近年では、世界中で地球温暖化や大気汚染などの公害問題など、地球環境を取り巻く様々な課題が話し合われています。こういった問題は、先進国と発展途上国との考え方の違いもあり、なかなか足並みがそろわない問題でもあるのですが、その中でも世界中で2030年を目標に、省エネルギーを進める様々な取り組みが行われています。これはもちろん日本でも行われている事であり、日本では2030年に向けて、5,030万klのエネルギー削減(2030年に13年比で-26%)が目指されています。
特に、一般家庭などとは、けた違いにエネルギー消費やCO2排出量が多いと考えられる工場や事業所、オフィスビルなどであれば、省エネやCO2削減に取り組む目的での設備の導入や、技術開発に対して補助金や助成金が出されています。したがって、現在省エネやCO2排出削減に取り組んでいる事業者や、これから取り組んでいこうと考えている企業であれば、積極的にこういった助成金や補助金を活用すべきでしょう。
そこで今回は、省エネやCO2削減に取り組む企業に出される補助金や助成金について、実際にどのような条件と内容になっているのかをご紹介していきたいと思います。ただし、これらの助成金には、基本的に『募集期限』等が設けられていますので、以下にご紹介するものの中には、今年度分の募集が終了しているものもあります。
Contents
省エネやCO2削減に取り組む事業者に対する支援について
一口に助成金や補助金といっても、出している機関も様々で、機関によって申請方法なども異なります。主に省エネ関係の助成金を出している機関は、「経済産業省」、「環境省」、「国土交通省」、「各都道府県」等になります。
以下でどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
経済産業省:平成31年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
これは、毎年「Sii環境共創イニシアチブ」が助成機関となり行われている「エネルギー使用合理化事業者支援事業」等の補助金となります。来年度の予算要求枠などもすでに経済産業省より発表されているものです。エネルギー使用合理化事業者支援事業は、工場などで既存設備を新たに省エネ対策をした設備に変更する場合に、その導入費に対して1/3を上限に助成金が出る制度です。来年度の予算額などは確定していないので、来年度の想定募集期間と、今年度実施された事業の助成金額をご紹介しておきます。
平成31年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業の日程
- 公募期間:平成31年5月下旬~6月下旬(推定)
- 採択発表:平成31年8月末(推定)
平成30年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業の助成金内容
- 工場・事業所単位:助成額上限15億円、助成率1/3以内
- 設備単位:助成額上限3,000万円、助成率1/3以内
国土交通省 省エネ改修事業補助金
毎年6月頃に公募期間が設定されている補助金です。この事業は、既存建築物の省エネ改修を促進することを目的に、民間事業者等が行う省エネ改修工事・バリアフリー改修工事に対し、国が事業の実施に必要な費用の一部を支援するものです。補助金の対象となるのは、オフィスビルなどの既存建築物および、建築設備の省エネ改修とバリアフリー改修工事に対してで、工事費用の合計金額が500万円以上となる事業です。
平成30年度省エネ改修事業補助金の内容
- 補助率:1/3(上記の改修を行う建築主等に対して、国が費用の1/3を支援)
- 補助限度額:5,000万円/件(設備改修に係る補助限度額は2,500万円まで)
※バリアフリー改修を行う場合、当該改修に係る補助額として2,500万円、又は省エネ改修にかかる補助額を限度に加算 - 公募期間:平成30年4月24日(火)~平成30年6月6日(水)
環境省 CO2削減ポテンシャル診断推進事業
これは、中小企業も含めた事業経営の中で、CO2削減ポテンシャル診断の実施が一般的になるよう、平成27年度に環境省が策定した診断ガイドラインも活用しながら、より多くの事業所においてCO2削減ポテンシャル診断の実施を行い、設備補助と合わせ、CO2削減を推進していくことが目的の事業です。
平成30年度CO2削減ポテンシャル診断推進事業概要
- CO2削減ポテンシャル診断・対策実施支援事業(17億円)
① CO2削減ポテンシャル診断の制度化も見据えたモデル事業として、年間CO2排出量3,000トン未満の工場・事業場を対象に、環境省が選定する診断機関によるCO2削減診断の実施及び診断結果に基づいた削減対策実施案の策定に対して支援する。
② 策定案に基づき20%以上(中小企業は10%以上)のCO2削減量を必達することを条件とし、実施する対策(設備導入・運用改善)のうち設備導入に対して
支援を行う。[補助率:1/3 (中小企業は1/2)] - CO2削減ポテンシャル診断推進事業に係る普及啓発等(3億円)
CO2削減ポテンシャル診断推進事業で得られた好事例等を積極的に発信し、工場・事業場に対して普及啓発を行う。また、CO2削減ポテンシャル診断に不可欠
な診断機関の数の拡大と質の向上を図るための支援事業等を行う。
平成30年度CO2削減ポテンシャル診断推進事業の詳細はコチラから。
その他の助成金について
省エネやCO2削減に関しては、日本国内でもかなり重要度の高い位置づけとなっているため、上述以外にも様々な補助金・助成金が存在します。以下に代表的なものをまとめてご紹介しておきましょう。
機関 | 助成金名 |
---|---|
経済産業省 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 |
経済産業省 | 地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金 |
環境省 | 脱フロン社会構築に向けた業務用冷凍空調機器省エネ化推進事業 |
環境省 | 先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業 |
環境省 | 業務用ビル等における省CO2促進事業 |
東京都 | グリーンリース普及促進事業 |
まとめ
今回は、経済産業省や環境省、国土交通省などが出している、省エネやCO2削減を目指す事業者に対する助成金や補助金についてご紹介してきました。本稿でもご紹介しているように、現在、地球温暖化や大気汚染といったことは、世界中共通の認識のもと、対策を急がなければならない問題となっているのです。皆さんもTVニュースなどで盛んに地球環境問題が特集されていることもあり、こういった課題については知識を持っている人も多いでしょう。
日本国内でも、2030年に向けて省エネルギーの目標値を設定しているなど、世界各国が協力して地球環境保全に取り組むことになっています。したがって、その取り組みを推進する目的や、よりスピードアップさせるために助成金や補助金が用意されているのです。省エネ設備の導入を考えた場合には、ぜひ積極的に利用していきましょう。