倉庫作業って実は危険がいっぱい?倉庫での事故防止対策は何をすれば良い?

今回は、倉庫内で働く従業員の安全を守るため、倉庫での事故防止対策はどのようなことを行えば良いのかについてご紹介したいと思います。
近年では、無人搬送ロボットや自動倉庫の導入による省人化が進められている倉庫作業ですが、まだまだ人力による作業がメインとなっている施設の方が多いことでしょう。倉庫は、大量の商品を一時的に保管しておく場所という特性上、施設内で働く従業員が注意しておかなければならない危険ポイントが意外と多いのです。特に、高くまで荷物が積まれている施設や、重量物の取り扱いを行っている施設では、棚の転倒や荷物の落下など、従業員の事故リスクがたくさん存在しています。実際に、倉庫内で働く従業員の方であれば、何度かヒヤッとした経験がある…という方も多いのではないでしょうか。

それでは、倉庫内にあるそういった危険を排除し、従業員の事故リスクを低減するためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか?この記事では、倉庫内でのヒヤリハット事例や、従業員の安全を守るために行っておきたい事故防止対策についてご紹介していきます。

倉庫でのヒヤリハット事例は?

皆さんも「ヒヤリハット」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは「重大な事故には至らなかったものの、直結してもおかしくない重大事故一歩手前の事例」を指しています。突発的なミスや事象によってヒヤリとしたり、ハッとしたりするということで「ヒヤリハット」と呼ばれています。
実は、1件の重大事故の背景には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハット事例があると言われており、次に起きた時には負傷者が出ても何らおかしくないのです。したがって、現場でのヒヤリハットは、今後の重大事故発生の原因となる可能性がありますので、何らかの対策が必要になると考えましょう。
ここでは、倉庫作業での代表的なヒヤリハット事例をご紹介しておきます。

事例① 高所からの転落

倉庫での作業を考えた場合、高所での作業が必要になる場面も多いですし、そこから転落しそうになった…というヒヤリハット事例は少なくありません。
例えば、フォークリフトで持ち上げたパレットの上で段ボールの積み下ろしを行うといった作業をよく見かけますが、フォークリフトが少し動いた反動で作業員がバランスを崩し転落しそうになった…というケースが考えられます。

事例② 作業員の転倒

高いところにある荷物の積み下ろしを行う際に、荷物ばかりに注目し、足元への注意が疎かになって転倒してしまう…といったケースも少なくありません。例えば、陳列棚の高所に保管されている荷物を取ろうとして、上ばかりに注目してしまい足元のパレットや段ボールに躓いてしまう…といったケースがあります。また、大きな荷物を持ち運んでいる場合には、足元が見えにくくなるので、小さな障害物や段差に気付けず転倒してしまうというケースも考えられるでしょう。

作業現場で考えられるヒヤリハット事例は、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」でまとめられていますので、ぜひ一度確認してみましょう。

参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」

倉庫での事故防止は何をすれば良い?

それでは、倉庫で従業員の安全を守るために行っていきたい事故防止対策とはどのようなことが考えられるのでしょうか?いくつかの事故防止対策をご紹介しておきましょう。

対策① 整理整頓を徹底する

まずは、倉庫作業員の転倒防止として行っておきたい対策についてです。
人力による荷物の持ち運びを行っている倉庫では、作業員が行き来する通路の徹底した整理整頓が必要になるでしょう。整理整頓がされていない倉庫では、上述したような「荷物に足を引っかけて転倒してしまう…」などと言った事故リスクが高くなります。また、棚に保管する荷物の整理整頓に関しても、きちんと安全に保管されていなければ、何かの拍子に荷物が落下したり、それが従業員にぶつかり怪我をしてしまうリスクもあるでしょう。
したがって、こういった事故リスクを限りなく少なくするためには、倉庫内の整理整頓を徹底する必要があります。何をどこに保管しておくのかを明確にし、従業員にも決まった場所以外に置かないようにルールを明確にしましょう。こういった施設内の整理整頓は、万一の自然災害時でも避難通路の安全を確保することにもつながります。

対策② 作業中の声掛けを徹底する

倉庫などで事故が発生してしまうのは、作業員同士の声が聞こえにくいことも原因の一つと言われています。例えば、高所からの落下事故を考えた場合、フォークリフト運転者の指示が作業員に聞こえていない状態で、フォークリフトを動かしたことで、バランスを崩してしまう可能性もあります。
こういった事故を防ぐためには、作業員同士の声掛けを徹底することが重要です。例えば、何らかの指示を行った際には、相手に自分の声が届いたことを確認できるまで行動に移さないようなルールを作るなどが有効でしょう。他には、高所にいる作業員側が指示を出すようにすることも有効だと考えられます。さらに、倉庫内は棚や荷物が多いことから死角が多くなるという特徴があるため、出合頭の衝突事故を回避するための対策も必要です。こちらも、死角から出る時は声をかける、倉庫内の見通しを良くするレイアウトに変えるなどの対策が効果的です。

対策③ 棚や大型機械の固定

倉庫内の荷物や機械が動かないように固定することも事故リスクの低減につながります。特に、地震などの自然災害時の事故を防ぐには非常に大きな効果があると考えられるでしょう。
例えば、棚は他の棚と連結することや、壁に固定することで動きにくくすることができます。そうすることで、棚自体の転倒防止にもつながりますし、棚の安定感が増すため、地震の揺れがあった際でも荷物が落下して従業員を危険にさらす…というリスクも低減してくれます。他には、大型機械を導入している倉庫などであれば、そういった機械を床に固定することで、従業員の安全を守ることにつながります。人力ではとても動かせないような大型機械でも、地震の揺れなどで勝手に動いてしまい、人が挟まれる…衝突して怪我をする…といったケースは少なくありません。したがって、万一のことも考えて、動かないように固定しておきましょう。

まとめ

今回は、倉庫での事故防止を考えた場合、どのような対策を進めていくべきなのかを考えてみました。本稿でご紹介したように、高所での作業や重量物の保管が行われている倉庫というものは、そこで働く従業員にとっては事故につながる危険がたくさん潜んでいる場所と言えるのです。ヒヤリハット事例をご紹介したように、ほんの小さな整理整頓の不備から、従業員の転倒事故が発生してしまい、場合によっては命に係わる重大事故に発展してしまう危険まであるのです。
したがって、多くの従業員が働くこととなる倉庫では、「より従業員が安全に働くためには?」という視点を持ってさまざまな対策を進めていく必要があると言えるでしょう。まずは自社の倉庫ではどのような危険が潜んでいるのかを良く考えてみてみましょう。そうすれば、自社倉庫でどのような対策が必要になるのかが、自ずと見えてくるでしょう。

参考:工場や倉庫で活躍するフォークリフト!安全に利用するためには事故事例から対策を学ぼう

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