近年では、インターネットを利用して欲しいものを手軽に購入することが出来る、Eコマース全盛の時代と言われています。衣料品や電化製品はもちろん、最近では生鮮食品をインターネットで購入出来るなど、全国どこで作られた商品だとしても、手軽に手に入れることが出来る時代となっています。このような、何でもネットで買い物ができるようになった時代背景には、多頻度配送を下支えする物流の人的、機械的な進化があったからに他ならないでしょう。
しかし、年々拡大するネット通販市場により、小口の配送量もますます増加して、物流業界の人的不足は社会問題にもなっています。そこで注目されているのが、『ファクトリー・オートメーション』等の言葉をはじめとした物流のロボット化です。物流のロボット化とは、商品の仕分けや在庫管理、さらには荷役作業を機械・ロボットの力を使用し自動化することです。もともと日本国内では、自動車や食品など、生産面におけるロボット化は世界トップクラスと言われていますが、物流のロボット化については、まだまだ普及段階と言わざるを得ないのが現状なのです。
そこで今回は、物流の問題点解決と、未来の物流を見据えた最新のピッキングロボット『オートストア』についてご紹介したいと思います。
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ロボット倉庫と呼ばれる『Auto Store(オートストア)』とは
それではロボット倉庫などとも呼ばれる、自動倉庫型ピッキングシステム「AutoStore(オートストア)」についてご紹介していきましょう。このオートストアは、非常に高い収納効率が特徴で、特に多品種少量のロングテール商品を扱う通信販売業界の物流拠点や大手メーカーの保守部品サービスセンターなどに最適な自動ピッキングシステムです。
オートストアの動作については、上の動画を見ていただければ非常にわかりやすいですが、簡単に説明すると、格子状に組まれたグリッド(支柱・梁)の上をピッキングロボットが自由自在に動き、商品が保管されている専用コンテナを取り出すというものです。倉庫内は、隙間なくコンテナを積み上げて商品の収納・保管を行う構造となっているため、従来の物流拠点倉庫のように広い通路も必要なく、倉庫スペースの大幅な削減が可能となります。同数のコンテナを保管する場合、どの程度の省スペースになるかは公式サイトで一例を紹介していますので、以下にあげておきます。
同数のコンテナを保管する場合、「AutoStore」は スタッカークレーン式自動倉庫の2分の1、平置き棚の3分の1 のスペースで対応できます。(比較の一例です)
引用元:株式会社岡村製作所公式サイト
『Auto Store(オートストア)』の実例
オートストアは、2014年の段階で、全世界で51システムが導入されており、幅広い業界・業種で活用されいます。そんな中、日本国内では2016年2月にインテリア(家具)小売業大手の『ニトリ』の通販商品を扱う物流倉庫で導入されました。オートストアは、グリッドのレイアウトが非常に自由度が高く、様々な作業環境によって最適なグリッドを組むことが可能です。その為、ピッキングスタッフの配置を考えたスペースの有効活用が可能になります。
ニトリのロボット倉庫では、隙間なく積み上げられたコンテナの上を縦横無尽にロボットが動き回り、目的の商品が入っているコンテナを吊り上げ、作業員がいる場所まで運んでくれます。その為、ピッキング作業員は業務を定位置で行うことが可能になり、ミスのない効率的な作業が可能になるのです。もちろん、商品を探すために倉庫内をあちこち動くこともありませんので、作業員の肉体的負担も大きく軽減することが出来ます。
ニトリの通販拠点倉庫はオートストアの導入で、想定とはなりますが、スタッフの作業ミスなどの軽減等を考えた場合、3.75倍の生産性の向上が期待できるといわれています。さらに、通路スペースの削減や上部空間を活用し高密度に商品を保管することによって、省スペース化と在庫保管能力の両面を向上でき、在庫保管面積を40%削減できるという非常に大きなメリットをもたらしています。
これからの物流のキーワードはロボット化・無人化
出典元:株式会社岡村製作所公式サイト
現在でも年々拡大、多様化しているネット通販市場。ネット通販市場は、今でも毎年10%ずつの拡大が続いており、商品の種類や重量なども多様化して、人海戦術ではどうすることもできない局面まで来ているのではないでしょうか?TVのニュースなどでも物流企業の人手不足や、一般人の生活の多様化による物流サービスの複雑化などが、深刻な社会問題として取り上げられることも多くなっています。さらに、近年の少子化による労働力不足は、今後の日本国内の大きな課題となっており、今後すべての業界で人材の取り合いとなるわけですので、物流業界の人材確保ももっと難しくなると予想できます。そこで、これらの問題を解決するために注目されているのが、物流におけるロボット化や無人化なのです。
近年、様々な場所で『ファクトリー・オートメーション』等といった言葉が取り上げられているように、物流におけるロボット化や無人化は、業務効率UPやコスト軽減の面からも急務となっています。特に物流倉庫などであれば、入荷から保管、在庫管理、ピッキング、梱包、出荷という様々な局面に人員配置が必要となり、これらの各部門におけるロボット化、IT化の推進は無人化に向けた最適な手法といえるでしょう。さらに、上述したニトリのロボット倉庫の事を考えてみると、積み上げられたコンテナの上をロボットが動き、商品の出し入れを行うというものですので、人が歩くためのスペースを確保する必要がなく通路スペースなどもいりません。したがって、都市部に建設される倉庫においても省スペース化できるという大きなメリットにもなるのです。
近年急速に進むロボット化は、「雇用が減ってしまう」等といった課題があげられることもありますが、現実的な人員不足に直面している物流業界では、これまで人的作業で行っていた作業のロボット化、無人化は無視できないものになるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、急速に進む物流業界のロボット化について、ピッキング作業を自動化する『Auto Store(オートストア)』をご紹介してきました。
近年、物流業界は、どんどん拡大するネット通販市場の影響をもろに受け、深刻な人材不足が叫ばれています。これは配送面にだけ注目が行きがちなのですが、物流の拠点でもある倉庫においても深刻な問題といえるでしょう。多様化する商品や複雑化する配送サービスとの連携もあり、人材の確保や育成は非常に難しい状況になっているのです。
このような状況は、もちろん物流業界にとって大きな問題として捉えることもできますが、逆に変革のチャンスと捉えることもできるでしょう。物流の効率化のため、ロボット化、IT化を進めたシステム構築を推進することで、作業効率の向上やコスト削減、倉庫の省スペース化など、様々なメリットを得ることが出来るのです。
物流業界では、人手不足が今後も予想されている中、ロボット化の推進により仕事の負担軽減や業務効率化を実現するなど、最新テクノロジーの導入がますます重要になってくるのではないでしょうか。
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