ロボット導入の打ち合わせで困ってしまわないように。最低限知っておきたいロボット業界の専門用語をご紹介します!

今回は、工場や倉庫などで、急速に導入が進められている産業用ロボットに関して、最低限おさえておきたいロボット業界の専門用語をご紹介します。工場や倉庫へのロボット導入は、現場で働く従業員の負担軽減や、高速で正確な作業ができることによる業務の効率化・人的ミスの削減、さらに、今まで人間が行っていた作業をロボットに任せることで人的リソースの有効活用が出来るようになるなど、さまざまな恩恵をもたらしてくれるものです。
したがって、上記のメリットを考えて、今後、自社の工場や倉庫にロボットの導入を考えている事業者様が多いことだと思います。しかし、初めてロボットを導入する事業者の間では、ロボット導入の打ち合わせ時に出てくるロボット業界の専門用語が「何を指しているのか分からない…」という、最初の壁にぶつかる人が多いということをよく耳にします。産業用ロボットは、最近でこそテレビのニュースなどにも登場するようになっていますが、まだまだ完全に普及したとは言えないのが現状です。横文字ばかりが並ぶ専門用語に苦労する人は少なくないでしょう。
本稿では、ロボット導入の際にはあらかじめ知っておきたい専門用語をまとめてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ロボット業界専門用語

それでは、ロボット業界における最低限知っておきたい専門用語についてご紹介していきたいと思います。ここで紹介するものが全てではありませんが、ロボット導入時の打ち合わせなどではよく登場すると思います。覚えておくと役に立つかもしれません。

アーム

『アーム』はロボットアームやマニュピレーターとも呼ばれます。これは、産業用ロボットの腕のような部分の事です。垂直多関節ロボットやスカラロボットなどでは本体となります。

アクチュエーター

広義的には、エネルギーを運動に変換する動力機構の事をアクチュエーターと言います。サーボなどロボットの関節を動かす部品の事。

安全柵

作業現場などで、ロボットの作業空間に人間が入らないようにして、安全を確保するための柵を指します。

架台

産業用ロボットを設置する台。

移動架台

架台は、産業用ロボットを設置する台を指し、床面に固定をせず、移動できる架台のことを移動架台と言います。

インターフェース

操作画面など、人とロボットが情報のやり取りをするための入力装置。この場合ユーザーインターフェースとも呼ばれます。他にも、エンドエフェクタを取り付けるためのアーム先端部のこと。

エンコーダ

位置を検出するセンサーのこと。一般的に、その中でもデジタル出力を行うものを指すことが多い。多関節ロボットの関節部分には、角度の検出などに用いられるものとしてロータリーエンコーダが組み込まれます。

エンドエフェクタ

作業対象物をつかむためのハンドなど、アームの先端に取り付ける機器。用途に応じて、さまざまなものに取り替える。

オフラインプログラミング

パソコン上でロボットの動作プログラムを作り、ロボットに転送を行うこと。オフラインティーチングとも呼ばれる。

オペレーター

ロボットシステムの運転開始、運転中の監視、停止などを行う作業員のこと。

オムニホイール

オムニは「全て」の意味で、全方向への移動が可能な車輪のこと。前後左右に自在に動ける機構とするため、車輪の外周に複数のローラーが設置されている。車輪の駆動とローラーの回転を組み合わせることで全方向移動を実現する。

外界センサ

ロボットの周囲の状況や環境を測るためのセンサで、視覚センサや聴覚センサなどがある。一般的に、ロボットのセンサは、外界センサと内界センサに分けられる。

加速度センサ

加速度(単位時間当たりの速度の変化率)を計測するためのセンサ。重力加速度の検出や振動の検出、姿勢の制御などに用いられる。

外乱

通信、運動、センサなどを外部から乱す作用のこと。ロボット業界では、電磁波や地面の凹凸、風など幅広い作用に使われる。

機械学習

人工知能(AI)技術に関連する用語で、人間のようにコンピューター自身がデータを基に学習すること。

協調動作

人間とロボット、あるいはロボット同士が協力して一つの作業を行うこと。

協働作業空間

人間とロボットが同時に作業できる空間のこと。

協働ロボット

人間と同じ空間で作業することを前提に開発されたロボットのことで、安全柵なしで使用できる。別称で人協調ロボットなどとも呼ばれる。

空圧

駆動方式の一つで、圧縮空気を利用したもの。一般的に、油圧や電動モーターに比べて、汚れにくい・高い静粛性があることがメリットとなる。

コンプライアンス

ロボットの組み立て作業をする際に重要な性質で、外部からの力に対して、変位すること。ロボットの関節を柔らかく動かす制御手法に『コンプライアンス制御』というものがある。

コンベヤー同期

コンベヤーによって運ばれてくる製品をロボットが箱詰めするなど、コンベヤーとロボットの動きを同期させること。

サービスロボット

工場や倉庫の自動化などと違い、産業用途以外で用いられるロボットの総称。受付ロボットや掃除ロボット、手術用ロボットなど幅広いロボットがある。

産業用ロボット

日本工業規格(JIS)では、「自動制御によるマニピュレーション機能または移動機能をもち、各種の作業をプログラムによって実行できる、産業に使用される機械」と定義されるもの。工場や物流拠点に用いられるロボットのこと。

サーボモーター

ロボットに用いられるアクチュエータのひとつで、回転速度や角度などを制御するモーター。一般的に、産業用ロボットでは、関節の駆動に使用される。

シーケンス制御

あらかじめ定められた順序または手続きに従って、制御の各段階を進めていく制御方式のこと。

システムインテグレーター

SIer(エスアイアー)とも呼ばれる。ロボットシステムの設計、製造、組み立て、教示を行う事業者のこと。

ジャイロセンサ

ロボットの姿勢の制御に使うセンサで、物体の角速度を検出する。略してジャイロと呼ばれる場合もある。

自由度

英語では『Degree of freedom』と表記されるもので、ロボットの構造において、独立して可動できる箇所の数。自由度は、ロボットの関節数と同じ事が多いが、関節の動きに連動して別の関節の動きが決まってしまう場合など、自由度と関節数が一致しないこともある。

自律性

センサなどでロボット自身が状況判断ができるなど、人がかかわらなくても目的の作業を実行できる能力のこと。

垂直多関節ロボット

複数の回転ジョイントを組み合わせることで、複雑な動きができるロボットのこと。

スカラロボット

水平多関節ロボットとも呼ばれ、水平方向にアームが動く多関節ロボットのこと。部品の押し込み作業などに用いられる。

双腕ロボット

人間の腕と同じように、アームが2本あるロボットのこと。

立ち上げ

ロボットの据え付け完了後に、ロボットシステムを始動し、検査や検証を行って稼働ができる状態にすること。

超音波距離センサ

対象物に超音波を当てて、それが返ってくるまでの時間から距離などを検出するセンサのこと。ロボットでは、障害物の有無を検出することや対象までの距離を検出することに使われる。

ティーチング

産業用ロボットなどにおいて、動作を作成する手法の一つで、作業に必要な情報を人間が指示しロボットに記憶させること。ロボットティーチングや教示などとも呼ばれる。

直交ロボット

直角に組み合わされた直角軸のみで構成されるロボットのこと。

ディープラーニング

機械学習の一種で、脳の神経回路をモデル化したニューラルネットワークを多層構造にして利用する手法。深層学習などとも呼ばれる。

テレイグジスタンスロボット

操作する人とは離れた場所に置かれ、操作者の代理を果たすことができるロボット。異なる場所にいながら、あたかもその場所にいるかのように感じることができるため、コミュニケーション用途などへの利用が期待されている。テレプレゼンスロボットとも呼ばれる。

トルク

回転軸を回す力を表す量。kg・cmなどの単位で表される。

内界センサ

ロボットの内部状態を得るためのセンサ。例えば、ジャイロセンサやバッテリーの温度センサなどがある。

パラレルリンクロボット

並列なリンク機構を介して1点の動きを決める方法をパラレルメカニズムという。この機構を応用したロボットがパラレルリンクロボット。複数のアームで最終出力先を制御するため、高精度・高出力な動作が可能になるのが特徴。

フィールドロボット

屋外で活動できるロボットの総称。建築・土木、農業を始め災害対応などの幅広い分野で活用が期待されている。

マニピュレーター

人の腕や手の代わりに作業する機械。産業用ロボットでは、アーム本体のことを指している。ただし、アーム先端に取り付けられるハンドは含まれない。

まとめ

今回は、ロボット業界における専門用語をいくつかご紹介してきました。もちろん、上で紹介した以外にもさまざまな専門用語があります。ロボット業界に用いられる用語は、横文字が並ぶことも多く、とても分かりにくい…と考えている方が多いかもしれませんね。しかし、今後も工場や物流拠点などへはどんどんロボットの導入が進められていくと予測されていますので、基本的な専門用語は押えておくと良いでしょう。