今回は、物流用語として使用される『GAS(ゲートアソートシステム)』がどのようなものなのかをご紹介します。
物流現場でのピッキング効率を向上させる方法としては、オーダーをまとめてピッキングする「トータルピッキング」という手法が有名です。しかし、このピッキング方法は、ピッキングの後工程として、1オーダーごとに商品の仕分けをする必要があり、この仕分け作業に時間がかかったり、間違った場所に商品を投入してしまうなどの人為的ミスのリカバリに時間をとられてしまうなどと言った理由で、思うように生産性向上が実現できないことも少なくありません。
『GAS』は、こういったピッキング後の仕分け作業の正確性や作業スピードを上げてくれるシステムと言われているのですが、具体的にどういった仕様になっているのかは、いまいち分からないという方も多いと思います。そこでこの記事では、『GAS』の基礎知識と、導入した場合のメリットなどを簡単にご紹介していきたいと思います。
『GAS(ゲートアソートシステム)』とは?
※理解しやすいようにメーカープロモーション動画をご紹介しておきます。
それではまず、GASがどういったシステムなのかについて解説していきましょう。GASは「Gate Assort System(ゲートアソートシステム)」の頭文字をとった略語です。
このシステムは、ピッキングで集められた商品を仕分けする際、仕分け対象の商品のバーコードをハンディターミナルでスキャンすると、その商品に対応した間口がコンピューター制御によって自動開閉するようになっています。仕分けする作業員は、開いた間口に商品を投入するだけですので、商品を入れ間違ってしまい、顧客の元に注文とは異なるモノが届く…といったミスを防ぐ事ができます。
GASによる仕分けは、「開いたゲートにしか商品の投入ができない」という仕様になっているため、入れ間違いが物理的に発生しない為、従来は行っていた仕分け後の検品作業の必要がなくなるなど、仕分けスピードが大幅に向上するというメリットがあります。
上に参考となる動画を設置していますが、一般的なGASによる仕分け作業の流れも以下でご紹介しておきます。
- 仕分け対象商品をハンディーターミナルでスキャン
- 商品に対応した仕分け先のゲートが開きます
- ゲートが開いた仕分け先に、商品を投入する。
- フットスイッチでゲートが閉じるので、次の商品をスキャンする
- 上記手順を繰り返す
GASを利用した仕分け作業は、上記のような流れで進みます。このシステムを利用すれば、ピッキング作業員の歩数削減も可能になり、労働環境改善を目的と考えても、有効なマテリアルハンドリングと言えるのではないでようか。
『GAS』のメリットとデメリット
GASの基本的な仕組みは、『DAS(デジタルアソートシステム)』と同じなのですが、仕分け先の間口にゲートが取り付けられているのが最大の特徴となります。仕分けの際には、1箇所だけゲートが開く仕様となっているため、作業熟練者でなくても仕分けミスが起こらないという仕組みがメリットと言えるでしょう。
それでは、物流現場にGASを導入した場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか?ここでは、注意しておきたいデメリットも合わせてご紹介しておきます。
- 1投入につき1箇所のゲートしか開かないため、検品を兼ねた仕分けが可能
- 1投入につき1箇所のゲートしか開かないため、物理的に誤投入を防げる(ポカミス防止)
- 物量に合わせて移設・増設が簡単にできるため、大掛かりな工事など不要で生産性向上が目指せる
- 仕分け投入完了後、完了の合図を音で知らせる機器もあり、視覚&聴覚両方でミスの防止ができる
- 生産性向上は目指せるのですが、投入数が1コンテナ毎になることから、大規模ピッキングに向かないという特徴があり、生産性に限界があるという点がデメリットです
- DASと比較すれば、作業のための通路幅を広く確保しなければならない
DASとは、Digital Assort Systemの頭文字を取った略称で、デジタルアソートシステムのことをいいます。
このシステムは、仕分け先ごとに設置したデジタル表示器に仕分けする商品を認識(スキャンや入力)させ、その商品の仕分け指示数を表示させます。作業者はペーパーレスでデジタル表示器に表示された指示数に従い種蒔仕分けをして、表示器を消していくシステムとなります。
まとめ
今回は、物流現場で活躍する『GAS(ゲートアソートシステム)』がどのようなものなのかをご紹介しました。
この記事でご紹介したように、物流現場にGASを導入すれば、作業熟練者でなくても間違いのない仕分け作業が可能になり、さらに検品を兼ねた仕分けが可能になることで、倉庫作業を効率化することが期待できます。
物流業界では、年々システム化が進んでいると言われていますが、可能な限り作業効率を高めて、生産性を高めるためには、自社に最適なシステムを選ぶ事が非常に重要になります。まずは、どういったシステムが存在しているのかを慎重に調べることからスタートしてみるのも良いかもしれません。