採用ブランディングとは?目的や方法、メリットについて解説

少子高齢化などによる労働人口の減少で、さまざまな業界では人材不足が年々深刻化していると言われています。さらに、日本政府が発表した試算によると、労働人口の減少は今後もさらに進行し、なんと2040年までには現在の労働人口から、さらに1200万人も減少する可能性があるというのです。このような状況の中、企業では優秀な人材を確保するために今後の採用戦略を考えることが急務となっています。

特に最近では、リクナビやマイナビなど、大手採用サイトを軸に据えた従来の新卒採用手段に陰りが見え始めたとも言われており、各企業が独自の採用手段を考案するようになっています。そんな中、多くの企業で注目され始めているのが『採用ブランディング』です。この記事を読んでいただいている方の中には、「最近、採用ブランディングという言葉をよく聞くけど、どんなものなの?」と疑問に思い、調べている最中にこのサイトにたどり着いたという方も少なくないと思います。

そこで今回は、そもそも採用ブランディングとは何なのか?や、採用ブランディングを実施することのメリットなどをご紹介したいと思います。

採用ブランディングとは?

それではまず、「採用ブランディングとは何なのか?」という基礎知識についてご紹介します。

ブランディング(英: branding)とは、ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略の1つ。
引用:Wikipedia

採用ブランディングを簡単に説明すると、上記のブランディングを採用に当てはめたものとなります。例えば、自社が提供するサービスや仕事に取り組むスタンスなどをしっかりと発信することで、求職者からの信頼や共感を獲得し「ぜひこの企業で働いてみたい!」と考える人を増やすためのマーケティング戦略といった感じです。

この手法は、各企業が各々の『らしさ』を発揮しながら、求職者と高いマッチングを実現できると言われており、自社の採用活動を活性化することができる…などが評価され、導入する企業が増加していると言われています。

採用ブランディングがなぜ注目されているのか

2010年以降は、有効求人倍率が上昇し続けている傾向があります。つまり、優秀な人材の争奪戦となり、採用が難しくなっているということになります。このような状況から、採用に力を入れる企業も増えてきています。

自社のことを知らなかった求職者にも採用情報を届けることができるように、発信方法をして、自社への認知や志望を向上させる必要があります。

中途採用の場合は、今すぐの転職を考えているわけではない転職潜在層に向けてアプローチすることで、将来的な転職先の候補になる可能性を高められます。

採用ブランディングを取り入れることのメリット

それでは、企業が採用ブランディングと呼ばれる手法を取り入れることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、採用ブランディングを取り入れることで得られるいくつかのメリットをご紹介しておきます。

応募者の増加や選考の歩留まりが良くなると期待できる
まずメリットとして挙げられるのは、応募者の増加が期待できるということでしょう。求職者の多くは、「どのような職種か」「どのような業務か」ということをまず考え、その条件に適合した企業を探すという行動をとります。そして同じような条件の企業があった場合には、よりイメージの良い企業に決めるというのが一般的でしょう。採用ブランディングは、上で紹介したように、求職者からの信頼や共感を獲得するための手法となりますので、競合企業があったとしても「この会社で働いてみたい」と感じてもらいやすくなります。
さらに、採用ブランディングによって明確な自社の魅力を発信することで、なんとなく企業を選んだ人ではなく、「この企業の●●という考えが好きだから応募した」という志望度の高い求職者が増え、内定辞退などの減少も期待できるのです。
ミスマッチによる早期退職者の減少
大企業などのように、一般的なイメージや認知度が高い状態での採用活動は一見有利に見えてしまうものです。しかし現実には、内定後に自分の持っていたイメージと現実とのギャップに気付き、内定辞退や早期退職してしまう…という結果を招くことも少なくないと言われています。
採用ブランディングは、企業の実態をある程度理解したうえでの採用活動となるため、このようなミスマッチを最小限にし、「せっかく採用したのに内定辞退が続出した…」なんてことを防ぐことにつながります。
競合他社との差別化ができる
「競合他社も多いけど、差別化はどうすればいいだろ…」と悩んでいるのであれば、採用ブランディングが非常に有効だと思います。
近年、面接に来る応募者の回答がどれも似たような言葉になっていて「別に自社じゃなくてもいいのでは?」と思えてしまうという話をよく耳にします。しかし、このような状況になっているのは、何も応募者側にばかり問題があるのではなく、企業側が同業他社との差別化ができていない…というのも大きな原因と考えられます。したがって、自社に最適な人材を確保したい…と考えるのであれば、企業側が積極的に他社との差別化をすべきではないでしょうか。
入社後の社員教育がスムーズになる
採用ブランディングをしっかりと行ったうえでの採用活動であれば、入社してくる人は企業の目指すべきビジョンなどを十分に理解した状態と考えられます。企業の事業内容や考えに賛同しているわけですから、入社後の社員教育がよりスムーズになると期待できます。

企業が採用ブランディングを行うことには、上記のようなメリットがあると考えられます。他にも、既存社員が自社の良さを改めて理解できるようになるなど、採用活動以外のメリットも存在していると思います。もちろん、企業ごとに得られるメリットは異なりますが、自社に必要な人材を積極的に採用できることで、ミスマッチによる内定辞退や早期退職なども減少し、採用コストの削減にもつながるのではないでしょうか。

採用ブランディングに取り組むには?

それでは最後に、採用ブランディングに取り組むための方法についても簡単にご紹介しておきましょう。

  1. 求める人材を明確化する
    採用ブランディングを行うのであれば、自社が求める人材像を明確にすることが非常に重要です。自社の現状や将来像、社風などをもとに、必要な人材の数や質を決定しましょう。この工程は、採用活動の根幹となる要素ですので、徹底的かつ多角的に自社を分析する必要もあります。
  2. 自社の強み・価値を明確化する
    求める人材の明確化とともに重要なのが、自社の強みや価値を明確化することです。ブランディングの基本は、「強み」や「価値」をもとににブランドイメージを組み立てていくことです。この部分が明確になれば、ターゲットに対しての訴求力が高まります。
  3. 自社の強みをターゲットに発信する
    最後は、自社の強みをターゲットに伝えるための手法を考えなければいけません。近年では、さまざまなツールが存在していますので、①で定めたターゲットに的確に発信できるよう、ターゲットの行動ストーリーなどを踏まえて、どのようなツールを利用するのか検討しましょう。

採用ブランディングに取り組むには、上記のような工程が必要になります。

参考サイト:三和建設の採用サイトはこちら

まとめ

今回は、さまざまな企業が取り組み始めていると言われる『採用ブランディング』について簡単にご紹介してきました。採用ブランディングを簡単に言うと、自社が求める人材を明確にし、その人材に向けて的確に自社の強みを発信するというものです。こう聞くと、非常に単純で「既にどの企業でもやっていることなのでは…」と思うかもしれません。

しかし実際には、どの業界でも同業他社との差別化すらなかなか進んでおらず、求職者の多くは「〇〇の業界で働きたい」という人はいるものの、「〇〇という企業で働きたい!」という声は大企業に限られているというのが現状なのではないでしょうか?自社の強みや理念を正確に求職者に伝えて優秀な人材確保が期待できるというのは、中小企業にとっては非常に大きなメリットになると考えられますので、ぜひ採用ブランディングに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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