今回は、近年の物流業界で非常によく耳にするようになった『物流プラットフォーム』という言葉が何を指しているのか、実際にどのようなサービスが展開されているのかについて簡単に解説します。
そもそも「プラットフォーム」という言葉に関しては、日常生活の中でも「駅のプラットフォームが・・・」などと言った感じや、IT業界でソフトウェアを動かすための土台、基盤を表す言葉としてよく使用されています。もともと、「台・壇・舞台・乗降場」などの意味を持つ英語の『platform』が語源となって、「一段高くなった平らな所」という意味で駅のホームやバス停などを指す言葉として使用されるようになったそうです。
そしてビジネス用語としては、「物やサービスを利用する人と、提供者をつなぐ場」という意味で『プラットフォーム』という言葉が使用されているようです。それでは、「物流プラットフォーム」という用語に関しては、どういった意味を持っているのでしょうか?
ここでは、基本的な概念と、物流業界で注目されている物流プラットフォームサービスをいくつかご紹介しておきます。
物流プラットフォームとは?
それでは、物流プラットフォームが何を指しているのかについて解説していきましょう。物流プラットフォームという用語について、インターネットで検索してみるとさまざまな情報が表示されるようになっています。多くの課題に直面している近年の物流業界では、その課題を解決するためのキーワードのような扱いを受けているようですが、現状、特に定まった定義はないように思えます。現時点で、物流プラットフォームと呼ばれているものを大まかにまとめてみると「荷主や物流関連企業、トラックドライバーなど向けに開発された基盤システムで、人・車・拠点などの物流リソースや情報システムを一元管理するもの」と言ったような表現になるかと思います。
現在、物流プラットフォームサービスとして実際に提供されているシステムは、以下のような物が存在しています。
- 荷主とトラックドライバーをネットを介してマッチングさせるシステム
- 競合するメーカー間で配送などの物流部分を共同化させるシステム
- IoT、AI、ロボット技術を活用し、複数の荷主がシェアリングによる稼働率向上などを図れるDX型のプラットフォーム
なお、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)やフルフィルメントサービスにおける在庫管理なども行うプラットフォームもあるのですが、それらは『ロジスティクス・プラットフォーム』などとも呼ばれているようです。
物流プラットフォームは、1社の荷主の荷物だけでは無駄が生じてしまうという場合に、複数の荷主の荷物を積み合わせることで、さまざまな面を効率化することができる仕組みになっています。実際に、物流プラットフォームを活用することで、トラックドライバーの待機時間が大幅に減少したという事例や、必要となるとトラックの台数が少なくなることから、CO2排出量の削減にもつながるなど、物流業界が抱えるさまざまな課題解決に役立っていると考えられています。
具体的な物流プラットフォームサービスについて
物流プラットフォームの概念が理解できたところで、実際に活用されている物流プラットフォームサービスにどのようなものがあるのかについてもご紹介しておきましょう。
物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」
まずは、「運ぶを最適化する」をミッションとして、企業間物流の最適化を目指すとしている『Hacobu(ハコブ)』が運用している物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」です。このサービスでは、車両の待機時間を解消するようなシステムや流通資材のモニタリング、配送業務をデジタル化し、生産性向上が目指せる配送案件管理サービスなど、物流業務を幅広くサポートしてくれるシステムになっています。
公式サイト内で、導入した企業の実際の使用感や効果などを紹介していますので、ぜひ確認してみてください。
FーLINE
物流プラットフォームは業界別に作るのが効果的と考えられており、大手食品メーカー5社の共同出資により作られたのが『FーLINE』です。FーLINEでは以下のような目標のもと、物流プラットフォームの役割を果たしています。
Foodを基盤とし、食品物流で培った温度・湿度管理、日付管理や丁寧な荷扱いなど、食品物流ならではの 「機能」 「付加価値」「ノウハウ」を生活周辺産業全体に拡げ、永続的な物流競争力を実現してまいります。その為に、人財開発、設備投資、システム技術開発、物流R&D(研究開発)に積極的に取り組みます。
引用:FーLINE公式サイト
まとめ
今回は、物流業界でよく耳にするようになっている『物流プラットフォーム』という用語について、これが何を意味しているのか、また具体的にどのようなサービスとして展開されているのかをご紹介してきました。
この記事でご紹介したように、物流プラットフォームというキーワードについては、まだ定まった定義のような物はないようですが、簡単に言うと、物流業界に存在するさまざまな課題を解決するためのシステムなのだと理解しておけば良いと思います。というのも、物流プラットフォームサービスは、多種多様であり「この問題を解決するのが物流プラットフォームだ!」と言えるような画一的なシステムはないように思えます。
基本的に、依頼主の要望に合わせてカスタマイズなどもできるような仕様になっていますので、まずは自社が現状抱えている課題が何なのかを明確にし、必要な改善策を探していきましょう。