従業員の安全を守るために!工場の有効な安全対策の進め方をご紹介!

今回は、工場などの製造現場において、従業員を労働災害から守るためには、どのような安全対策を進めれば良いのかについてご紹介します。
近年では、さまざまな部分の技術的進歩もあり、一般的に「労働災害の確率が高い」と思われるような職場でも、一昔前と比べると安全に働くことができるようになってきたと言われています。しかし、いくら技術の進歩があり、機械の安全性が高まってきたとしても、人間の不注意やうっかりミスなどによる労働災害の事例は後を絶たず、特に最近では『事故が起きやすい工場』と『事故が起こりにくい工場』の差が大きくなっていると言われています。
「労働災害は、可能な限り防ぎたい!」と、全ての企業が考えていると思いますが、21世紀の現在になっても、工場などにおける労働災害を『ゼロ』にすることはできていないのが現状です。
そこで今回は、工場での安全対策やヒューマンエラーの防ぎ方についてご紹介します。

工場で起こる労働災害の原因について

工場での労働災害と聞けば、近年導入が進んでいる機械(ロボット)に挟まれたり、巻き込まれたりする事故をイメージする方も多いのではないでしょうか?しかし、厚生労働省が公表した『平成29年 労働災害発生状況』によると、労働災害における原因で最も多いは転倒で、その次が転落や墜落となっています。近年、工場に導入される機械の安全性はとても高くなっていると言われていますので、これに巻き込まれたり、挟まれたりする事故は減少していると言われています。しかし、人間の不注意によるヒューマンエラーや作業環境が原因となる労働災害は、一定の割合で起こり続けてしまっているのです。
そもそも工場での作業は、段差が多かったり、高所での作業が必要になったりと、転倒や転落のリスクが常に付きまとっているものです。さらに、床がコンクリートで硬いことや、転倒した先に危険な機械が設置されていることなどもあって、単純なミスから命に関わる大事故に発展してしまう危険性が通常より高いと言えるのです。したがって、工場などの製造現場では、常に従業員が安全に作業を進めるため、作業マニュアルや厳しい安全基準を作っていますが、以下のようなイレギュラーがあった場合には、工場での労働災害を防ぐことは難しくなるでしょう。

マニュアル無視は事故を誘発

近年の工場は、機械化が進み、人がかかわる工程も少なくなっています。また、従業員が安全に作業を進めるため、作業の手順をマニュアル化し、決まった手順で作業を行うようになっているのが一般的でしょう。しかし、人は決まった作業に慣れてくると、面倒な工程は省略したくなってしまうもので、従業員が勝手に作業工程を省略してしまうことも少なくありません。
もちろん、このような現場を見つけた時は、上司や工場の責任者が注意して、作業工程を守るように指示をしなければならないのですが、特に問題が起こっていない状態であれば見逃されることも少なくないのです。その結果、本来の安全基準を守らない危険な作業が常態化してしまい、最悪の場合、事故につながるのです。このように、人間自身が決められた安全基準を守らないということが、人的要因による労働災害の最も多い理由と言えるのではないでしょうか。
関連記事:産業用ロボットによる事故に注意!その危険性と安全対策を知っておきましょう。

整理整頓や清掃が行き届いていない

転倒による労働災害は、どのような職場でも起こり得る事故ですが、工場の場合は特に注意が必要です。工場は、何らかの理由で躓いただけでも、その先に危険な機械が設置されている場合や、床が硬いコンクリートになっていることが多いので、単純な転倒が大事故に発展する可能性があるのです。
例えば、作業に使った道具を元の場所に戻さないなど、通路に余計なものを置いているだけでも転倒のリスクは非常に高くなってしまいます。また、清掃を怠り、ホコリや水を放置してしまっただけでも、すべって転んでしまう可能性が高くなります。そもそも、どれだけ安全に気を付けて作業を進めている場合でも、転倒のリスクが『ゼロ』になるわけではありませんので、そのリスクを上げるようなことは避けなければいけないでしょう。

工場の有効な安全対策の進め方

それでは、工場で安全対策を進めていく場合にどのような対策を進めれば良いのかをご紹介します。上述したように、工場で発生する労働災害は、ヒューマンエラーに由来することが多く、安全対策を進める場合には、どれだけ人為的なミスを減らせるかが重要になるでしょう。以下で、その方法をいくつかご紹介します。

安全対策の基本は整理整頓から!

工場では、建設現場などと同じく、毎朝の朝礼で事故に対する注意喚起を行っている職場が多いのではないでしょうか。しかし、上述したように安全に注意して作業を行ったとしても、『事故が起きやすい職場環境』になっているのであれば、事故のリスクを減らすことは難しくなります。
したがって、職場での安全対策を進める場合、「整理整頓された職場環境が重要!」ということを大前提と考えておきましょう。例えば、いくら作業に必要な道具だとしても、仕事の最中に通路に散らかってしまうのを放置するのはいただけません。できるだけ他の従業員の迷惑にならない位置に道具をまとめて作業を進めるなどルールを作りましょう。もちろん、作業が終了したら、きちんと元の位置に道具を戻すように徹底し、床や机の上に物を出しっぱなしにしておかないようにしましょう。
作業道具などで散らかった職場は、それだけで従業員の集中力が散漫になるとも言われますので、ヒューマンエラーの大きな原因となります。

「ひやり、はっと」を共有!従業員全体の危険予知訓練!

人が初めての作業を行う場合には、緊張して注意力も高まり、ささいな異変にも気づきやすくなるので事故も起こりにくいでしょう。しかし、上述した通りどうしても『慣れてしまう』生き物ですので、長年経験した作業になると、いつの間にか気が緩み、危うく事故を起こしそうになって、「ひやりとした」「はっとした」といったことが増加するのです。
こういった「ひやり、はっと」の経験は、事故にまで発展しない限り、そのまま放置してしまう人が多いかもしれませんが、その経験を従業員で共有することが非常に有効な安全対策となります。これは、危険予知訓練とも呼ばれるのですが、同じ工場内で働く従業員の「ひやり、はっと」の経験は、誰にでも起こり得るものですので、その経験を発表し、対策を話し合うことで事故の可能性を大きく減らすことが可能です。こういった危険予知訓練を年に1回行うだけでも、ヒューマンエラーを減らす効果が期待できます。

再発防止が重要

従業員が故意に事故を起こしたというのでない限り、事故の原因を従業員個人に負わせるのは良くないでしょう。特に、作業中に機械が故障してしまった、備品を壊してしまったといった場合、それを全てその従業員のせいにして罰則や減給などの対処をしてしまうと、ミスを隠すことを優先してしまう可能性が高くなります。その結果、取り返しがつかない事故が発生するまで、小さなミスに気付けない…といったことが考えられ、誰も得をしません。
事故が発生してしまった時に、最も重要なのは、その原因を突き止め事故が再発しないように対策を取ることです。もちろん、叱るなとは言いませんが、必要以上に従業員に責任を押し付けると、再発防止のための対策すら取ることができません。

従業員の精神・健康状態の確認

工場の中には、繁忙期などになると従業員が休みもなかなか取れずに働き続けなければならない…なんてところもあるのではないでしょうか。このような作業環境は、従業員に強いストレスを与え、精神的にも肉体的にも弱ってしまう原因となります。
ストレスというものは、人間がミスをしてしまう大きな原因となります。したがって、安全基準を守っていては、とても達成できないノルマを与えることや、十分な休息も取れない作業環境では、ヒューマンエラーに起因する労働災害が発生する可能性が高くなります。
製造現場での安全対策を進める時には、従業員がなるべくストレスなく働ける環境を作ってあげることや、定期的に衛生管理者が職場を巡回し、様子がおかしい従業員がいた場合には、適切なケアを行うなど、従業員の精神・健康状態を常に確認しておくことが重要です。

まとめ

今回は、従業員の安全を守るために必要になる、工場での安全対策についてご紹介しました。近年では、工場のロボット化や自動化が進んでおり、これらの機械の安全性も高くなっているため、一昔前と比較すると安全に働くことができるようになってきたと言われています。しかし、作業に慣れてしまうことによって、機械を操る人間側の気の緩みや不注意による労働災害については、完全になくせていないのが現状です。もちろん、こういったヒューマンエラーを完全になくすということは、将来的にもなかなか難しいことではありますが、できるかぎり防げるように対策を進めていくことがとても重要なことだと思います。
したがって、まずは作業環境の整理整頓の徹底や、危険予知訓練など、自社内でできる安全対策から進めてみてはいかがでしょうか。

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