工場や倉庫における地震対策!押さえておきたいポイントは何?

今回は、工場や倉庫における自然災害対策として、地震に備えておくべきポイントをご紹介していきます。お客様の大切な製品を取り扱う工場や倉庫では、自然災害によって大きな被害があった場合、製造活動や出荷作業が出来なくなり、消費者の方々にも多大な迷惑をかけることとなります。
特に日本は、元々『地震大国』等と揶揄されるように、諸外国と比較しても地震が多い地域と言われています。千葉県周辺で頻発する中規模の地震や、400年ぶりに大阪北部を襲った2018年6月の『大阪府北部地震』、北海道全域に大きな被害をもたらした『北海道胆振東部地震』などは記憶に新しいのではないでしょうか。このような状況下で、日本が地震の活動期に入っていると予想する専門家も多く、安全な環境下で工場・倉庫の運営を行うには、地震に対する様々なリスクを想定し、その予防策を講じることが必要不可欠と言えるでしょう。
そこで今回は、工場や倉庫において、どのような地震対策を進めればいいのかについてご紹介していきます。

工場・倉庫で考えられる地震による危険

それではまず、工場や倉庫に潜む『地震による危険』について考えていきましょう。冒頭でもご紹介したように、地震大国といわれる日本では、「地震は必ず起こるものだ!」という認識を持っておく必要があるでしょう。しかし、自然災害というものは地震以外にも注意が必要となるもので、元々日本では、いつ起こるかわからない地震よりも、毎年必ずやってくる台風に関する対策を考えて、建物づくりを進めていた面があります。わかりやすい例で言えば、一般住宅の屋根に重量があり、強風で飛ばされにくい瓦が利用されていることがあげられます。ただし近年では、全国各地で頻発する地震問題もあり、屋根を軽量化し、建物の揺れを抑える耐震対策が進められるようになっています。
もちろんこのような地震対策は、お客様の大切な製品を取り扱う工場・倉庫でも必要不可欠と言えるのです。工場や倉庫などで、地震対策を怠ってしまった場合には、以下のような危険が考えられます。

  • 落下
    スチール棚など、商品保管用の設備の固定がない場合、地震によって棚が大きく揺れてしまい、商品が落下することが考えられます。この場合、落下した商品の破損はもちろん、下で作業している従業員が下敷きになるなどの人的災害もあり非常に危険です。
  • 転倒
    壁などに固定されていない棚は、地震の揺れによって容易に転倒してしまいます。棚の転倒は、商品の破損、従業員が下敷きになり怪我をする、転倒した棚が機械にぶつかり製造用の機械が壊れるなど、様々な危険があります。
  • 移動
    巨大地震が発生した場合には、数百キロあるような大型機械でも容易に移動してしまいます。大型機械の移動は、従業員が挟まれてしまうなど、それだけで周辺で作業を行う従業員の身を危険にさらしてしまうものですので、注意が必要です。
工場や倉庫で、地震の対策を怠ってしまった場合、以上のような危険が潜んでいます。

工場・倉庫における地震対策

それでは、実際に工場・倉庫における地震対策について考えていきましょう。工場や倉庫で耐震対策を考えた場合、非常に幅広い対策が必要になり、どこから手を付けてよいのかわからないというお話をよく聞きます。例えば、工場内の棚の固定やキャスターの固定をきちんと行っていたとしても、建物そのものが老朽化しているのであれば、地震からお客様の製品を守ることは難しくなってしまいます。したがって、工場・倉庫における耐震対策は「①建物自体の対策」と「②工場内部での対策」の二つに分けて考える必要があるでしょう。

老朽化した建物自体の地震対策

まずは、建物自体の地震対策についてです。ここで最も重要になることは、工場や倉庫の現状を正確に把握しておくことです。例えば、耐震診断などを行った際、建物の倒壊など、人的被害が想定できるほど建物の老朽化が進行しているのであれば、早急な対策が必要になります。しかし、工場や倉庫というものは、多少の老朽化があったとしても、頑丈に建てられているため、生産設備や人的な被害が生じるリスクが低い場合も少なくありません。そのような場合には、将来的な災害に向けて、それなりの余裕をもって地震対策を進めることもできるでしょう。具体的な地震対策は以下のようなものが考えられます。

  • 建物の補強
    建物の現状把握を行った際、何らかの問題が生じているとわかったときに、最もシンプルな対策は建物の補強工事をすることです。建物の安全性が高まれば、そこで働く従業員も安心して作業に集中できるようになります。また、工場や倉庫の耐震補強を進めたことをパンフレットやHPで公表することで、地震災害から製品を守れる施設であることをお客様にアピールできます。
  • 保険
    現状把握を行い何らかの問題が見つかった場合でも、予算やスケジュール上、すぐに耐震補強工事を進められない場合もあるでしょう。そのような場合は、保険などを利用し、災害リスクのカバーをすることをオススメします。例えば地震保険の見直し等、耐震診断をもとに、現状の建物状況に適した保険内容にプランを変更することを考慮したほうが良いでしょう。
  • リスク分散
    これは建物自体の問題ではありませんが、例えば大地震の発生リスクが高いといわれている地域に工場や倉庫がある場合、業務の一部を移転しリスクを分散させる方法もあります。特に、高額商品の保管がメインとなる部門や、高額な精密機械を運用する工場などであれば、その部門のみ災害が起こりにくい地域に移すなども、工場・倉庫の地震対策になります。
工場や倉庫の地震対策は、現状の建物がどのような状態にあるのかをしっかりと把握した上で、上述したような対策をどのように進めていけばいいのか判断するべきでしょう。

工場・倉庫内における地震対策

それでは最後に、工場・倉庫内の地震対策についてご紹介しましょう。上述したように、大規模な地震があった際には、工場・倉庫内では『落下・移動・転倒』に注意しなければいけません。大型機械の運用や、重量のある製品を取り扱っている工場・倉庫では、地震による災害で設備や機械が破損するなどの物質的な被害以外にも、落ちてきた物の下敷きになり大切な従業員が怪我をしてしまうといった人的被害も少なくありません。
従業員が安心して働ける環境を作るのは、企業としての責任ですので、以下を参考に工場・倉庫内の地震対策も進めましょう。

  • 大型機械や棚の固定
    様々な品物を保管する倉庫では、保管用の棚をきちんと壁などに固定することが地震対策として必要でしょう。また、たくさんの棚が並んでいる場合には、棚同士を連結させることで転倒防止にも繋がります。もちろん、棚の固定をしっかりとしていたとしても、揺れによって商品が簡単に落下してしまう様では意味がありません。保管した品物が落下しない仕組みづくりが必要になります。また、工場などで使用される大型機械は非常に重量があるため、地震によって機械が移動してしまい、従業員が挟まれるといった事故が考えられます。機械設置の際にしっかりと固定をするようにしましょう。
  • キャスターの固定
    工場や倉庫内では、重量があるものを移動しやすいようにキャスターが取り付けられている物が多いです。このような設備は地震によって簡単に移動してしまうことから、避難通路などをふさいでしまう等のリスクが存在します。しっかりと移動防止用の対策を行い、事故を未然に防ぎましょう。

まとめ

今回は、工場や倉庫における地震対策について様々な視点でご紹介してきました。本稿でもご紹介しているように、日本は元々地震が非常に多い国でもありますので、いつ巨大地震が発生してもおかしくありません。そのような中、お客様の大切な製品を取り扱う工場や倉庫であれば、しっかりとした地震対策が必要不可欠と言えるのです。特に、工場や倉庫は、多くの人が作業を行っている場所です。地震対策を怠ってしまった際の被害は想像を絶するものとなるでしょう。一つ一つは小さな対策に見えるかもしれませんが、それらの小さな対策が大きな災害から身を守ってくれることになるのです。
工場や倉庫における地震対策は、様々なことを進めなけれいけませんので、まずは施設や設備の現状把握からスタートしてみてはいかがでしょうか。

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