従業員の『やる気』を引き出す工場にするためにはどこに注意すれば良い?

今回は、従業員のやる気を引き出す工場とはどういったものなのか、また従業員のやる気が向上した場合、どういったメリットがあるのかについてご紹介していきたいと思います。

さまざまな製品を製造する工場では、利益や生産効率の向上などが非常に重要なポイントとなります。そのため、工場などの生産施設では「どのようにして経費削減をしていくのか?」「作業効率を向上させるためにはどういった設備を導入すべきか?」などと言った事に注目が集まりがちです。特に近年では、工場の自動化やロボット化などの最新テクノロジーが注目されていることもあり、工場内で働く『人』のやる気が見落とされがちになっているように思えます。
もちろん、工場の経営を続けていくためには、自動化による生産効率の向上や経費削減による利益の増大が非常に重要なのも確かです。しかし、実際に手を動かして働く従業員の気持ちを無視してしまうと、工場全体の作業効率が低下してしまうリスクがあるでしょう。従業員が前向きに仕事に取り組めるようになれば作業効率も向上するなど、工場にとっても非常に大きなメリットになるはずです。

一般的に、給与のアップなどが従業員のモチベーションにつながると言われていますが、「より働きやすい工場」を実現するなど、施設自体の改善で従業員の『やる気』を引き出すこともできると言われています。そこで今回は、従業員のやる気を引き出すための工場のポイントをご紹介します。

従業員のやる気を引き出すことのメリットとは?

工場の利益向上を目指す場合、経費削減や自動化などによる生産効率向上が重要と言われています。しかし、工場内で実際に働く従業員のモチベーションの向上は、さまざまな良い影響を工場にもたらせてくれます。
以下に、工場で働く従業員のやる気が高くなることによる代表的なメリットをご紹介しておきます。

  1. 作業効率の向上が期待できる
    工場で働く従業員がやる気を出すと、作業効率が向上するでしょう。従業員が真剣に仕事に取り組むようになりますので、テキパキと動くようになります。また、仕事を覚えるのも早くなるでしょうし、改善点を自分で見つけ、仕事が早く進むようになるかもしれません。従業員のやる気ひとつで工場は大きく変わります。
  2. 離職率が低くなる
    従業員がやる気を出して自発的に仕事に取り組んでいると、仕事が好きになり、会社を好ましく思うようになってくれる可能性が高いです。当然、会社が好きになると勤続年数も自ずと長くなるはずです。会社からすれると、経験のある優秀な従業員を手放さなくて済むだけでなく、新たな人材を採用するための経費を削減できるというメリットが考えられます。
  3. 採用活動が有利になる(リファラル採用の可能性も高まる)
    仕事が好きで熱心に取り組んでいる従業員であれば、周りに自分の仕事についてよく話すようになるでしょう。例えば、家族や友人に会社の良い点を自慢することが多くなるかもしれません。また、知り合いが仕事を探している場合には、自信をもって自分の勤める会社を勧めることもできるはずです。こうしたことの積み重ねは、会社自体の評判を高めることにもつながり、人材採用を検討した場合に有利に働くようになります。

従業員のやる気を出す工場とは?

それでは、従業員のやる気を引き出す工場にするためにはどういった点に注目すれば良いのでしょうか?一般的な工場のイメージは、『汚い』『危険』『暗い』『過酷』などと言ったネガティブなものが多いですね。当然、こういったネガティブな部分は改善しなければいけません。ここでは、従業員のやる気を引き出すためのポイントをいくつかご紹介しておきます。

『清潔感』が重要

工場だけではありませんが、従業員のやる気を引き出すためには『清潔感』のある職場ということが大切です。上述したように、工場には『汚い…』というネガティブなイメージがあることから、女性には特に敬遠されてしまう場合があります。例えば、働いていると、すぐに衣服が汚れ、匂いも付いてしまう…なんて職場であれば、従業員のモチベーションはどんどん下がってしまうことでしょう。
逆に、工場の外観も綺麗で、実際の職場も掃除が行き届いており清潔感があるという場合、「頑張って仕事をしよう!」という気持ちが高まると思います。

作業をしやすい『動線』の確保

実際に作業を進めていく上で、「作業をしやすい動線になっているのか?」ということはとても大切です。従業員にとって、使い勝手や作業性の良さはモチベーションに直結するものだと考えましょう。
例えば、動線が悪く作業効率を低下させているという場合、「ここを○○してくれれば作業効率が上がるのに…現場の事を考えていないな…」など、会社への不満が毎日高まってしまいます。その上、会社から「生産性をもっと上げろ!」などと言われてしまった場合、「ふざけるな…」と反抗の気持ちが出てきてしまいますよね。
つまり、工場の作業動線の悪さは、生産効率を悪くするだけでなく、従業員のやる気まで奪ってしまう問題だと考えなければいけません。従業員が働きやすい動線がきちんとできていれば、気持ちよく仕事をすることができ、生産性の向上が見込めるはずです。

快適に仕事ができる環境

「快適に仕事ができる環境になっているのか?」と言う点も従業員のやる気に関係します。例えば、夏なのに冷房が無い…、冬場に暖房器具が何もない…など、過酷な労働環境になってしまうと、従業員のやる気はどんどん下がってしまうことでしょう。
従業員がやる気を保つためには、できるだけ快適に作業を進めることができる労働環境を作らなければいけません。なお、製造する製品の関係上、冷房や暖房を使えない…などという施設では、小まめに休憩がとれる体制を作る、寒さ(暑さ)に対処できる物品を支給するなど、他の面から対処する必要があると考えましょう。

作業をしやすい明るさ

工場などでは、照明部分で経費削減を目指すということが良くあります。電気は一日中つけていますので、照明の数を減らす、暗めにする、点灯できる時間を制限するなどといった節電対策を行うケースが良くあります。しかし、実際に作業を進める従業員にとっては、あまり良くない…と考えられます。
作業に適した明るさが確保できていない場合、手元をよく見るために目を酷使してしまい、目の疲れや慢性的な肩こりを引き起こしてしまう場合があります。また、手元が良く見えないことから、人為的ミスの増加にもつながってしまうリスクがあります。
経営者が月の固定費を抑えたい…と考えるのも理解できますが、そればかりに注目して働きにくい環境になってしまうと、やる気はどんどん下がってしまいます。従業員が健康に働けるよう、作業に適した明るさは必ず確保するようにしましょう。

建物のデザイン性

意外に思えるかもしれませんが、工場自体のデザイン性も従業員のやる気に大きな影響をあたえます。誰でも、自分が勤めている会社の建物は、キレイでオシャレな方が良いと考えるのではないでしょうか?
一般的な工場と言えば、シンプルなデザインで少し暗いイメージを感じる…という建物が多いのですが、最近では一見工場とは思えないようなオシャレなデザインを採用する企業が増えています。
従業員からすれば、毎日通う場所となりますし、自分が働く場所が綺麗なほど『やる気』が出てくるものでしょう。

まとめ

今回は、従業員がやる気を出す工場にするにはどういった点に注意すれば良いのかについてご紹介してきました。工場などでは、経費削減や作業効率の向上などが永遠のテーマとして注目されるのですが、働く従業員を無視してしまえば、人のやる気が失われてしまい、余計に作業効率を低下させてしまうリスクがあるでしょう。

近年では、ロボットなどの導入による省人化・省力化が推し進められていますが、まだまだ人の手に頼る作業工程も多く、さらに機械を操作するのは人間だということを忘れてはいけません。この記事でご紹介しているように、ちょっとしたことでも従業員のやる気を引き出すことができますので、まずは工場で働く従業員の働きやすさを考えたうえで、さらなる改善点を探していくという視点が重要になるのではないでしょうか?
なお、「従業員のやる気を出す工場」というものは、工場の設計段階から考えておくことがとても大切です。例えば、工場内の適切な作業動線やゾーニングを実現するためには、建設会社の協力が必要不可欠になります。したがって、工場などの特殊な施設について豊富な建設実績を持っているのかなどを考慮して、相談する建設会社を検討しなければならないと覚えておきましょう。