大量の廃棄物が出る工場。処理コストを抑えるために知っておきたいポイント

今回は、製造現場で出る様々な産業廃棄物について、その処理コストを抑えるために知っておきたいポイントについてご紹介していきたいと思います。私たちの生活を支える製造現場では、毎日のように大量の廃棄物が出ます。一般的に、これらの廃棄物はコンテナなどにまとめられ、産業廃棄物処理業者に有料で回収してもらうという流れになっているため、廃棄物の処理コストはかなりの金額になることでしょう。もちろん、工場を稼働させれば必ず排出されるものですので、必要経費ではありますが、できるだけ廃棄物の処理コストを削減したいと考えるのはどの工場でも同じことでしょう。
そこで本稿では、様々な工場から排出される廃棄物に関して、その処理コストを抑えるためのポイントを考えていきたいと思います。工場から排出される廃棄物は、リサイクルの意識を持ち実行するだけでも、コストダウンにつなげることが可能です。

一般家庭と同様に分別の意識が大切!

様々な製品を製造する工場では、排出される産業廃棄物も多様な種類があります。例えば、ビニールなどの廃プラスチック類や必要なくなったコンテナなどの木くず、金属加工の過程で出た金属くずなどです。
これらの廃棄物は、細かく分別することもなかなか大変なことだと思います。しかし、多種多様な廃棄物を分別もせず、一緒くたにしてコンテナなどに入れて集めている場合、その処分費用は高くなってしまうことが多いのです。

分別しないと回収費が高額になる理由

工場などで排出される産業廃棄物の回収費用は、廃棄物の種類によって異なります。そのため、産業廃棄物回収業者は、廃棄物処分の依頼があった場合、一度現地に赴き廃棄物の性状を確認するのが一般的です。もちろん、回収場所で作業が行えるかや車を入れる場所があるかなどの確認もありますが、最も重要なのは廃棄物の種類と混合割合を見ることです。例えば、電話だけで依頼を受けた場合、廃プラスチックがほとんどと聞いていたのに、現地に行ってみると、ほとんどが木くずだった…なんてことも珍しくなく、顧客のいう事をそのまま信用して回収してしまうと最悪の場合、赤字になってしまうともあるのです。
一般的に、様々な廃棄物を混合状態で回収する際には、混合割合から平均価格を出すわけではなく、最も処理費用が高額になるものの価格で全てを回収するというパターンがほとんどです。例を挙げると、軟質プラスチック、硬質プラスチック、木くずが「5:3:2」の割合で混合された廃棄物があったとしましょう。そして、それぞれの回収費用が「1000円/㎥:3000円/㎥:6000円/㎥」であった場合、これらを混合物として回収する費用は6000円/㎥で全て回収するという事になるのです。
なぜこのような計算になるのかというと、排出される廃棄物は工場の稼働によって混合状態が左右されることになるためです。また、現地確認の際には安くなりそうなものを入れておき、実際の回収時は費用が高いものが増えているという事もあり得るからです。したがって、基本的に廃棄物回収業者は、常に最悪の状態を想定して費用を算出するため、混合状態で廃棄物回収を依頼した場合、処理コストが高額になってしまう場合があるのです。

廃棄物処理のコストダウンを考えるならリサイクルの意識が重要!

工場の製造過程で排出される廃棄物は、大抵の場合は少しの工夫できちんと分別ができることが多いです。上述のような理由もあり、廃棄物の分別は処理コストの削減を考えた場合には、真っ先に行うべきことでしょう。そして、きちんと廃棄物の分別が行えるようになったのであれば、廃棄物のリサイクルでさらなるコストダウンも考えることができるのです。
当たり前のことですが、廃棄物の処理施設を持っていない工場であれば、廃棄物回収・処理業者に処分費用を支払い続けなければいけません。もちろん、これらの処理費用は必要経費ではありますが、出来るだけ安く抑えたいものだと思います。廃棄物のリサイクルは、非常に有効なコスト削減方法であり、いろいろなメリットが考えられますので、以下でリサイクルのために必要なことをご紹介していきましょう。

廃棄物がリサイクルできるかもう一度見直しましょう!

近年では、最新設備を導入してリデュース(減量)することや、自社内で再使用できるものはリユース(再使用)するといった、様々な取り組みを行っている工場も少なくありません。しかし、いろいろと対策は行っているものの、製造過程で出る廃棄物はそのまま回収業者へ引き渡しているというのなら、そこが見直しポイントかもしれません。
上述したように、工場から出る廃棄物には様々な物があります。そして、その中には他業者からすれば原料として利用できる物もあり、何も考えず捨ててしてしまった場合、損をしてしまう可能性があるのです。例えば、金属くずなどで考えれば、状態によっては廃棄物ではなく有価買取してもらえる可能性もあるのです。確かに『廃棄物=処分するもの』というイメージが強いものですので、製造現場で出る廃棄物が他社では原料として再利用できると再定義する機会もあまりなく、そのまま処理業者に費用を支払って引き取ってもらうのが『普通』という感覚があるでしょう。
しかし、今までは捨てていた『モノ』が、別の原料としてリサイクル出来ないかと考えてみることが、廃棄物処理のコストダウンにつながるのです。自社の廃棄物の中に、原料となり得るものがあるのなら、処理費用の削減だけでなく、有価物化することも可能となるかもしれません。

廃棄物をリサイクルすることのメリット

工場の製造過程で出る廃棄物をリサイクルすることには様々なメリットがあります。代表的なメリットを以下にあげてみましょう。

  • 廃棄物処理にかかるコストを削減できる可能性がある
  • 廃棄物の中から、有価物化をはかれるものが見つかる可能性がある
  • 環境問題に取り組む企業として、イメージアップにつながる

廃棄物のリサイクルには、上記のようなメリットがあると言えるでしょう。様々な環境問題が課題となっている現代では、廃棄物のリサイクルを積極的に進めることで、コスト削減を目指せるだけでなく、『環境問題に取り組む企業』として企業のイメージアップにもつながります。企業にとってイメージというのは非常に重要な要素と言えますので、コスト削減の副次的なメリットとして企業のイメージアップにつながるのであれば、廃棄物処理の見直しをして損はないのではないでしょうか。

まとめ

今回は、製造現場である工場で出る廃棄物について、その処理コストを抑えるにはどうすればいいのかについてご紹介してきました。本稿でもご紹介したように、現在様々な廃棄物を何の分別もせず、コンテナなどで一緒くたに集めて回収してもらっているのであれば、まずゴミの分別からスタートしてみると良いのではないでしょうか。産業廃棄物とひとくちに言っても、様々な種類があり、それぞれ必要な処理コストが異なります。そのため、きちんと分別し、適切な処理コストで引き取ってもらえるようにするだけでも、それなりのコスト削減効果が得られる可能性があります。
さらにきちんと分別ができるようになれば、自社の廃棄物の中にリサイクルができる物がないか、きちんと再定義する必要があります。一見ゴミにしか見えない物でも、他社からすれば原料として利用できる可能性があるのです。もちろん、他にも保管場所や保管方法、回収業者の見直しで、廃棄物の処理コスト削減が目指せる可能性もありますので、今一度自社の廃棄物がたどる経路を見直してみてはいかがでしょうか。