冬場の倉庫作業は過酷?倉庫が寒くなる理由とその対策をご紹介

今回は、冬場の倉庫作業について、従業員が快適に働けるようにするため、ぜひ押さえておきたいポイントについてご紹介したいと思います。

倉庫作業についてインターネットで少し検索してみると、関連キーワードに「倉庫作業 きつい」「倉庫作業 辞めたい」といったワードが表示されることがあり、非常に過酷な仕事なのだというイメージが根強いです。少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で新たな人材の確保が困難になっている…と言われる中、こういったネガティブなイメージがあることから、特に倉庫作業員の募集は困難を極めています。

それでは、倉庫作業に関するこういったイメージは、どこから来ているのでしょうか?倉庫作業は、基本的に室内での作業となりますので、建設業などと比較すれば、働く環境がそこまで過酷になるとは考えにくいのが通常です。ところが、倉庫は施設的な特徴や保管物品などにより、過酷な作業現場となってしまい、倉庫作業員が大きな負担を受けてしまう場合があるのです。

そこでこの記事では、冬場の作業が特に過酷と言われている倉庫作業について、なぜそこまで過酷な現場になってしまうのか?と言った理由や、対策についてご紹介していきます。

倉庫が寒くなってしまう理由は?

それではまず、冬場の倉庫作業が寒くなってしまう原因についてご紹介していきましょう。当然、多くの人間が働くことになる倉庫ですので、できるだけ快適に作業が進められるように、施設側もさまざまな対策を行っていることでしょう。
そもそも人間にとって天候や気温などの条件は、労働のモチベーションを大きく左右してしまいます。例えば、極端に寒い環境下では、暖かい場所から動きたくない…という心理が働いてしまいますし、どうしても作業効率が低下してしまうものです。こういった事は分かっているものの、倉庫内が寒くなってしまうのはなぜなのでしょうか?
以下でいくつかの理由をご紹介しておきます。

空間が広く空調が効きづらい…

倉庫は大きな荷物や大量の在庫を保管することが目的の施設です。したがって、広い空間が無ければ役に立たない施設となってしまいます。
例えば、皆さんの普段の生活をイメージしていただければわかりやすいのですが、部屋を暖めるため締め切って暖房機器をつけていると思います。空間が狭いほど、部屋の中が暖まりやすく、広くなってしまえばその分、空間全体を温めるのが難しくなります。

しかし倉庫に関しては、作業効率を考えると空間を細かく間切りすることができません。そのため、大型の空調機器を使用していたとしても、施設全体を十分に温めるのが難しくなるわけです。
特にコロナ禍にある現在では、適度な換気を求められているため、せっかく温めた空気が定期的に冷やされてしまい、余計に寒さを感じてしまう状況になっています。

保管温度帯の関係…

倉庫と言うものは、保管するものによって一定の温度に保つ必要があります。そもそも『倉庫』は、物流の一部であり、運搬を完了するまで一時的に保管を行う場所です。そして、倉庫の温度は『冷凍・冷蔵・常温』と言う3つの分類の保管温度帯が決められています。

例えば、冷凍マグロなどを保管するフリーザー級の冷凍倉庫の場合は「マイナス50℃」が保管温度帯で、乳製品やお米などを保管するクーラー級の倉庫は「マイナス20℃~10℃」くらいまでの幅となっています。こういった倉庫での作業は、いくら作業員が寒さを感じたとしても、一定の温度に保つ必要があり、人よりも保管物が優先されます。

倉庫作業での寒さ対策とは?

それでは、倉庫作業において、できるだけ快適に作業を進められるようにするためにはどのような対策を取ればよいのでしょうか?保管温度帯の問題などもありますので、施設側が行うべき対策と、作業員自身が行う寒さ対策両面を考えなければいけません。
ここでは、倉庫作業の過酷さを可能な限り緩和するためにできる寒さ対策をいくつかご紹介していきたいと思います。

ビニールカーテンなどで暖かい空間を作る…

大量の物品を保管する倉庫では、空間を細かく仕切ることが難しいため、暖房機器を稼働させていたとしても、寒さを解消できない…なんてことになります。

こういった場合は、人が作業する場所をビニールカーテンなどで区切り、その空間だけは暖房器具で暖めるといった対策が有効です。ビニールカーテンは、冬場の屋台やカフェのテラス席などでも利用されているのですが、安価で簡単に暖かい空間を作るアイテムとして非常に有効です。
例えば、梱包を行う場所だけはビニールカーテンで区切って暖めるなどと言った対策が考えられます。

ストーブなど、持ち運び可能な暖房器具を導入する…

ビニールカーテン以上に手軽なのが、ストーブなど、持ち運びが可能な暖房器具を導入するという対策です。ストーブは、購入したその日から使用することができますし、保管物品に影響をあたえない場所を選んで設置することも難しくありません。

また、作業によって冷たくなってしまった手だけを温めることもできるなど、作業に合わせた使用方法を選べるのもオススメ出来るポイントです。

暖かい衣類で作業する…

倉庫内を一定温度に保っていなければならない環境では、施設側で対策をとることが難しくなります。こういった場合には、倉庫作業員自身が個人で可能な対策を行うように指示しましょう。

近年では、各衣類メーカーからこだわりの防寒対策が施された商品が販売されるようになっています。例えば、体から蒸発する水分を利用して発熱し、繊維の隙間を利用して保温効果をもたらせてくれる暖かい肌着などもありますので、こういった衣類を着用して体温の維持を心がけるようにしましょう。
もちろん、会社側が冬用の防寒対策が施された制服を支給することもオススメです。

まとめ

今回は、冬場の作業がとても寒く過酷…と言われる倉庫について、なぜ倉庫が寒くなってしまうのかということや、その対策についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、倉庫は多くの物品を保管しなければならない場所ですので、必然的に空間が広くなってしまいます。作業効率を考えるとその空間を細かく区切ることができないため、どうしても暖房の効果を得にくくなってしまうという問題があるのです。さらに、保管物品によっては、一定の温度を保たなければならないという問題がありますので、作業員が寒いと感じていたとしても室内温度を高くすることができないという問題があるのです。

こういった事もあり、『倉庫作業=過酷』と言ったネガティブなイメージが定着してしまい、余計に人材確保を難しくしているという現状があります。今後の人材確保の面も考えると、「作業員が快適に仕事ができる環境」と言うのが非常に重要になりますので、自社倉庫の特徴に合わせて何らかの対策を考える必要があると考えておきましょう。