「人にやさしい工場・倉庫」を目指して!労働環境改善を考えた工場や倉庫の改修ポイントとは?

今回は、生産工場や倉庫の改修工事が必要になった場合に、ぜひ考えていただきたい改修のポイントについてご紹介したいと思います。
生産工場・倉庫において、建替えや改修工事を検討するきっかけは、施設の『老朽化』が多いと思います。もちろん、これは、単純に「建物自体が老朽化してきた…」という理由だけでなく、施設内で利用している設備機器の老朽化や生産ラインの老朽化を更新するために建物の改修が必要になるということもあると思います。
しかし最近では、工場・倉庫の建替えや改修の際に、老朽化以外の以下のような目的も増えてきています。

  • 全国で頻発する地震や局地的豪雨を考慮して、災害対策のために改修を行う。
  • 省エネ設備の導入による経費削減のため改修を行う。
  • 自動化による生産性向上・省人化を目的として改修を行う。
  • 従業員の職場環境の改善を目的として改修を行う。
こういった施設の建替え・改修工事は、生産効率の向上、運営経費の削減が主な目的になることが多いのですが、近年では従業員の健康や働きやすさに目を向けた施設づくりも求められるようになっています。実際に、2015年より経済産業省と東京証券取引所が共同で『健康経営銘柄』を選定する取り組みも始まっており、従業員の健康管理を経営的な視点で考えることが求められているのです。
それでは、工場や倉庫で建替え・改修工事を行う場合、従業員の労働環境改善のためにはどのような対策が行えるのでしょうか?
今回は、「人にやさしい工場・倉庫」を目指すための改修ポイントをいくつかご紹介したいと思います。

参考:経済産業省「健康経営銘柄」について

工場・倉庫建替えによる労働環境の改善について

それでは、工場・倉庫における『労働環境の改善』のための改修について、いくつか具体例をご紹介していきましょう。従業員が健康的に働ける職場づくりは、優秀な人材の確保・定着にもつながりますし、将来的に収益性を高める投資であると考えられのではないでしょうか。

局所排気装置の導入

食品工場などで、調理機器から発生する熱や、従業員にまとわりつく湯気は労働環境改善のためのポイントとなるでしょう。作業中に湯気がまとわりつくような環境では、視界も悪くなり、熱気で体調不良を訴えるようになる可能性も高いです。さらに、作業エリア全体へ熱や湯気が拡散してしまうと、室内温度の上昇を招き大きな空調ロスにも繋がります。
こういった場所へは、局地排気装置の導入がオススメです。熱や湯気が発生する箇所だけを効率良く換気することで、従業員は過度な暑さを感じることなく快適に作業を進めることができるようになり、施設内に熱気が充満することも抑え、空調ロスを低減することも可能です。
また、粉じんやガスなどの有害物質が発生する作業場でも、作業空間から速やかに有害物質を取り除くことが出来る『局所排気装置』は、従業員の安全や健康を守るために非常に重要なポイントとなります。
ただし、これに見合う給気も考慮しておかないと、室の圧力バランスが崩れるため注意が必要です。

冷蔵倉庫・工場の労働環境改善について

冷蔵倉庫や冷蔵温度帯の工場では、食品の安全を守るため、低温下での作業が必要になります。従業員が寒さを感じても、食品衛生上の問題もあり、施設内全体を暖房で温めることはできません。したがって、「冷蔵工場は寒いのが当たり前だから寒さは我慢する」という考え方もあるかもしれません。しかし、従業員の安全で快適な労働環境や、健康を考えた場合には、何らかの対策が必要になるのは間違いありません。
このような場合に注意が必要なのは、食品は冷たい状態を保ったままで『従業員のみを暖める』ことができる環境作りです。例えば、従業員の足元だけを温めるスポットヒーターなどの導入は、衛生的な環境を保ったまま働きやすい職場を実現できるのではないでしょうか。従業員の健康的な職場環境を考えた場合、『冷蔵or冷凍倉庫(工場)は寒いものだ』という常識を捨て、何ができるのか考えていくべきだと思います。

物流倉庫の労働環境改善について

生産拠点や物流拠点では、モノの「移動/運搬」を最少限の手間で行えるよう、動かしやすい状態で保管することが求められます。例えば、「床にバラバラの状態にして保管するよりも、袋詰めや束にしている状態の方がモノの活性度は高くなる」との考えで『活性荷物の原則』と呼ばれます。つまり、倉庫の床に直接荷物を置いておいて保管していたものを、パレット上で保管するように変えるだけでも『活性荷物の原則』にかなう改善となります。
特に近年では、物流業界での人手不足が深刻化しており、搬送ロボットや自動倉庫システムの導入が積極的に検討されるようになっています。こういった最新テクノロジーを導入することで、従来、人海戦術で補っていた部分をロボットに任せることができるようになり、従業員の負担を軽減できる事はもちろん、優秀な人材により高度な作業を任せることができるようになるなど、人材の最適化にもつながります。

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まとめ

今回は、生産工場や倉庫において、従業員の労働環境改善を考えた改修ポイントについてご紹介してきました。工場や倉庫などの職場は、労働者にとって比較的負担が多い職場とのイメージを持っている人が多いかもしれませんね。実際に、食品を取り扱う工場や倉庫では、施設内の温度設定を従業員ではなく、食品に合わせる必要があり、人にとっては寒いと感じる環境下での作業が必要な場合もあります。もちろん、取扱製品の特性上、致し方ない面もあるのでしょうが、さまざまな部分の技術革新もあり、今までであればどうすることも出来なかった問題でも解決に導く手立てを見つけることができる時代になっています。従業員の労働環境の改善は、優柔な人材の確保や人の定着率のアップなど、企業にとってもさまざまなメリットがあるものですので、いま一度「自社の施設で改善できるポイントはどこなのか?」という視点を持つ必要があるのではないでしょうか?

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