「職場の衛生管理が大切!」よく聞くセリフだけど、衛生管理の具体的な目的って何?

どのような職場でも「職場の衛生管理が大切!」と言われます。しかし、衛生管理が大切と言葉で言われたとしても、そもそも「職場の衛生管理とはどのような目的があるのか…?」や「職場の衛生管理でやるべきことは何なのか?」といった疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、衛生管理の目的や衛生管理がなされていない時の問題点などを簡単にご紹介していきたいと思います。職場の衛生管理が重要な意味を持つことはなんとなくわかるけど、具体的に何をすれば良いのか…と考えている方はぜひ最後まで読んでいただければと思います。

そもそも衛生管理とは?

現代の私たちの生活を考えてみた場合、生活時間の約1/3を職場で過ごすことになります。つまり、勤労者にとって職場というものはまさに「生活の場」とも言える場所なのです。
例えば、その生活の場が寒すぎたり、暑すぎたり、汚れていたり、不自然な体勢を強いられるため体に負担がかかったり、人間関係が良くない場所となってしまうと、勤労者にとって不幸であるだけでなく、生産性も低下してしまいます。そこで、職場の環境について、きちんと現状を把握し、職場の意見を反映しながら快適な職場にしていくためにさまざまな改善を進めることが必要とされているのです。

職場の衛生管理とは、主に以下の3つが挙げられます。

作業環境管理

作業環境中の有機溶剤や粉じんなど有害因子の状態を把握して、できる限り良好な状態で管理していくことです。危険有害物を取り扱っている作業場があれば、その物質の有害性、取扱量、作業場所への発散状況などを調べ、必要な措置を講じましょう。
引用:厚生労働省あんぜんサイトより

作業環境管理は、作業者の健康に悪影響を与えないように職場環境を整備することです。具体例としては、以下のようなことを行います。

  • 臭気対策
  • 防じん対策
  • 有害物質の除去
  • 作業に必要な労働衛生保護具(防塵マスク、保護服など)を給付する
  • 定期的な有害物質の測定 etc

作業管理

作業時間・作業量・作業方法・作業姿勢などを適正化したり、保護具を着用して作業者への負荷を少なくすることです。定期的に作業現場を巡回して、作業をマニュアル通り行っているか、仕事量は適量かどうかなどをチェックしましょう。
引用:厚生労働省あんぜんサイトより

職場における衛生管理を考えた場合、この作業管理も非常に重要な項目になります。具体例としては以下のようなことに気を付ける必要があります。

  • 適正な作業時間・作業量・作業方法・作業姿勢を明確にし、それをマニュアル化する
  • 作業中に存在する不安要素を取り除く
  • 定期的に作業現場を巡回し、マニュアル通りに作業が行われているかなどをチェックする

健康管理

作業者の健康状態を健康診断で把握して、その結果に基づいて適切な措置や保健指導などを実施し、作業者の健康障害を未然に防ぐことです。定期健康診断の受診を促すほか、有機溶剤や鉛、粉じんを発生するおそれのある作業を発注している場合は、特殊健康診断の受診を促しましょう。
引用:厚生労働省あんぜんサイトより

職場の衛生管理では、作業者の健康管理が非常に重要です。具体的には以下のような事が行われます。

  • 健康診断を実施する
  • 作業者の健康状態を把握し、病気の早期発見および治療を目指すなど、健康障害を未然に防ぐ
  • 健康診断において、要観察者や要保護者については適切な措置や保健指導を実施する
  • 有機溶剤や鉛、粉じんを発生するおそれのある特定の職種の場合、特殊健康診断の受診を促す

職場の衛生管理は、作業者が安全に仕事をする、作業者の健康を守る事が主な目的となります。そのため、上記のような管理を行うほか、作業者に対して労働衛生の理解や当事者意識を高めるため『衛生教育』を実施することも重要とされています。

衛生管理がなされていない場合どうなる?

それでは、職場の衛生管理がきちんと行われていない場合、どういった問題が発生するのでしょうか?以下で見ていきましょう。

生産効率が低下するリスクがある

職場の衛生管理がきちんと行われていない場合、生産性が大幅に低下してしまうリスクがあると言われています。例えば、作業環境が極端に暑い…寒い…となった場合、労働効率は落ちてしまうことでしょう。他にも、便利な機械・設備が導入されていたとしても、正しい操作方法を作業者が理解していないのであれば、業務が滞ってしまう可能性があります。
職場の衛生管理というものは、作業者が業務を円滑に進めることができ、職場の生産効率を正常化させるためにとても重要なのです。

作業者の健康が害されるリスクがある

衛生管理がきちんとなされていない環境では、作業者が怪我をしてしまったり、体調を崩してしまうリスクが高くなるのも大きな問題点です。例えば、作業中に有機溶剤や粉じんなど有害因子が生じるような環境で、正しい作業手順の教育も行わず、保護具などの給付もないような状況であれば、作業者が病気になるリスクが高くなってしまうでしょう。
職場の衛生管理は、従業員の怪我や体調不良のリスクをできるだけ低くするためにも重要なのです。

作業者のモチベーション低下リスクがある

作業者のモチベーションが低下してしまうのも職場の衛生管理がなされていないのが大きな原因と言われています。
例えば、作業環境が極端に悪い…作業を進めるための知識を与えてもらえない…なんて職場であれば、誰でも労働意欲がそがれてしまうことでしょう。上述した、「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」が整っていない職場では、作業者のモチベーションが低下してしまい、その結果作業効率が大幅に下がってしまうという弊害が出てしまいます。また、作業中のミスなども増えて、作業中の事故により作業者が怪我をしてしまうというケースも増加するリスクがあります。
職場の衛生管理は、作業者のモチベーションを維持して、スムーズかつ安全に作業を進めるためにもとても大切なのです。

食品工場や倉庫の労働環境改善についてのポイントはこちらから。

まとめ

今回は、職場の衛生管理に関して、具体的にどのようなことが必要なのかや衛生管理ができていない場合の弊害などについてご紹介してきました。職場の衛生管理が大切だということは誰もが理解していると思うのですが、具体的にどのようなことが必要なのかについてはあまり詳しく知らない…という方も多いのではないでしょうか。

この記事でご紹介したように、一口に衛生管理と言っても、必要になる管理は非常に多岐にわたります。さらに、衛生管理がなされていない職場では、さまざまな弊害が出てしまうリスクがあります。したがって、今一度自社の労働環境をチェックし、必要な衛生管理を検討してみるのも良いのではないでしょうか。

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