個人でも可能な食品ロス対策って何?身近な部分から見直してみましょう!

昨年10月に消費税が10%になり、皆様の生活にもさまざまな影響が出たのではないでしょうか?消費税10%がスタートした直後は、少し複雑な制度となっていたことから「このケースの場合、消費税は8%or10%どちらでしょう?」などと言ったことが面白おかしくテレビなどでも放送されていましたし、2019年の年末にかけては消費税アップの話題で持ちきりだったような気がします。

このような消費増税の話題に隠れてしまっているのですが、実は食品流通業界では大注目の法律が消費税と同時期の2019年10月より施行されたのはご存知でしょうか?それは『食品ロス削減推進法』で、ざっくりと法律の内容を解説すると、食品ロス(本来はまだ食べられるのに捨てられる食品)の削減について、食品の流通に関わる国や自治体、また関係者の努力義務を明記した法律となっています。
普段の生活の中で『食品ロス』に関して注意しながら生活している…という方もいるかもしれませんが、実は農水省の統計によると、日本国内の食品ロス量は、平成28年度の推計で約643万トンと言われており、これは国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量(約380万トン)を大きく上回っているのです。日本の食料自給率は4割を切る…という中、諸外国から大量に食品の輸入を行っているのにもかかわらず、毎日大量の食品ロスを生み出しているのです。
こうした状況の中、日本政府でもさまざまな対策が考えられていますが、やはり最も重要になるのは、個人個人の食品ロスに対する意識なのではないでしょうか。そこで今回は、普段の生活の中でもできる食品ロス対策について考えていきたいと思います。

食品ロス『0』を目指して!各食品メーカーが行う食品ロス問題への取り組み事例をご紹介!

食品ロスを減らすために個人で何ができる?

日本の食品ロスの現状は、以前ご紹介した『食品ロス『0』を目指して!食品メーカーの取り組み事例をご紹介!』という記事内でもご紹介していますので、ぜひこちらもご参照ください。

それでは、食品ロスを減らすために、私たちはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?食品ロスは、普段の生活の中で一人一人がもっと食品を大事に扱うなど、小さな行動だけでも大きく削減することができるはずです。ここでは、個人の普段の生活の中で、食品ロスを少しでも減らすためにできる行動を簡単にご紹介します。食品ロスは、「買いすぎない」「作りすぎない」「注文しすぎない」そして「食べきる」という当たり前のことで削減できるものなのです。

個人の買い物で出来る食品ロス対策

ご家族の毎日の食事のため、スーパーなどで買い物をします。まずは、この時にできる食品ロス対策についてです。

  • 冷蔵庫や食品庫にある食材を確認してから買い物する
    買い物をした後、冷蔵庫に食品をしまおうと思った時に、同じ食品が入っていた…なんて経験がある人も多いのではないでしょうか?こういった小さなことでも食品を余らせてしまう原因となります。買い物に行く時には、事前に冷蔵庫や食品庫にどのような食材が残っているのか確認してから行きましょう。
  • 必要な分だけ買う
    食材は「必要な分だけ購入し、そして食べきる」ということが重要です。しかし、スーパーなどでは頻繁に特売が行われていますので、ついついお得感に釣られてまとめ買いしがちな人もいるでしょう。その結果、食材の期限が過ぎてしまい捨ててしまうことにもなりえます。必要なものを必要な分だけ買うという方が、結果的にお得になることも多いのです。
  • 自分の利用予定と賞味期限を考える
    スーパーなどで買い物を行う時には、賞味期限までの期間がより長いものを選んで、わざわざ奥から取ることもあります。もちろんこの行動が悪いという訳ではないのですが、すぐに利用する予定の食品はできるだけ手前から取るのが食品ロス削減につながります。当然、お店側は、賞味期限が近くなる…切れてしまうと、廃棄してしまいますのでその時点で食品ロスが発生します。自分の利用予定が期限内であれば、優先的に前から取ることで、食品ロスを少しでも減らすことに貢献でき、気分も晴れやかになるかもしれません。

調理や食事で出来る食品ロス対策

次は、日々の食事を作る時の食品ロス対策についてです。

  • 食材の保存は食品に記載されている保存方法を守る
    食品の包装には、その食品に適した保存方法が記載されています。小さな字で記載されているので、確認しない人もいるかもしれませんが、誤った保存方法をしてしまうと、食品の劣化が早くなる場合があるのです。その結果、食品ロスになってしまう可能性があるので、食品の保存は正しい方法を守りましょう。
  • 食材ごとに考えて保存する
    野菜などは、一度に使いきれず、多くの部分を捨ててしまう人が多いのではないでしょうか?したがって、野菜などは、冷凍や乾燥、小分け保存など、下処理を工夫して、食材が長持ちするようにすると良いでしょう。
  • 残っている食材から使う
    食材はできるだけ残っているものから調理しましょう。新しく買ってきたものから利用すると、残っていたものが傷んでしまい捨てるしかなくなってしまう場合もあります。できるだけ食品を使い切れるよう、残っているものを優先的に調理し、食べきるようにしましょう。
  • 家族の予定や体調を考慮し調理する
    家族とのコミュニケーションは、食品ロス削減にも役立ちます。せっかく作ったのに外食すると言われた…体調が悪く食べきれない…など、家族の状況を把握して調理することで、食品ロスの対策に繋がります。

外食時にも食品ロスに注意

外食する時などには、ついつい頼みすぎて残して帰ってしまう…なんてことが考えられます。もちろん、お店側は一度提供した料理を再利用するわけにはいきませんので、残したものはそのまま食品ロスとなってしまうのです。それでは外食時にはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?

  • 食品ロス削減に取り組んでいるお店を選ぶ
    最近では、お店側が積極的に食品ロス対策を行っている場合もあります。例えば、顧客が食べきれる分だけ注文できるよう料理の量を細かく注文できるお店、食べきれない料理は持ち帰りさせてくれるお店などがあります。外食時にこういったお店を選ぶだけでも、食べ残しが減り、食品ロス対策になります。
  • 食べきれる量を考えて頼む
    自分が食べられる量をきちんと計算し、注文しましょう。メニューの中にはハーフサイズや小盛メニューなどもありますので、自分の体調などに合わせ注文しましょう。
  • 宴会は大量の食べ残しの可能性がある
    企業や親戚同士など、時には大々的な宴会を開くこともあるでしょう。しかし、こういった宴会は大量の食べ残しが出る可能性があるので食べ残しが出ないよう工夫しましょう。例えば、宴会が進み、そろそろお開きに近づいたころに「食べきりタイム」などを設けて、食品を残さないようにする工夫が必要です。宴会の幹事などになった際には、「食べきり」を呼び掛けたり、お店に残った食材の持ち帰りを相談するなどしてみましょう。

家庭で発生している食品ロスを把握する

最後は、家庭で実際に出ている食品ロスの詳細を把握するという方法です。これは、消費者庁が実施した食品ロスに関する実証実験によるものなのですが、家で発生する食品ロスは、その実態を把握し、細かく計量するだけで約2割の減少がみられたそうです。さらに、削減の取り組みを学び、それを行うことで約4割の減少がみられたという結果が出ています。
したがって、まずは、自分のご家庭でどの程度の食品ロスが発生しているのか?ということを把握することから始めてみるのも良いかもしれませんね。消費者庁が公表している食品ロスのチェックシートなどがありますので、それらを参考にしてみてください。

参考資料:消費者庁作成「食品ロス削減啓発用ポスター」
参考資料:消費者庁作成「食品ロス削減マニュアル」

まとめ

今回は、個人でもできる食品ロス対策についてご紹介しました。食品ロスとは、まだ食べられるのに、何らかの理由で捨てられてしまうことを意味しており、さまざまな面で豊かになった現在では、なんと世界中で約1/3の食品が捨てられているとも言われています。日本国内だけで見ても、1年間で約643万トン以上の食品が捨てられており、これは、日本国民全員が毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てている計算になるそうです。
世界には貧困にあえいでいる人がたくさんいる中、これほどの食品が捨てられているとは驚きの事実ではないでしょうか。食品ロスは、個人個人が食材に対する意識を少し変えるだけでも大幅に削減することができますので、本稿でご紹介したような内容を普段の生活の中で少しでも考えていただければと思います。

賞味期限食品ロス食品ロス削減推進法