衛生管理の基礎知識!食品を取り扱うなら『手洗い』がとても重要!

新型コロナウイルスの感染拡大もあり、普段の生活の中でも手洗いやうがいの重要性が再認識されるようになっています。もともと日本国内は、手洗い・うがいによる衛生管理が子供のころから指導されることもあり、諸外国と比較してもその重要性が浸透しているように思えます。

しかし、手洗いの重要性を子供のころから学んでいる日本人であっても、『正しい手洗いの方法』というものをしっかりと理解している人は少ないように思えます。実は、日本国内において、年間に発生する食中毒事故のうち、その7割以上が手洗い不足が原因で発生していると言われているのです。食中毒予防では、「菌をつけない」「菌を増やさない」「菌をなくす」という三原則が非常に重要と言われているのですが、手洗いはこの中でも「菌をつけない」という部分を担う非常に重要なものなのです。

そこでこの記事では、食品関連施設で勤務する方に抑えておいてほしい『手洗い』の基礎知識をご紹介します。

手洗い不足が食中毒の原因になる?

それではまず、手洗いの重要性についてご紹介していきましょう。さまざまな技術が進歩して、衛生管理に対する高い意識があると言われる日本でも、いまだに食中毒事故を無くすことはできていません。さまざまな原因が考えられますが、上述したように食中毒事故の7割以上が『手洗い不足』が原因と言われています。

皆さんの普段の行動を考えていただければわかりますが、何らかの作業をするときには必ずと言って良いほど手を使うと思います。それでは、何かの作業を行う時、汚れた手で作業を進めたとしたらどうなるでしょうか?当然、汚れた手で触れた場所や道具など、全てに汚染が広がってしまう訳です。さらに恐ろしいのは、その汚染された場所に他の人が触れてしまうと、その汚染がその人の手も汚染してしまうようになるのです。つまり、作業員のうちだれか一人でも手洗い不足に陥ってしまえば、気付かないうちに汚染が拡大してしまい、その結果食中毒事故が発生してしまうという危険があるのです。
以下で、手洗い不足が食中毒の原因になりやすい理由もご紹介しておきます。

一人からでも汚染が拡大してしまう…
食品関連施設の『衛生レベル』は、施設内で働く従業員の平均点で決まるのではなく、従業員の中での最低者のレベルになってしまうのです。実際に、たった一人の手洗い不足が原因で、1000人以上のノロウイルス食中毒事故が発生してしまった…という事例が存在します。
上述していますが、100人の従業員のうち99人が丁寧な手洗いを行っていたとしても、たった一人が怠ってしまえば、その人が触れた場所から汚染が拡大してしまい、食中毒事故の危険が高まるのです。食中毒事故を防ぐためには、施設内で働く全員が「手洗い不足で食中毒が起こるかもしれない…」という認識を強く持っておかなければならないのです。
手が菌の繁殖に適している…
食中毒の原因となる細菌は、「水分」「栄養」「適温」の三つの条件がそろうことで繁殖します。栄養とは、有機物のことであり、食品や生物だけでなく、手に付着する汚れも栄養になるのです。さらに、細菌の繁殖は『35℃』前後が適していると言われているのですが、これは健康な人間の体温に非常に近い温度になるわけです。このことからも分かるように、人間の手というのは細菌にとって非常に繁殖がしやすい場所と言え、手洗い不足に陥ってしまうと、猛烈な勢いで細菌が増殖してしまう恐れがあるのです。

これからも分かるように、食品関連施設で手洗い不足に陥るということは、食中毒事故の可能性を自ら高めているともいえるのです。逆に、全ての従業員がしっかりと手洗いを行っているという体制をつくれば、大部分の食中毒事故を防げる可能性が高くなるのです。

正しい手洗いの方法とは?

引用:厚生労働省資料より

一口に手洗いと言っても、食中毒の原因となる細菌やウイルスを除去するための正しい手順があるのです。厚生労働省などでも、正しい手洗い方法を公表していますので、全ての従業員に対して上図の手順を必ず守るようにさせましょう。
なお、手洗いは作業前に一度するだけでは不十分で、「すべきタイミング」というものがありますので、以下のポイントもおさえておきましょう。

ポイント① 作業開始前

作業に従事する前にしっかりと手洗いすることをルールづけしましょう。食品工場などでは「手袋をするから…」などと考える方がいますが、こういった油断が食中毒の原因となってしまいます。
手洗いが不十分な状態だと、手袋の装着時に手袋自体が汚染されてしまう危険があります。また、作業中に何らかの理由で手袋に穴が開いてしまう可能性もありますので、手袋への過信は禁物です。

ポイント② トイレや休憩の後

ノロウイルスによる食中毒事故は、トイレ後の手洗い不足が原因となる場合が多いと言われています。トイレは、ノロウイルスなどに汚染された人が触れたドアノブや便器に自分が触れる可能性がありますので、トイレの後に作業に従事する場合、しっかりと手洗いをしてから作業するというルールを作りましょう。

ポイント③ 汚染されている可能性があるものに触れた後

ゴミ箱に触れた…、原材料を持ち込むために段ボールに触れた…と言った場合、しっかりと手洗いしましょう。段ボールなどに細菌が付着していれば、それに触れた手が汚染されている可能性があります。
また、無意識にマスクや帽子に触れてしまう人がいますので、管理者はそういった部分に注意して、汚れている可能性がある場所に触れた場合、手洗いするように指導しましょう。

まとめ

今回は、衛生管理の基本となる『手洗い』の基礎知識についてご紹介してきました。日本人は、子供のころから手洗いの重要性を学んでいるのですが、それでも手洗い不足を原因とした食中毒事故は未だに発生しているのです。特に、日常生活の中で行う手洗いは簡素化した手順で行う方が多く、上述したような丁寧な手洗いまでは行っていない人がほとんどだと思います。しかし、食品関連施設で働く場合には、「菌をつけない」という大原則のもと、丁寧な手洗いが求められるのです。

手洗いは、それぞれの従業員が意識していなければ出来ないことでもありますので、普段から衛生管理の重要性をきちんと指導していく必要があると考えておきましょう。