今回は、これからやってくる花粉症の季節に向けて、職場で必要になる花粉症対策についてご紹介したいと思います。毎年3月上旬から下旬にかけてがスギ花粉飛散量のピークを迎えると言われていますが、今年は暖冬だったこともあり、通常よりも花粉の飛散が早まると考えられています。現在世界中で注目されている新型コロナウィルスの流行もあり、特に今年に関して注意が必要なのは、日本中でマスク不足が発生していることです。重度の花粉症を持っている方であれば、毎年大量ののマスクを用意しておき、屋外に出る時には必ずマスクを着用すると思いますが、そのマスクが手に入らない可能性があると言われているのです。
花粉症を持っていない人であれば、その辛さがイマイチ分からないものなのですが、花粉症は日本の生産性にも悪影響を与えると言われており、職場での効果的な花粉症予防・緩和策は無視できるものではないと思います。そこで今回は、花粉症でない人でも知っておきたい職場で必要になる花粉症対策についてご紹介します。
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花粉症が労働力に与える影響
それではまず、花粉症が日本の労働力にどのような悪影響を与えているのかを考えてみましょう。日本の花粉症罹患(りかん)者について正確な数字はないのが現状ですが、ウェザーニュースが2019年3月に行った花粉症の全国調査(スギ・ヒノキの花粉飛散が少ないとされる北海道と沖縄を除く)によると、約1万人への聞き取り調査の中で、なんと58%の人が花粉症の自覚があると答えているのです。つまり、単純計算で職場の二人に一人は花粉症に苦しんでいるということです。
花粉症の代表的な症状と言えば、目のかゆみ、鼻水、くしゃみ、予防薬の副作用として襲ってくる睡魔……などが挙げられますが、これらの症状は仕事にどのような影響を与えるのでしょうか?ここではエステー株式会社が行った「花粉対策と仕事における生産性への影響に関する実態調査」の一部をご紹介しておきます。
約7割の人が仕事に影響している…と回答
この調査の中では「花粉症によって仕事に影響が出たことはありますか?」という質問があったのですが、なんと66.3%の人は『影響が出たことがある…』と回答しているのです。また、影響が出たと回答している人に向けて「花粉症があなたの仕事に与える影響はなんですか?」という質問をしたところ、88.5%の人は「集中力が低下する」と回答しています。その他の回答については、以下に転載しておきますので、確認しておきましょう。
引用:エステー株式会社公式サイトより
このように、実際に花粉症を患っている方は、仕事にさまざまな影響が出てしまうと回答しているのです。こういった花粉症による悪影響は、企業の生産性を低下させてしまうことになりますので、企業にとって決して無視できることではないと考えられます。
それでは、各企業は従業員のためにどのような花粉症対策を行っていけばよいのでしょうか?以下で見ていきましょう。
参考:エステー株式会社「花粉対策と仕事における生産性への影響に関する実態調査」
職場で出来る花粉症対策について
それでは、職場の花粉症対策として有効と言われている具体的な予防・緩和策を紹介しましょう。花粉は室内でも室外でも飛散していますので、花粉症の方が個人で対策に取り組むのではなく、会社全体で取り組まなければ大きな効果は得られません。ここでは、職場の花粉症対策として有効と言われているいくつかの手法をご紹介しておきます。
オフィス内に花粉を入れないルール作りが重要
職場の花粉症対策として重要になるのが、室内にできるだけ花粉を入れないようにするということです。
例えば、社内でも出入りが多い営業の方などには、外回りから帰ってきてオフィス内に入る前に、衣服に付着した花粉をできるだけ払い落とすようにしてもらうことはとても効果的と言われています。また、来客者に関しても、エントランス付近に「花粉症対策を行っている」ということと「花粉を落として入室するような具体的なお願い」をわかりやすく提示することで、入室前に花粉を払い落としてもらうことができるでしょう。
なお、2月下旬や3月上旬などは、まだ肌寒い日が続き、コートなどを着用している人も多いですが、入室前にコートを脱いでもらうよう徹底しましょう。室内でコートを脱ぐと、その時に衣服に付着した花粉が広く飛散してしまう可能性があります。
エアコンのフィルター清掃
エアコンのフィルター掃除を怠っている場合、エアコン内部に入り込んだ花粉を送風ファンによってまき散らすことになってしまいます。きちんと清掃の行き届いたフィルターであれば、花粉やホコリをきちんと吸着してくれますので、小まめにエアコンのフィルター掃除を行いましょう。
エアコンのフィルターを長期間放置してしまうと、目詰まりをおこして吸着力が弱くなりますし、さらに暖房効率も下がってしまうことになります。最低限、月に1回程度のフィルター掃除がオススメです。
加湿器・空気清浄器を導入
オフィス内に加湿器や空気清浄器を導入しておけば、空気中に飛散した花粉を湿らせて床に落とすことができるため、室内に飛散する花粉量を少なくすることができます。
なお、花粉が多くなる時期は、室内に花粉が入り込むのを防ぐため、窓を閉め切って仕事をする企業が多いと思います。しかし、室内に多くの人がいるオフィスなどでは、長時間窓を閉め切っていることで空気がよどんでしまい、風邪が流行してしまう…など他の問題に発展しかねません。したがって、数時間に一度は窓を開けて空気の入れ替えを行い、加湿器や空気清浄器で花粉に対処するのがオススメです。
花粉手当の導入や備品の用意
花粉症罹患(りかん)者は、マスクやティッシュなどの消耗品や通院費に薬代など、花粉症の症状を少しでも緩和するための対策にかなりの費用負担が強いられます。上で紹介したエステー株式会社の調査内でも、花粉症シーズンにかかる対策費用として5000円以上かけていると回答した人が30%以上もいるなど、意外と馬鹿にできないお金がかかってしまうのです。
したがって、花粉症罹患者に対してその対策グッズを現物支給することや、花粉症手当を導入する会社も増えています。
リモートワークの導入
職種によっては不可能な場合もありますが、企業の中には花粉症シーズンは自宅での作業を認めるなど、リモートワークの導入を進めている企業も増えています。重度の花粉症罹患者の中には、仕事のためとはいえ、花粉症が原因で出社したくない…と考えてしまう人も多いようです。
職種的に可能であれば、こういった対策を導入するのも良いのではないでしょうか?
まとめ
今回は、日本人の国民病と言われている花粉症について、職場で出来る花粉症対策についてご紹介してきました。花粉症を持っていない人であれば、その苦しさがなかなか理解できないかもしれませんが、重度の花粉症罹患者は常に風邪を引いているような状態になってしまうと言われており、その上で目のかゆみやくしゃみなど、仕事に集中したくてもどうしても集中できない…という状況になってしまうのです。
オフィス内ではいろいろな人が集まって仕事をするわけですので、誰もが快適に仕事をできるような環境作りに全員で協力することが、企業の生産性向上にもつながるのではないでしょうか。