工場のロボット導入には補助金が使えるかも?受給対象などはきちんと押さえておきましょう!

近年、私たちの生活を支える製造現場では、様々なロボットの導入による自動化が進んでいます。皆さんもテレビ番組で工場内部が放送されたときに、数多くのロボットアームが自動で様々な作業を進めている場面を見たことがあるのではないでしょうか。
こういった製造現場でのロボット導入は、生産性の向上や、ヒューマンエラーによるミスの低減、さらには人件費の削減など様々なメリットがあるため、大手企業の工場では積極的に導入が進んでいます。しかし、実際にロボットの導入を考えた場合、ロボット本体に費用がかかるだけでなく、ロボット導入のために周辺設備の改修など、多くのイニシャルコストが必要になることで二の足を踏んでしまうという企業も少なくありません。もちろん、ロボット導入後には、定期的なメンテナンスも必要となりますので、ランニングコストも頭に入れておかなければならず、「自動化のメリットは理解できるけどコスト面が…」と導入を踏み切れない事業主も多いのではないでしょうか。
そこで、工場の自動化のためにロボット導入を考えた場合、検討したいのが「補助金が使えるのか?」ということです。実は、一定の条件を満たしている企業の場合、ロボット導入のために必要になる費用の一部を公的な補助金で賄える制度が用意されているのです。本稿では、ロボットにまつわる補助金の種類や、申請時の注意ポイントについてご紹介していきたいと思います。

ロボット導入にまつわる補助金も様々。まずは自社が対象なのか確認!

ひとくちに『ロボット導入にまつわる補助金』と言っても、様々な種類の補助金が存在しています。もちろんそれぞれの補助金は対象となる事業が異なります。まずは、自社の事業が対象となる補助金をしっかりと確認する必要があるでしょう。以下に、ロボット導入にまつわる補助金を、いくつかご紹介します。

平成30年度予算 農水省「食品産業イノベーション推進事業」補助金

この補助金は、食品製造業、外食・中食産業において、生産性の向上を目的として『設備のロボット化』を進める事業者が対象となっていました。
この補助金の目的は以下のように定義されています。

<対策のポイント>
ICT・ロボット・AI技術の活用実証や、経営者等の生産性向上に対する意識向上を目的とした研修会等により、食品産業におけるイノベーションを創出し、食品製造業から外食・中食産業に至る食品産業全体の生産性向上を推進します。
<政策目標>
○平成33年度に食品製造業の労働生産性の伸び率を年3.0%とする
○平成32年度に飲食サービス業の労働生産性の伸び率を年3.0%とする
引用:平成30年度予算概算要求 食品産業イノベーション推進事業資料より

補助金の概要
平成30年度予算では、食品製造事業者、外食・中食産業事業者の生産性向上を目的に以下の二つの事業が実施されました。

  • 革新的技術活用実証事業
    食品製造業界の先進的な取り組み事例となる『ロボット化、ICT・AI活用』などの設備導入にかかるコストに関して最大で1/2が補助されます。ただし補助金総額上限は1社1200万円までです。
  • 業種別業務最適化実証事業
    設備導入は行わず、製造ラインの改善により生産性向上を進めていく場合のコンサルティング費用が補助されます。補助金総額上限は1社500万円までです。
平成31年度農林水産予算概算要求には、平成31年度食品産業イノベーション推進事業の概要が発表されていますので、そちらもご確認ください。

食品産業イノベーション推進事業平成31年度予算概算要求額

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、革新的なサービスや製品の開発を行う中小企業・小規模事業者を支援するための補助金です。この補助金は、内容や要件がかなり細かく定められているので、企業規模によって受け取れる金額が違うなど、申請時には慎重な検討が必要になります。『平成30年12月28日(金)から平成31年1月23日(水)17時必着』の期間で、平成30年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」の公募が行われていました。

補助金の概要
平成30年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」の事業概要は以下のようになっています。

  • 一般形
    革新的なサービスや試作品の開発、生産プロセスの改善のために設備投資をする場合、機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費などを支援するものです。補助率は総事業費の1/2で、補助下限額100万円、補助上限額1,000万円となっています。
  • 小規模型
    中小企業や小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善のうち小規模な額で行われる事業を支援するものです。(設備投資を伴わない試作開発等も支援)
    補助率は、小規模事業者は2/3、その他は1/2となっており、補助下限額100万円、補助上限額500万円です。

平成30年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」の詳細はコチラ

補助金申請のための注意ポイント

工場などでロボットを導入する場合には様々な補助金があるということはわかりました。もちろん上記に紹介したもの以外にも様々な補助金がありますので、自社の事業が条件に適合する補助金があれば積極的に利用すべきでしょう。
しかし、補助金を申請する場合には、いくら条件に適合していて補助を受ける権利があったとしても、その申請が却下されることもあります。当たり前のことですが、補助金を申請する場合には、申請書の作成を始め、一つ一つの準備を丁寧に行わなければいけません。
ここでは、各種補助金の申請を考えた時に注意しておきたいポイントについて簡単にご紹介しておきます。

  • 補助金の趣旨や要件は正確に把握しましょう
    各補助金にはその補助金の目的や条件が細かく規定されており、その公募要領に合致しなければ申請が通りません。注意しなければいけないのは、同じ名称となっている補助金であっても、年度によって公募要領が変わってしまうこともあるということです。つまり、補助金の申請は、正確な情報収集が非常に重要になるということで、補助金事業を運営している機関のホームページなどでこまめに最新情報をチェックする必要があるということです。
  • 申請書は丁寧で読みやすい文章を
    各種補助金の申請を行う場合、申請書の作成は非常に重要なポイントとなります。申請書に不備や漏れがあるだけでも審査の対象外になってしまいますので、審査項目をしっかり確認しましょう。
    また、事業計画書の作成に関しては、きちんとストーリーを組み立てて、自社の課題がロボット導入でどのようにして解決できるのか、丁寧に記入する必要があると言われています。特に、審査を行う審査員は、業界や申請企業について詳細に理解している人が行うとは限りませんので、誰から見ても読みやすく・分かりやすい書類とする必要があります。

まとめ

今回は、工場などでロボットの導入を考えた時に、非常に心強い味方となってくれる『ロボットにまつわる補助金』についてご紹介してきました。冒頭でもご紹介したように、近年様々な場所でロボットによる自動化が進んでおり、工場などの製造現場では、ロボットの必要性を感じている事業者も多いのではないでしょうか。しかし、「ロボットによる自動化」と口にするのは簡単ですが、実際にロボットの導入には、本体だけでも高額な費用が必要になり、周辺の設備をロボットに合わせて改修するとなると、多大なイニシャルコストが悩みの種となるものです。そのため、ロボットによる必要性やメリットは理解しているものの、なかなか導入に踏み切れないという中小企業は少なくないことでしょう。
補助金は、こういったコスト的な課題を解消するためには非常に有効な方法と言えます。もちろん、補助を受けるには様々な要件をクリアしなければならないのですが、自社が要件に該当している場合は、積極的に利用することをオススメします。なお、「自社の社員だけで補助金申請をするのは不安がある…」と言う場合は、補助金の申請を代行してくれる会社や、ロボットの導入を支援してくれるコンサルタントに相談してみてはいかがでしょうか。
因みに、工場の省エネを目的に何らかの設備投資を行うときにも様々な助成金が用意されていますので、そちらに興味がある方は以下の記事をご参照ください。

省エネに取組む工場が支援を受けることができる補助金・助成金をまとめてご紹介!