工場や倉庫における屋根トラブルとは?原因と対策をまとめてご紹介します。

今回は、工場や倉庫にとって欠かせない『屋根』について、よくあるトラブルやその対策法をご紹介していきたいと思います。近年では、夏場になるとゲリラ豪雨によって大都市圏に大きな混乱が起こるといったニュースが必ずあるほどで、日本の気象条件も数十年前と比較すると大きく変わってきたように思えます。さらに2018年は台風の上陸も多く、梅雨明けと同時に大きな台風が連続して上陸し、日本を縦断するように大きな被害を出したのは記憶に新しいことなのではないでしょうか。
世界的に見ても、大雨による水没被害は様々な場所で起こっているようで、まさに地球全体が異常気象に見舞われているといった状況です。このような状況の中、工場や倉庫を経営される事業主様の間では、大雨や台風による雨漏り等、屋根トラブルに頭を悩ませている方々も多くいるのではないでしょうか。実際に、2018年9月に上陸した台風21号では、猛烈な風で工場や倉庫の屋根が吹き飛ばされてしまい、事業の運営に支障をきたしているという企業も多く存在します。このような自然災害による屋根被害に関しては、どうすることも出来ないと考えるかもしれませんが、お客様の大事な製品を製造、保管する工場・倉庫にとっては、建物内を守るため屋根トラブルは見逃せません。したがって、常に万全の状態で屋根の機能を果たせるよう、屋根トラブルに関する基礎知識は持っておいた方が良いと言えるでしょう。

工場や倉庫によくある屋根トラブルとその原因は?

それでは、工場や倉庫などの屋根において、よくある屋根トラブルについてご紹介していきましょう。工場や倉庫の屋根と言えば、一般住宅などとは異なり、金属製の屋根材が使用されていることが多いですね。古くは『トタン屋根』等と呼ばれる『亜鉛メッキ鋼板』が採用されていることが多かったのですが、このタイプの屋根材は耐用年数が非常に短く、錆に弱いという特徴もあり、導入費用は比較的安いものの10~15年に1度の塗装工事が必要とされます。近年では、これに替わり、ガルバリウム鋼板製の金属屋根材が主流となってきており、こちらは金属なのに錆にも強く、耐用年数も20~25年と飛躍的に性能が伸びています。
冒頭でもご紹介しましたが、工場や倉庫というものは、お客様の大切な製品の製造・保管を行う場所ですので、屋根の機能をきちんと果たせるという事は必要不可欠なことです。また、突然の屋根トラブルによって修繕が必要になった場合には、多額な修繕費用が必要になるだけではなく、業務にも支障をきたす大きな問題となってしまいます。以下に、よく見られる屋根トラブルとその原因をあげておきますので、事業主の皆さんは、一度屋根の点検を行ってみてはいかがでしょうか。

屋根材が錆びて穴が開き雨漏りが発生…
金属屋根における雨漏りで多いのは、屋根材の錆が進行し穴が開いてしまうことによって、雨漏りが発生する事です。これは、屋根材に施されている塗装の効果が切れていることが原因です。金属屋根における防水効果は、屋根材の塗装やその下にある鋼板そのものが担っているのですが、塗料の耐用年数を過ぎても再塗装を行わない場合、塗膜の防水効果がなくなり、雨漏りに繋がるのです。また、強風に飛ばされてきた石などが屋根にぶつかり、キズが入ってしまった場合、補修などをせずに放置してしまうと、そこから錆が進行することもあります。
棟板金や板金を止めている釘が緩み、隙間が出来る…
これも工場や倉庫の屋根トラブルに非常に多いです。金属屋根の場合、屋根の頂上部分(棟)に棟板金を施工し屋根材を抑えています。この棟板金は、経年劣化によって徐々に釘が緩んでしまい、屋根に隙間が出来てしまうものなのです。したがって、棟板金や釘が緩んだ部分には隙間が出来てしまい、そこから水が侵入し、雨漏りや躯体の腐食などの屋根トラブルを引き起こすのです。また、台風などの強風時には、隙間に風が入り、棟板金が吹き飛ばされてしまうといった事も珍しくありません。
強風により屋根材が捲れる、吹き飛ばされる
2018年9月に上陸した台風21号では、多くの工場・倉庫に屋根トラブルが発生しました。例えば、強風によって屋根材の一部が捲れてしまう事や、屋根材が全て吹き飛ばされてしまうことがあり、このような場合、業務の遂行には大きな支障が出てしまいます。これは、単純に台風の勢いが非常に強かったためとも言えますが、ほとんどの場合、経年劣化で屋根の固定が緩んでいたことが大きな原因と言えるでしょう。屋根というものは、一般的に10年程度の再塗装、30~35年程度で葺き替え工事が必要とさるもので、経年で必ず劣化が進行してしまうものです。その為、台風が頻発する時期の前には、屋根の状態が万全なのかきちんと点検することをオススメします。

屋根トラブルの対策法について

それでは、工場や倉庫において屋根トラブルが発生した場合の対策について考えていきましょう。もちろんですが、実際に表面化した症状によって施工方法も様々です。
工場や倉庫等という大きな建物になると、雨漏りが発生していたとしても工場内で勤務する人が気が付きにくいケースが非常に多くあります。また、一般的に雨漏りというものは、雨漏りが発生している箇所を修理すれば問題ないと考えられていますが、実は雨漏りがトラブルとして表面化した時点では、関係のない部分まで水が回り、その他の重要部材まで腐食させてしまっているという事が少なくありません。そのため、何もトラブルが出ていないと思っていたとしても、点検をしてみると驚くほど劣化が進行しているという事が珍しくないのです。
以下に、代表的な屋根の修繕方法をご紹介しておきます。修繕方法が変わると、費用も大きく異なりますので、余計な費用が掛からないように基本的な部分は押さえておきましょう。

屋根塗装工事
屋根塗装は修繕工事というより、メンテナンスの側面が強い工事と言えます。金属屋根の場合であれば、屋根塗装は必要不可欠で、定期的に行う必要があります。再塗装のスパンは、塗料によって異なりますが、一般的に7~10年程度に1度です。塗料は、主に「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」等の種類がありますが、種類によって断熱効果の有無や耐用年数などに大きな違いがあります。また、屋根塗装を行う場合には、足場の組み立てが必要になるため、外壁塗装も合わせて行うようにすれば仮設費の削減が可能です。因みに常に紫外線の影響を受ける屋根は、塗装の劣化も早くなるため、外壁に使用する塗料よりワンランク上の物を利用するとメンテナンススパンが崩れにくくなります。
屋根のカバー工事
屋根リフォームの手法の一つです。カバー工事は、既存屋根材を撤去せず、その上に新たな屋根材を施工するといった手法となります。その為、既存屋根材の撤去にかかる手間や費用を削減することができ、工期も短縮することが可能です。また、既存屋根材が古いスレートの場合には、アスベストが含まれていることもあり、これの撤去にはかなり費用がかさんでしまいます。このような場合でも、カバー工事であれば屋根材の撤去が必要無い為、アスベストが飛散することを気にせず屋根リフォームが可能です。ただし、既存屋根はそのままに施工を進めるため、屋根下地に関しての修繕は不可能です。したがって、屋根の劣化度合いによってはカバー工事による修繕が選択できない場合もあります。
屋根の葺き替え工事
屋根リフォームの手法の一つです。葺き替え工事は、既存屋根材を全て撤去し、新たに屋根を施工するという方法ですので、屋根だけは新築になるというイメージです。既存屋根材の撤去・処分費用が必要になるため、修繕にかかる費用は高額になりますが、屋根下地からやり替えが出来ますので屋根トラブルの根本的な修繕が可能です。

屋根トラブルの修繕方法は、上記のような方法となります。工場や倉庫となると、「施工中に工場の稼働が出来るのか?」という事が非常に気になることだと思います。しかし、これについては施工方法や修繕場所によるので一概に「稼働出来る」とも「稼働出来ない」とも言えません。例えば、屋根塗装など、屋根上のみの作業の場合であっても、塗装前に行う高圧洗浄の段階であれば、水や埃、塗装の破片等が飛び散る可能性があるため、食品工場や精密機械を取り扱う場所は注意が必要でしょう。また、アスベストを含んだ屋根材の撤去が必要な場合は、多量のアスベストが飛散する可能性があるため、一時的な業務のストップは必要になると思います。
どちらにせよ、屋根トラブルの修理・修繕を行う際には、早めのスケジュール調整が必要になってくると言えます。

工場・倉庫の改修工事をご検討の方はこちらをご覧ください。

まとめ

今回は、工場や倉庫におけるよくある屋根トラブルについて、その原因や対策方法をご紹介してきました。上述した通り、工場や倉庫などといった大きな建物であれば、屋根におけるトラブルに気付くのが難しく、気付いたときには手遅れになっていたということは珍しくありません。
したがって、お客様の大切な製品の製造や保管を担う工場や倉庫といった建物では、常に屋根の状態を確認するため、点検・メンテナンスが非常に重要になると言って良いでしょう。定期的に点検・メンテナンスを行うという事は、専門家の適切な診断が定期的に入るという事ですので、屋根の劣化に気付くチャンスも増え、最悪の状況に発展することを防ぐことにも繋がります。
異常気象のようなゲリラ豪雨や台風が頻発する昨今では、お客様の大切な製品を守るためにも、リスクが進行する前に食い止めることが出来る体制作りが重要だといえるのではないでしょうか。

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