前からの業務が必要になり、パン屋さんの労働環境悪化を招いていたとされるのです。そこで開発された商品が『冷凍パン』です。もともとは業務用として開発された冷凍パンですが、ここ数年、飛躍的に味が向上し、個人店のパン屋さんなどでも販売されるようになっているのです。

そこで今回は、いつでも焼きたてパンが楽しめる『冷凍パン』に迫ってみたいと思います。

冷凍パンの歴史

それではまず、『冷凍パンの歴史』について簡単にご紹介しておきます。冒頭でご紹介したように、パンの製造は非常に長い時間がかかります。さらに、酵母を使った商品ですので、その日の気温や湿度によって味のバラつきが生じてしまう可能性があるなど、パン職人の経験によって美味しさがかなり左右されてしまうものとされます。

そこで、老舗パンメーカー「アンデルセン」が、作り手の熟練度や労働環境に左右されず、安定した品質を持った冷凍パンを開発したのです。冷凍パンは、店舗にパン職人がいなくても、オーブンにかけるだけで安定した美味しさを持つパンを提供することができるようになるのです。冷凍パンは、ここ数年で一気に注目されるようになったイメージがありますが、アンデルセンでは、1970年に冷凍パン専門の自社工場を広島に作っているなど、長い歴史を持っています。

冷凍パンにも種類がある

一口に『冷凍パン』と言っても、実は大きく分けて二つの種類があります。一つは、焼成まで終わらせた状態の冷凍パンで、これはパン屋さんなどで売られている焼きあがった状態のパンを冷凍し、購入した顧客が自宅などで解凍し、軽くトーストして食べることが想定されています。食パンなどを長期保存するため、冷凍庫に入れて置く方もいるかと思いますが、それと似たようなものです。
二つ目は、焼成前のまだパンとしては出来上がっていない状態の冷凍パンです。この冷凍パンは、発酵まで終わらせた状態のものを冷凍し、それを購入した人がオーブンで焼くことで、どこでも『焼きたてのパン』を楽しめるというものです。ちなみに、パンの発酵は、一次発酵と二次発酵という段階があるのですが、一次発酵の冷凍パンであれば、購入者が自分で自由な形を形成できるというメリットがあります。二次発酵までされた冷凍パンの場合、そのまま焼けば美味しい焼きたてパンが出来上がりますので、その手軽さが人気です。

自宅でも焼きたてパンが楽しめる『冷凍パン』

冷凍パンは、前述したように、業務用として開発されたパンで、店舗にパン職人を配置しないチェーン展開型のパン屋さんや、大量のパンを消費するホテルや飲食店などで活用されてきました。それが近年では、パン職人が常駐している個人店型のパン屋さんなどで家庭用の冷凍パンが販売されるようになり、一気にその人気に火がついたのです。
米食のイメージがある日本人ですが、パン好きだという人もかなり多く、最近ではホームベーカリーを使って自宅でパンを作るという人も少なくありません。しかし、上述したように、湿度や気温によって微妙に味が変わってしまうパンは「自分で作るとあまりおいしくない…」などという人も少なくないのです。そのような中、プロが作ったパンで、手軽に焼きたてパンを楽しめるとなれば、パン好きの方が飛びつくのも当たり前かもしれませんね。

本当の焼きたてパンを楽しむなら『冷凍パン』がオススメ

パンの中でも、焼き立てパンの美味しさは格別です。そのため、パン屋さんなどでも『焼きたて』というフレーズをアピールする販売方法がよくとられています。しかし、パン屋さんなどで「焼きたてパン」として販売されているものでも、焼き上がりから1時間程度経過しているものの方が多いですし、自宅に帰ってから食べると考えると、「本当の焼きたての美味しさ」を味わうことは難しいものなのです。しかし、冷凍パンであれば、食卓に並べる直前にオーブンで焼き上げるのですから、本当の意味での「焼きたての美味しさ」を楽しむことが可能になるのです。

また、こういった冷凍パンには、スーパーなどで販売されている市販のパンにはないメリットもあると言われます。それは、保存料などを一切使用していないという点です。通常、常温保存で販売されているパンは、日持ちがしないものですので、すぐにダメになってしまわないよう、保存料が使用されています。しかし、冷凍パンは-18℃以下で保存されるという特性上、微生物が活動できないので、保存料などを使用する必要がないのです。さらに、冷凍パンの場合は、常温保存のパンと異なり、時間経過とともにデンプンの劣化や水分の蒸発もないため、味の観点でも優れていると言われます。

つまり、冷凍パンは、不純物など含まれていない安全な食品で、長期間にわたりその品質を保ってくれる画期的な食材ということです。どのような食べ物でも、やはり「作りたて」が最も美味しいと言われるように、自宅でいつでも手軽に「焼きたてパン」を楽しめるのは非常に大きなメリットと言えるでしょう。

『冷凍パン』のデメリット

冷凍パンは、上述のように数多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットが存在しています。代表的なデメリットをいくつかご紹介しておきましょう。

  • スペースを取る
    パン屋さんなどで販売されている冷凍パンは、「オーブンで焼けば食べられる」状態で販売されています。つまり、焼成前のパンの形状をしているので、それなりの大きさがあるのです。一般的な冷蔵庫の冷凍室は、そこまで大きなスペースが無いため、大量の冷凍パンを保存しておくということが難しいというのはデメリットでしょう。
  • 食べたいその日に手に入れるのは難しい
    近年冷凍パンの人気が急上昇しているとはいえ、全てのパン屋さんが販売しているわけではありません。また、販売方法も店頭販売ではなく、ネット通販型がほとんどとなります。したがって、「今すぐ食べたい!」と思っても、手軽に近くのお店で購入することができません。
  • コストがかかる
    地元のパン屋さんなどでパンを購入する場合、100円以下で美味しいパンを食べることもできます。しかし、冷凍パンはネット通販が主流となっているため、購入する場合には送料等、パン以外の費用も掛かってしまうのです。したがって、通常の常温パンを購入することを考えると、コストがかかってしまうのがデメリットになります。

まとめ

今回は、近年その美味しさが注目され、一気にその人気に火がついた『冷凍パン』についてご紹介しました。本稿でご紹介したように、元々業務用に開発された冷凍パンなのですが、最近では個人店のパン屋さんなどが家庭用の冷凍パン販売を続々とスタートしています。ホームベーカリーが一時期大人気だったように、日本人はパン好きが多く、いつでも手軽に「焼きたての味」が楽しめる冷凍パンは、多くの人にオススメ出来る物だと思います。

こういった、新しい食品の楽しみ方は、凍結技術の進歩があってこそ。「凍結技術にも種類がある!最新の急速凍結技術『プロトン凍結』がスゴイ!(公開時にリンク設置)」の記事でもご紹介しましたが、近年、凍結技術の進歩は著しく、私たちの食生活をどんどん豊かにしていってくれています。凍結技術の進化は、食生活を豊かにしてくれるというメリットの他に、世界中で問題となっている食品ロス解決の糸口になるとも考えられています。
今後も凍結技術の進化が進み、もっと私たちの生活が便利になることを期待したいですね。