日本で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから1年以上が経過した現在でも、コロナ禍以前の社会生活を取り戻すことができていません。この記事を作成している2021年6月現在でも、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言下にある地域もあり「不要不急の外出自粛」が求められています。
長引くコロナ禍では、従業員の健康を守るという目的で、リモートワークを選択する企業が多くなっているのですが、全ての企業がリモートワークを活用できるわけではなく、業務内容やサービス形態によっては職場に出社する必要がある場合も少なくありません。そして、こういった企業では「引き続きコロナ対策をしながら、オフィスへの出社を両立させるにはどうするのが最適?」「同業他社はどういった対策を行っているのだろう?」ということに頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、オフィスへの出社とコロナ対策を両立させていくため、企業の感染対策事例をいくつかご紹介します。
Contents
Withコロナ時代に向けて!企業で行われている出社時の感染対策とは?
それでは、コロナ禍でも従業員に安心して出社してもらうため、実際に取り組まれている感染対策についてご紹介します。新型コロナウイルスのような感染症は、とにかく人との接触を減らすということが大切と言われているため、政府などもリモートワークの導入を強く推奨しています。
ここでは、実際に取り組まれている各企業での出社時の感染対策事例をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
事例① カルビー株式会社「Calbee New Workstyle」
まずは『ポテトチップス』などのスナック菓子を製造・販売するカルビー株式会社の事例からです。カルビー株式会社は、製造業であるがゆえに、リモートワークの導入などは非常に困難な業態と考えられるでしょう。しかし、この企業では、新型コロナウイルスが発生する以前から、新しい働き方の導入に挑戦し続けています。
コロナ禍の現在では、当たり前の働き方のように考えられている在宅勤務ですが、コロナ禍以前では政府が普及推進を行っていたものの、一般社会にはなかなか浸透しない…というのが実情でした。しかしカルビー株式会社では、2014年から在宅勤務制度を開始し、2017年にはモバイルワーク制度も導入されています。もちろん、工場勤務者に関しては、モバイルワークの導入は難しいなど、製造業であるがゆえに新たな制度の導入が限定的になってしまう…という点は課題だとは思います。しかし、非常に先進的な取組と言えます。
そしてカルビー株式会社では、2020年7月1日より、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえたニューノーマルの働き方「Calbee New Workstyle」をオフィス勤務者800人を対象に導入しています。どういった感染対策になっているのかは、公式サイトに記載されていますので、以下に引用しご紹介しておきます。
1.モバイルワークの標準化とフルフレックス導入
オフィス勤務者は、出社勤務ではなく、モバイルワークを原則とします。オフィスへは、創造性や効率性の向上、直接の意思疎通が必要な場合に出社をします。また、フレックス勤務のコアタイムを廃止し、より柔軟な働き方を推進します。
結果的に30%前後の出社率を目安とします。
2.単身赴任の解除
モバイルワークを基本とすることで業務支障がない旨を所属部門が認めた場合は、単身赴任を解除します。
3.通勤定期券代の支給停止とモバイルワーク手当の支給
・通勤定期券代に替わり、オフィス出社時の交通費を実費で支給(出社日数に応じた交通費を通勤手当とする)
・「モバイルワーク手当」(一時金)を新設し、モバイルワークの環境整備に必要な費用を一部補助。
引用:カルビー株式会社プレスリリースより
上述のような対策をオフィス勤務者に導入したところ、コロナ感染リスクを抑えられただけでなく、通勤時間の削減やITツールの活用などによって業務効率化にも役立ったそうです。さらに、工場勤務者に対して、スマートフォン貸与を拡大させたことで、社内の情報共有などがスピーディに行えるようになり、コロナ対策がきっかけとなり、生産性向上などの新たなメリットが生まれたそうです。
事例② 株式会社オトバンク:原則出社禁止・全社リモートワークを無期限延長
音声コンテンツの制作を行っている株式会社オトバンクは、2016年からフルフレックスタイム制やリモートワークなどの新しい働き方を積極的に取り入れていました。しかし、実際にリモートワークをする従業員は一部のみで、出社を基本とする従業員も少なく無かったそうです。
そして、新型コロナウイルスの感染拡大が問題視され始めた2020年1月27日より全従業員70人を対象に在宅勤務を実施しました。当初は、従業員の感染予防が目的の対策でしたが、業務に大きな支障が出なかったことから、働き方改革の一環で、新型コロナウイルス収束後もリモートワークを継続すると発表しています。
なお、リモートワークが全社的な取組となったことから、従業員が在宅でも快適に勤務に集中できるよう以下のような対策が行われています。
- リモートワーク一時金として3万円を支給
- 出勤する場合はラッシュ時(午前7時~午前10時)を避けるように指示
- 打ち合わせや社内イベントなどもオンライン化
株式会社オトバンクでは、以前から働き方改革の一環としてリモートワークに取り組んでいたことから、全社的に「原則出社禁止・リモートワークを無期限延長」を行うにあたっても、大きな混乱などはなかったそうです。
リモートワークの無期限延長に関しては、新型コロナウイルス対策として行われたという側面があるのですが、この制度の導入によって以下のようなメリットも得られたと言われています。
- 「リモートか出社か?」で従業員が迷わなくて良いので心身の負担が軽減できた
- 一時金の支給により、在宅でも集中できる環境ができ、生産性が向上した
- 移動時間が減ったことにより、従業員の自由な時間が増えた
その他の対策事例について
上記以外にも、Withコロナに向けて、さまざまな取組を行っている企業が存在します。以下に、参考となる取組事例へのリンクを張りますので、ぜひご確認ください。
企業名 | 取り組み内容 |
---|---|
GMOインターネット株式会社 | 新しいビジネス様式 byGMO |
株式会社オプトホールディング | 週2日以内の出社体制 |
ClipLine株式会社 | リモート主体の勤務に移行し |
まとめ
今回は、長引く新型コロナウイル問題の中、さまざまな企業がWithコロナ時代に向けて取り組み始めた出社時の感染対策についてご紹介してきました。日本国内では、古くから対面での仕事が重視されてきたこともあり、コロナ対策としてリモートワークが必要…と言われても、どこから手を付けて良いのか分からない…、リモートワークにすると業務効率が悪くなるのでは…などといった事が問題視されていました。
しかしこの記事でご紹介したように、適切なリモートワークの導入を行えた場合、対面で仕事を進めるよりも、効率的に業務を進めることができ、生産性の向上も実現できたという事例は多いようです。この機会に、より効率的な働き方を目指してどういった勤務形態が良いのかをもう一度考えてみるのも良いのではないでしょうか。