物流倉庫で活用されている最新テクノロジーをご紹介!

近年、ネット通販市場の隆盛もあり、物流や倉庫業界では深刻な人手不足が問題となっています。テレビなどのメディアでも、トラックドライバーの長時間労働や荷物の再配達問題が頻繁に取り上げられるようになっていますが、なかなか改善の糸口が見つからないのが現状です。
そこで、この窮地を脱するために物流・倉庫業界で注目されているのが、AIやIoTをはじめとしたさまざまな最新テクノロジーの導入です。本稿では、物流・倉庫業界の人手不足など、さまざまな問題解消に役立つと期待されている、最新テクノロジーの導入事例をいくつかご紹介していきます。

参考:国土交通省『宅配便の再配達率のサンプル調査 2018年4月期』
参考:国土交通省『宅配便の再配達率のサンプル調査 2018年10月期』
参考:国土交通省『宅配便の再配達率のサンプル調査 2019年4月期』

倉庫内の作業効率を上げる最新テクノロジー

それではまず、倉庫内作業にスポットを当てた最新テクノロジーの導入事例からご紹介しましょう。近年では、製品の受け入れから保管、出荷までの一連の流れをコンピューターによって一元管理する仕組みの『自動倉庫』なども注目されています。このサイト内でも何度かご紹介していますので、そちらの記事もぜひご覧ください。

参考記事:自動倉庫を導入するメリット

倉庫内の作業効率を上げる最新テクノロジー

まずは、ニトリホールディングスと物流子会社ホームロジスティクスが、大阪の西日本通販配送センターに導入した搬送ロボット『バトラー』です。
従来のピッキング作業は、作業員が必要な商品が置いてある棚を探し、そこまで行って必要な商品をピッキングするという一連の流れが一般的です。当然、この方法であれば、棚を探すのにも時間がかかり、歩いて棚まで移動することになる作業員にはかなりの労力が必要です。
搬送ロボットの『バトラー』は、ピッキング対象の商品が格納されている棚ごと作業員がいる作業スペースまで運んでくるため、作業スペースにいるだけでピッキング作業が完了します。ニトリホールディングスの発表では、バトラーの導入により、人が作業していた時と比較して、ピッキング効率が4.2倍アップしたとの事です。

関連記事:搬送ロボットについて

省人化率90%実現したファーストリテイリングの自動倉庫

次は、ファーストリテイリングが、東京・有明のEC専用センターで実現した超省人化アパレル倉庫です。
アパレル業界では『RFID(電子タグ)』の導入によって大幅に業務効率を改善している事例が続出しています。その中でも、ファーストリテイリングの倉庫省人化の事例はさまざまな業界で話題を呼んでいます。有明倉庫では、全商品にRFIDを貼付し、ダイフクのマテリアルハンドリング機器を組み合わせることにより倉庫の自動化を進めています。なんと、有明倉庫では、約100人いた倉庫作業員を10人にまで削減し、省人化率90%を達成したそうです。
この倉庫では、生産段階で商品に取り付けられたRFIDを活用して、生産から物流、販売までを一括管理しています。さらに、入庫・検品・保管・出庫・封函・仕分けなどの作業もすべて機械が行い、人が手を動かす工程はピッキング作業のみとなるため、これほどの省人化を実現できたのだそうです。

参考資料:株式会社ダイフクとの戦略的グローバルパートナーシップについて

物流の人手不足解消を期待できる最新テクノロジー

それでは次に、物流面の人手不足解消に効果的だと期待されている技術にスポットを当ててみましょう。冒頭でもご紹介しましたが、近年、荷物の再配達は深刻な社会問題となっています。何度も同じお宅に荷物を届けることとなりますので、トラックドライバーの不足にも直結し、CO2排出量の増加にもつながってしまうわけです。環境省などでも、「COOL CHOICEできるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」が行われているように、国を挙げて再配達問題に取り組んでいます。

楽天、国内初のドローン配送プロジェクト

ドローン配送とは、ドローンの機体に専用のボックスを装着するなどして、空路で商品の輸送を行なうことです。離島や山間部、海岸線が入り組んだ場所など、陸路での輸送が困難な場所で活用されることが期待されているほか、医薬品や輸血用の血液を素早く輸送できるようになることも期待されています。
ドローン配送は、『Amazon Prime Air』などが有名ですが、日本国内のEC大手企業楽天が、2019年度中にドローンを使った定期配送サービスを過疎地でスタートさせると発表しています。ドローン輸送は、長距離の輸送などにまだまだ課題は多いですが、今後の物流業界の人手不足解消に役立つと期待されています。

参考:楽天ドローン公式サイト

トラック入場予約システムで荷待ち時間を削減

近年の物流業界では、インターネット通販の急増やトラックドライバー不足により、宅配サービスの維持が困難になっていると言われます。そのため、さまざまな物流企業ではIoT技術の導入が急がれているのです。
大和ハウス工業では、物流を担うトラックドライバーの待機時間を短縮し、少しでもスムーズに業務を進められるよう、物流倉庫への入場をオンラインで予約、チェックインできるシステムを導入しています。具体的には、物流倉庫に到着する前に、web上からドライバーや運送業者がトラックバースの予約を行うシステムとなっており、効率的なトラックの入出庫を管理することで、トラックドライバーの待機時間を大幅に削減することを目的としています。
このシステムの導入により、ドライバーの平均待ち時間は70%程度削減され、トラックバース待ちの渋滞も大幅に緩和されたそうです。

再配達を約61%減少!?低価格で導入できる宅配ボックスアプリ『OKIPPA(オキッパ)』

最後は、物流系ITベンチャー企業「Yper(イーパー)」がスタートした、宅配ボックスに類似した機能を備える新サービスの「OKIPPA」をご紹介します。物流業界が導入するテクノロジーとは少し異なるのですが、筆者個人が、再配達削減のための画期的なサービスだと思うので、簡単にご紹介します。
上述したように、現在物流業界では、インターネット通販の急増と、頻発する再配達がトラックドライバー不足に拍車をかけていると言われています。近年の宅配サービスは、細かく時間指定が出来るものの、なんと宅配の約2割は再配達になってしまっていると言われます。再配達防止のため、マンションに、宅配ボックスが備え付けられている物件も増加していますが、戸建て住宅や宅配ボックスがない物件の方が多いのが現状でしょう。
この再配達撲滅のため、近年注目されているのが「OKIPPA」です。「OKIPPA」は、宅配ボックスのない戸建て住宅でも、玄関などに簡易の宅配バックを取り付け、配送業者にアプリで宅配バックの中に荷物を入れるよう指示ができるものです。昨年12月には、東京都杉並区で実証実験を行ったそうですが、期間中の不在率が51%と非常に高かった中、再配達は61%も削減できたそうです。

参考:OKIPPA公式サイト

まとめ

今回は、物流・倉庫業界の人手不足解消や社会問題ともなっている再配達の削減を期待できる最新テクノロジーの活用事例についてご紹介しました。本サイト内の別記事でもご紹介しているように、インターネット通販市場の拡大に伴い、一般生活が便利になった一方で、それを支える物流・倉庫業界では、深刻な人材不足が叫ばれるようになっています。そのため、物流や倉庫業を運営する企業では、さまざまな技術の導入を進めています。
今後さらに技術の進歩が進み、人手を必要としない業務の幅も増えていくことでしょう。ただし、こういった最新テクノロジーの導入にはコストがかかってしまうのも事実ですので、自社の状況にあった技術の導入を徐々に進め、効率化を目指すのがオススメです。